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■ 第532回支部講演会

 日時:平成21年11月5日(木)15:00−16:30
 場所:北海道大学理学部5−813
 演題:
亜鉛は精子形成にとって必須元素
 演者:愛媛大学南予水産研究センター 三浦 猛 氏
 座長:北大・先端生命科学研究院 山下正兼 
 出席者:35名
 
要旨:亜鉛は生物にとって必須の微量元素である。精子の運動および精子形成の進行にも重要であることが示されているが、そのメカニズムの詳細は明らかではない。本研究では、ウナギを実験モデルとして、精子形成および精子の運動に対する亜鉛の作用について解析した。ウナギの精巣での亜鉛の局在を亜鉛蛍光プローブで調べたところ、精原細胞の細胞質とミトコンドリアおよび精子のミトコンドリアに高濃度で存在することが明らかとなった。膜透過型の亜鉛キレートを用い、精巣から亜鉛を除去したところ、精原細胞はアポトーシスを起こした。この亜鉛除去によるアポトーシスは、亜鉛イオンを加えることにより回復した。精子に亜鉛キレートを加え運動活性を調べたところ、精子の運動能は、キレートの添加濃度依存的に低下した。この精子の運動能の低下は、亜鉛イオンの添加によって回復した。以上の結果より、亜鉛は精子形成では、生殖細胞の維持に、精子に関しては運動能維持に必須の元素であることが明らかとなった。亜鉛の生殖細胞の維持能に関しては、亜鉛がCu/Zn-SODを活性化させ、酸化ストレスから生殖細胞を守っているものと考えられた。





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