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■第565回支部講演会
 日本動物学会北海道支部第565回支部講演会
日時:201663日(金)10301130
場所:北海道大学理学部5号館407
演者:永山晋博士(テキサス大学医学部ヒューストン校)
演題:マウス嗅球糸球体モジュールの形態と機能

演題要旨:
匂いは嗅上皮に散在する嗅細胞が匂い分子をとらえることから始まる。これまでの研究で、一つの嗅細胞は千もある匂い分子受容体のレパートリーからたった一種類の匂い分子受容体を発現している。そして同じ匂い分子受容体を発現している嗅細胞の軸索は糸球上に存在する100マイクロメートルほどの糸球体に収束される事が知られている。そのため、一つの糸球体は一つの匂い分子受容体を表現していることになる。匂い情報はその糸球体の内部で匂い分子受容細胞から僧帽細胞や房飾細胞を初めとした様々な細胞群に伝達され、より高次へと送られる。面白い事に、糸球体より匂い情報を受け取る細胞群は、たった一つの糸球体から匂い情報を受け取っている。そのため糸球体とそれらの細胞群は同じ匂い情報を取り扱う糸球体モジュールとして働いていると考えられている。しかし、その糸球体モジュール内でどのような匂い情報処理が行われ、どのようなルールで高次の脳部位へ情報を送っているのかはほとんど分かっていない。我々はその問題に対して多角的に研究を進めている。in vivo two-photon microscopeを用いた研究では、糸球体モジュールの形態を観察し、その構成細胞群の匂い活動を記録した。それにより同じ糸球体モジュール内でも細胞種やその存在部位によって匂い刺激に対する応答が異なることが分かった。更には、解剖学的な手法を用いた研究により、糸球体から脳高次へ細胞種依存的に投射パターンが異なることも明らかにした。本セミナーでは、これらの結果を中心に嗅球における匂い情報処理のメカニズムについて話を展開する。

永山晋博士は北海道大学理学部生物学科出身で、東京大学で学位取得後にアメリカに渡って現在はPIとして活躍されています。今回は国際学会で一時帰国される際に札幌に立ち寄ることになり、その機会をとらえて講演をお願いしました。
 連絡先:木村敦(理学研究院・生物科学部門・生殖発生生物学講座)


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