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■ 第547回支部講演会
日時:2013年2月7日(木)15:00〜16:30
会場:環境科学院D棟 D102室

演題:人工飼育個体の自然繁殖に見る環境適応: さけます研究を例として

演者:スイス連邦水圏科学技術研究所(Eawag)荒木仁志博士

講演要旨:高度産業化に伴う人為改変は野生生物の生息環境に変化をもたらし、多くの種や野生個体群を存続の危機にさらしている。その一部は種として認識される前に絶滅している一方、人類に有益な種は保全対象種として認識され、様々な原状回復への試みがなされている。そのうち、現在最も注目されている試みの一つが ex-situ conservation、人工飼育環境を利用した種の保全である。人工飼育環境下での繁殖には野生の繁殖環境を必要としない、などの利点がある一方、遺伝的な影響や人為環境への適応など、様々な問題点が指摘されている。今回はまず、近年アメリカで行った、さけます魚類の人工飼育個体とその子孫の自然繁殖適応度に関する研究結果と関連研究について解説し、人工飼育が野生生物にもたらす長期的な影響について考察する。また、後半はスイスでブラウンマス(Salmo trutta)を用いて行なった、人工飼育の表現型に与える影響についての解析結果を紹介する。なお、上記の研究に用いたマイクロサテライトマーカーに基づくDNA親子鑑定法は直感的で応用範囲が広い一方、自然繁殖適応度の推定に関しては幾つかの問題も残されている。これらの技術的な問題についても議論したい。

座長・連絡先:北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
   上田 宏(hueda@fsc.hokudai.ac.jp, 内線2598)
講演要旨
出席者 25名

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