日時: 2010年9月30日(木) 13:30〜15:00 場所: 北海道大学理学部5号館3階5−305講義室
演題: 「雄性発生シジミについて」
演者: 古丸 明氏 (三重大学生物資源学部生物圏生命科学科)
古丸氏は日本にいる3種類のシジミ−ヤマトシジミ(汽水産)、セタシジミ(淡水産)、マシジミ(淡水産)−のうち、マシジミが非常に変わった発生様式を持つことを発見した。 マシジミは雌雄同体で、自家受精する。ところが、受精後まもなく、受精卵から卵由来の染色体のすべてが極体となって捨てられてしまい、精子の染色体だけで個体発生が進行する。多くの動物では精子の染色体は減数して半数体になっているが、マシジミの精子では減数しておらず親と同じ2倍体の染色体を持つために、卵の染色体を捨てて精子の染色体だけで次世代の個体が2倍体として正常に発生することが可能となっている。この奇妙な現象は、フナやドジョウで見られるメスの染色体だけで発生が進行する「雌性発生」に対して「雄性発生」と呼ばれている。
座長: 栃内新 北海道大学理学研究院自然史科学専攻 出席者:約30名
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