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■ 第546回支部講演会
日時:2013年1月16日(水)16:30〜18:00
会場:理学部5号館8階 5-813室

演題:内分泌かく乱物質研究の最近の動向:両生類・魚類の精巣卵からミジンコの性分化まで

演者:井口泰泉先生(自然科学研究機構・基礎生物学研究所)

講演要旨:内分泌かく乱物質問題はすで片づいたと思っている方が多いと思うが、ヨーロッパでは大きな問題となっており、EUでは研究の推進を、WHOやEUでは文献の収集を行い、リスク評価に向けての取り組みをはじめている。私たちはイギリスの共同研究者と、下水処理水から環境中に出ている濃度の合成エストロゲンのエチニルエストラジオールにより、魚類(ローチ)の雄に精巣卵が誘起されるとともに、交配実験により生殖にも問題があることを3年間にわたる実験から明らかにした。また、カナダでは1つの湖を使い、7年間にわたる合成エストロゲンの曝露および回復実験から、イギリスの河川で検出される濃度で個体群の低下が起こることを示している。また、発生中のニシツメガエルに合成エストロゲンを曝露すると、曝露濃度により精巣卵あるいは性転換が起こる。成体のメダカへの合成エストロゲンの曝露でも精巣卵が誘起される。精巣卵の検出は病理組織学的手法が取られている。時間と手間を省くために、マイクロアレイを用いて精巣卵のマーカーとなる遺伝子を同定した。さらに、単為生殖を行うミジンコは幼若ホルモン類似物質の曝露により雄を産むことを見出した。この知見を元に、ミジンコの雄への分化に必要な遺伝子を明らかにした。また、ミジンコの幼若ホルモン受容体を明らかにした。内分泌かく乱物質問題の課題も含めて話す。

座長・連絡先:北海道大学理学研究院
       勝 義直(ykatsu@sci.hokudai.ac.jp, 内線4908)
講演要旨
出席者 25名

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