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■ 第557回支部講演会
日時: 2015年4月9日(木)10:00〜11:00
場所: 北海道大学理学部5号館4階5-4-07
演者: 本間光一教授(帝京大学・薬学部)
演題:鳥類の早期学習をモデルにした学習能力を賦与する脳内分子機構

要旨:
 離巣性の鳥類ヒナが親を記憶して追従する刷り込み(filial imprinting)には、孵化後の数日間でしか習得できない明確な臨界期(sensitive or critical period)があり、その時期や長さは厳密に発生によりプログラムされていて変わることはないと考えられてきた。しかし近年の我々の知見によれば、学習臨界期の開始は、刷り込み学習に付随して脳内へ急速に流入する甲状腺ホルモンの非遺伝子的作用(nongenomic action)によってもたらされるものであり、孵化後4,5日経過して生理的には刷り込み学習できなくなったヒナであっても、人為的にホルモンを脳内に投与することで学習臨界期は開始され、刷り込み可能となることがわかった。さらに孵化後数日以内にホルモンを投与してやれば、少なくとも1週間以上刷り込み学習を先延ばしにしても習得される。
 これらの実験結果は、刷り込みの学習臨界期は、これまで信じられてきたように固定的ではないことを示す。我々は、一連の解析から「刷り込みの学習臨界期は学習そのものによって開始され、一たび開始すれば長期にわたって閉じることはない」、という結論を得た。今回のセミナーでは、我々が「メモリープライミング」と命名した甲状腺ホルモンによる非遺伝子的作用の生化学的な解析結果をお示しして、議論したい。

連絡先:
松島俊也(北海道大学大学院理学研究院)
E-mail: matusima@sci.hokudai.ac.jp
電話: 011-706-3523
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