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■第570回支部講演会
日時:2017年2月20日(月)17:00〜18:00

場所:北海道大学理学部5号館(高層棟)813号室

演者:設樂 久志(慶應義塾大学大学院 基礎理工学専攻 生物物理・神経情報学研究室)

演題:cGMPイメージングによる線虫嗅覚神経細胞AWCの部位特異的応答

要旨:
セカンドメッセンジャーの一つである環状グアノシン一リン酸(cGMP)は多くの生き物の細胞内シグナル伝達で必要不可欠な役割を持つように、線虫感覚神経細胞においても重要な役割を果たす。特に嗅覚神経細胞AWCでは、cGMPはにおい感受と順応の2つのシグナル伝達経路で役割を持つことが知られている。これらのシグナル伝達経路で興味深い点は、におい感受ではAWC内のcGMPが減少する一方で、順応ではcGMPが増加しなければならないという点である。こうした知見は変異体を用いた行動実験などから推測されるものであり、実際にcGMP挙動を明らかにした例はない。そこで、蛍光タンパク質を利用したcGMPイメージング法を用いて、実際にAWC内のcGMP挙動を明らかにし、におい刺激に対する真逆の応答がどの様に生じているのか調べた。イメージングの結果より、AWC内では単一神経細胞内で部位特異的に異なるcGMP応答を示すことがわかり、こうした局所性はcGMP産出に関わるグアニル酸シクラーゼによって生じることが明らかとなった。今回のセミナーでは線虫神経系の機能を理解する一般的な手法についても説明しつつ、cGMPイメージングから得られた結果について紹介する。

世話人:小川宏人(内線3525,hogawa@sci.hokudai.ac.jp)

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