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■ 第528回支部講演会



    瀬戸口 明久氏(左)と栃内新会員(右)


演題:狩猟と動物学:殿様生物学の伝統と近代
演者:瀬戸口 明久氏(大阪市立大学大学院経済学研究科)

日時:平成21年9月4日(金)16:00 − 17:30
場所:北海道大学理学部5号館4階407セミナー室

座長: 栃内新
出席者:約15名

山階芳麿から秋篠宮まで、日本の鳥類学者には皇族・華族が多いことが知られている。これはなぜだろうか。これまでいわれてきたのは、政治と直接関係ない動物学を趣味とするのが、江戸時代の殿様からの日本の「伝統」であるという見方である(『殿様生物学の系譜』朝日新聞社、1991年)。だが本報告では、華族の鳥類学はむしろ日本の西欧化と深いかかわりがあることを示す。鳥類学と日本の西欧化のあいだをつなぐのが、標本採集システムとしての「狩猟」である。本報告ではシーボルトから日本野鳥の会の設立までをたどり、日本における狩猟文化がどのように変貌し、それが動物学にどのような影響を与えたのか検討する。

*演者プロフィール 

瀬戸口氏は、1975年宮崎県生まれ。京都大学理学部(生物科学)卒業後、同大文学部(科学哲学科学史)卒業。同大大学院文学研究科博士課程修了。ホームページによれば「私は生命科学と社会の界面に生じているさまざまな問題について、科学技術史・科学技術論の立場から歴史的に検討してきました。おもな研究の対象としてきたのは、生態学・応用昆虫学・農業技術など環境にかかわる生命諸科学の歴史です。そこでは科学技術史だけでなく、人と動物の関係、人と自然の関係が歴史的にどのように変化してきたのか検討する環境史の視点も取り入れようとしています。さらに最近は、産業技術史の成果を踏まえることによって、技術としての生命科学の意味についても考察しようとしています」とのことです。今回、本学で開催される日本進化学会大会に参加(発表「モース神話を問い直す」)されるのを機に、日本動物学会北海道支部講演会を開いていただくことになりました。講演内容が多岐にわたりますので、広く各方面の方々の参加を希望いたします。



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