日時：2022年9月27日（火）17:00〜18:00

場所：北海道大学 理学部5号館8階 5-813室

 

演者：角田裕志 先生（埼玉県環境科学国際センター 専門研究員）

 

演題：ヨーロッパにおけるキンイロジャッカルの分布拡大と生態的特徴

 

要旨：

キンイロジャッカル（Canis aureus）は東南アジアからヨーロッパにかけて広く分布する中型のイヌ科動物である。近年の分子系統解析の結果、アフリカに生息するセグロジャッカル、ヨコスジジャッカルよりも系統的にはオオカミに近縁であること、またアフリカに分布しこれまで同一種と考えられてきた動物が別種（African golden wolf、C. lupasterまたはC. anthus）であることなどが明らかとなった。ヨーロッパでは20世紀まで本種の分布域はバルカン半島に限られていたが、近年急速に分布拡大し、ドイツ、ポーランド、エストニアなどバルト海沿岸でも目撃されている。本種は森林・農地のモザイク景観を好むことや、家畜の死体や生ゴミに依存した食性を示すなど人為的撹乱を受けた生息環境に対して高い順応性を示すことが、分布拡大に関係すると考えられる。演者が参加した国際研究チームはヨーロッパ最大のキンイロジャッカルの個体群が生息するブルガリアで、本種と他の食肉目動物の資源利用や種間関係を研究し、中型食肉目ギルド内における多種共存において時間的・空間的なニッチ分割が重要な役割を持つことを明らかにした。

 

＜ご紹介＞

角田裕志先生のご専門は、大型・中型哺乳類の生態学・行動学です。カメラトラップや食性研究を取り入れた、ヨーロッパでの国際共同研究の成果を中心にしてご講演いただく予定です。

多くの皆様のご来場をお待ちしております。

 

世話人：増田隆一