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■ 第555回支部講演会
日時:2015216日(月) 17001830
場所:北海道大学理学部5号館8階 5-813
演者:木村幸太郎(大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻)
演題:線虫
C. elegansの「意思決定」のための情報処理演算とその分子基盤
 
講演要旨:
動物は、環境からの刺激に基づいて複数の選択肢の中から単一の行動を選択し、これは「意思決定」のシンプルなモデルとして研究されている。しかし、連続的に変化する環境からの刺激情報を単一行動の選択に結びける神経機構の理解は充分ではない。我々は、線虫
C. elegansの匂い応答行動における「意思決定」のための情報処理演算とその遺伝子基盤の一部を明らかにした。C. elegansは匂い応答行動において80%程度の確からしさで忌避方向を選択する。バーチャルな匂い勾配下で自由に行動するC. elegans感覚ニューロンの光生理学的解析を行った結果、1対の感覚ニューロンの活動は匂い濃度変化の時間積分を正確に反映しており、この値が閾値に達した時に忌避行動の選択が行われると考えられた。また、遺伝学的解析から、この匂い情報演算の特定項にGタンパク質が必要であることが明らかになった。「刺激情報の時間積分」は霊長類やげっ歯類の意思決定に重要な役割を果たすことが知られているが、今回の我々の発見は、情報の時間積分による意思決定が動物に広く保存された仕組みであり、その分子基盤を解明するためのモデルとしてC. elegansが有効であることを示している。

連絡先:
小川 宏人(北海道大学大学院理学研究院)
E-mail: hogawa@sci.hokudai.ac.jp 電話:011-706-3525
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