■ 第561回支部講演会 |
日本動物学会北海道支部 第561回支部講演会
日時:2015年9月8日(火)17:30〜18:30
場所:北海道大学理学部5号館813号室
演者:冨菜雄介(Postdoctoral fellow, Department of Biological Sciences, University of Cincinnati, USA
演題:医用ビル中枢神経系における汎神経的解析を目指して:両側型膜電位イメージング法の確立
講演要旨
動物の感覚情報処理や行動制御の神経機構を理解するためには、中枢神経系を構成する細胞集団においてどの細胞がどの時点でどのような神経活動を示すのか調べる必要がある。しかし、神経回路網における個々の細胞すべてを同定したうえで、高い時空間分解能で神経活動を同時測定してこれを解析する“汎神経的(Pan-neuronal)解析アプローチ”は、膨大な細胞数を有する巨大脳動物ではきわめて困難である。医用ビルHirudo は、行動制御を担う神経回路を感覚入力から運動出力に至るまで詳細に調べることが可能な実験動物として、50年以上前から利用され続けてきた。我々はヒル神経節の背・腹両側に分布するおよそ400個のニューロンの細胞体を対象に網羅的な膜電位イメージングを行うため、両側型光学イメージング装置を開発した。さらに次世代の膜電位感受性色素であるVoltageFluor (Miller et al., 2012)の最新改良試薬を適用することで、シナプス電位と活動電位の両方を、単独試行で検出することに成功した。これらの技術を組み合わせることにより、ヒルの主要な行動(局所湾曲反射や遊泳行動)に関わる細胞集団の神経活動を網羅的に同時イメージングすることに成功した。本講演では、両側型膜電位イメージング法と電気生理学的手法を組み合わせたメソドロジーについて紹介を行いたい。
連絡先 代表 和多和宏(wada@sci.hokudai.ac.jp)
冨菜さんは、北大生物科学科を卒業、生命科学院(高畑研究室)で学位をとられて、現在アメリカでポスドクをされています。一時帰国時に母校の北大に立ち寄られる機会をつかまえて、セミナー講演をお願いいたしました。
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