日時:2011年8月25日(木) 16:30〜18:00 場所:北海道大学 W棟(人文・社会科学総合教育研究棟)W105室 演題:「マウス精原細胞の増殖と減数分裂開始におけるneuregulinとレチノイン酸の役割」
演者:安部眞一先生 (熊本大学理事・副学長)
精子形成において、精原細胞が体細胞分裂を繰り返したのち、減数分裂を開始する機構は不明である。近年retinoic acid (RA)が減数分裂開始因子であることが報告されたが、その詳しい機構は分かっていない。我々は、精原細胞の増殖と減数分裂開始においてNeuregulin (NRG)1がRAの下流で働いていることを提唱する。 生後14日目のセルトリ細胞特異的NRG1ノックアウトマウスにTamoxifen (TAM) を注射すると、精巣の退化、精原細胞の増殖低下や減数分裂開始の低下が見られた。また、精原細胞までしか存在しない生後5-6日目野生型とノックアウトマウスの精巣の器官培養、精原細胞のみの再凝集培養やセルトリ細胞のみの培養に対するFSH, RA, NRG1の効果から、生後精巣に於いてRAとFSHはセルトリ細胞に働いてNRG1, 3の発現を促進し、そのNRG1, 3が精原細胞に直接働いて増殖と減数分裂開始を促進すること、ATRAは精原細胞に直接作用もすることを示唆する。
座長:上田 宏 (北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター)
出席者 約30名
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