■第586回支部講演会
第586回日本動物学会北海道支部講演会
日時:2019年8月8日(木)15:00-16:30
場所:北海道大学理学部5号館8階 5-813室
演者:徳元 俊伸(静岡大学創造科学技術大学院バイオサイエンス専攻)
演題:魚類の卵成熟・排卵関連遺伝子のゲノム編集法を用いた解析
講演要旨:
魚類の卵はその減数分裂過程である卵成熟とその後の排卵を経て産卵され受精して発生を開始する。我々は卵成熟誘起ホルモンの受容体とされるプロゲスチン膜受容体(mPR)の生理機能の証明を目指してmPR遺伝子変異系統の樹立を進めている。一方、ゼブラフィッシュにおいて確立した生体内卵成熟・排卵誘導法を用いて排卵誘導時に発現誘導される遺伝子群の選択を進め、排卵誘導関連遺伝子群を同定した。現在、CRISPR/Cas9法を用いてmPR遺伝子群、排卵誘導関連遺伝子群の遺伝子ノックアウトフィッシュ(KO)系統の樹立を進め、それらの表現型解析を順次進めている。
本講演では、mPR遺伝子群と排卵誘導関連遺伝子群のKO系統の樹立の状況と一部の遺伝子についての表現型解析の結果について紹介したい。排卵時の卵巣で発現上昇を示したstarmaker(stm)遺伝子は耳石の形成に必要な遺伝子として、また、pax2aは脳の形成に必要な初期発生関連遺伝子として既知のものであったが我々はゲノム編集による解析を進めた。その結果、これらのKO系統では共に受精率が顕著に低下することが明らかとなり、これらの遺伝子が受精時にも機能を果たしているという新たな知見が得られた。
問い合わせ先(開催者連絡先):山下正兼(myama@sci.hokudai.ac.jp)
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