動物学会内の科研費審査員の選出方法について
1999.12
生物科学ニュース 1999.12月号(No.336)より抜粋
現在、動物学会では、評議員(32名)及び評議員が推薦した研究者(通常10数名)を被推薦者として、評議員の投票によって4つの細目(代謝・生理、形態構造、分類・系統、発生)の審査員候補者を推薦していますが、これには種々の問題があります。
1)現在の動物学会のシステムでは,評議員は細目に関係なく選出されるしくみになっています。このため科研費の審査員を推薦する場合,細目によっては候補者数の不均衡が生じる可能性があります。評議員外の候補者を用意することによってこの傾向は抑えることも可能です。しかし,この評議員外候補者も細目的に偏った評議員に依存していますので、不均衡是正には有効ではなく、より抜本的な解決方法が望まれます。
2)日本動物学会は,これまで添付の表のような人数(平均)の審査員候補者を細目毎に推薦してきました。当学会本部は,評議員による選挙結果に従って順位を付けて候補者リストを作成提出します。しかし,他の細目との重複,一部の機関への審査員の偏り,年齢,性別,任期などの問題によっては,必づしも上位から一定の人数の候補者が順番に審査員となるわけではないようです。また,追加の候補者リストを要求されることもまれにあります。来年度から審査員の数が増えますので,動物学会でもこれまでよりも十分余裕のある人数の審査員候補者(細目によって2倍)を選出できる準備が必要になると思われます。
3)現在、1人の評議員は、すべての細目について投票する仕組みであります。しかし、ある評議員がすべての細目について審査員候補者の適任者を判断するのは無理があると思われ,専門分野を限定することが必要と考えられます。
そこで、これを改善するために、会員による審査員候補者予備グループの直接選出と評議員による審査員候補者の選出の2段階を経る以下の方法を取ることになりました。
1.それぞれの細目ごとに、審査員候補者の候補者(「審査員候補者予備グループ」と呼ぶ)を20人、会員の直接選挙によって2年に一度選ぶ。
方法:
1) 選挙権者:科研費(奨励研究Bを除く)の応募資格を有する動物学会員。
2) 被選挙権者:動物学会員とは限らない。
3)投票方法:投票者は、一つの細目を選択し、3名以内併記する。
注)同点者がいて20人を超える場合は、同点者全員を候補者とし、20人を越えても良いとする。また、投票された被選挙権者が61歳以上であった場合には、学会から推薦しても年齢制限により審査員になれない場合がある。
2.それぞれの細目の審査員候補者は、各細目の審査員候補者予備グループの中から評議員によって選ばれる。
方法:
1) 選挙権者:動物学会評議員。
2) 被選挙権者:審査員候補者予備グループ。その全員をHPに紹介し、その業績等も学術情報センターへのリンクで調べることが出来るようにする。
3) 投票方法:第1段審査員候補者の投票について、1人の評議員は、4つの細目の内から2細目以内(1細目でも良い)を選択し、各細目の審査員候補者予備グループの中からそれぞれ1名を記入する。第2段審査員候補者については、推薦年の要領に従って実施する。
注)「予備グループ」と「評議員」は,毎年交互に選出されるような選挙日程を組む。こうすることにより、評議員は1年目と2年目で異なる予備グループから審査員候補者を選出できる。
別表
査員候補者の推薦数と審査員定数 |
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<第2段審査員>(注) |
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(部・分科) |
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動物学会 |
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植物学会 |
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他学会 |
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審査員数 |
理学・生物学 |
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2 -> 2 |
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2 -> 2 |
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0 -> 4(*) |
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2 -> 4 |
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<第1段審査員> |
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(部・細目) |
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動物学会 |
|
植物学会 |
|
他学会 |
|
審査員数 |
学・系統・分類 |
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6 -> 12 |
|
6 -> 12 |
|
0 |
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6 -> 12 |
学・生物形態・構造 |
|
6 -> 12 |
|
6 -> 12 |
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0 |
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6 -> 12 |
学・動物生理・代謝 |
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6 -> 8 |
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0 -> 0 |
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0 -> 4(**) |
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3 -> 6 |
合・発生生物学 |
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2 -> 4 |
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2 -> 2 |
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2 -> 6(***) |
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3 -> 6 |
「->」の左側はこれまでの人数で,平成11年度より右側の数に変わります。各学協会は,右端のカラムに記載の審査員定数対して,細目毎に候補者リストを作成して,日本学術会議に提出します。審査員候補者は毎年必ず推薦される人数(審査員定数の倍)ではありません。2年任期で約半数が毎年選出されますので,年毎の推薦数は上の数字ではなくその約半数ほどとなります。
(注)細目のうち、「発生生物学」は複合領域の基礎生物科学分科に属する細目です。この領域の2段審査は、分子生物学会、細胞生物学会、生物物理学会、発生生物学会から各1名になる予定でありますので、本学会からの推薦はない予定です。
来年度審査から審査委員数が倍になりますので,この1−2年は少し変則的になると考えられます。上の表は,予想される推薦候補者数の枠とご理解下さい。候補者の中から実際の審査員を選出する作業はこれまで実質的には文部省研究助成課にて行われて来ました。
*: 遺伝学会,生態学会よりそれぞれ2名ずつ
**: 比較生理生化学会
***: 発生生物学会
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