平成16年度 日本動物学会賞等の決定
蟻川謙太郎 | 横浜市立大学大学院 | 「チョウ類の光感覚に関する研究」 |
藤澤敏孝 | 国立遺伝学研究所 | 「ヒドラのペプチド性シグナル分子の組織的解析」 |
千葉和義 | お茶の水女子大学 | 「ヒトデ卵を用いた減数分裂と受精の研究」 |
深津武馬 | 産業技術総合研究所 | 「昆虫類における共生微生物の機能、起源、進化に関する研究」 |
木下充代 | 横浜市立大学大学院総合理学研究科 博士研究員 |
「アゲハ脳における神経伝達物質と生理活性ペプチドの分布地図作成」 |
沓掛磨也子 | 産業技術総合研究所・生物機能工学部門 生物共生相互作用研究グループ ・第一号非常勤職員(ポスドク) |
「社会性アブラムシにおける兵隊特異的発現プロテアーゼの機能と進化に関す る研究」 |
有岡幸子 | 慶應義塾大学 | 第19回国際動物学会(北京)に出席 |
笹倉靖徳 | 京都大学大学院 | The Second Annual International Conference on Transpos ition and Animal Biotechnology (Minneapolis)に出席 |
平成16年度 日本動物学会賞等の選考を終えて
日本動物学会学会賞等選考委員会委員長
高橋 三保子
国立大学の独立行政法人化の混乱の中、5月7日、今年の学会賞等の選考を行った。残念なことに今年の動物学会賞の応募者数は昨年と同数の5名であった。動物学という広い分野を含む動物学会らしく、応募された方の分野も多岐にわたる。選考委員も5つの分野から出ているとはいえ、「動物学の進歩発展に重要な貢献をなす業績」を選考するのは容易ではない。研究業績・動物学の進歩への貢献等、忌憚のない意見交換の末、本年は、「チョウ類の光感覚に関する研究」の蟻川謙太郎会員と「ヒドラのペプチド性シグナル分子の組織的解析」の藤澤敏孝会員の業績を評価し、2名を候補者として評議員会に推薦した。
蟻川謙太郎会員は、「アゲハチョウはお尻でも見ている」というびっくりする発見を端緒として、様々なチョウ類を対象に、分子生物学、電気生理学、組織学、生理光学、行動学などの研究手法を駆使し、ユニークな研究を展開してきた。アゲハチョウ尾端光受容器はオスでは交尾の成立をモニターし、メスでは産卵管の突出具合をモニターする機能をもつことを明らかにした。また、複眼には6種類の色受容細胞が混在すること、構成する個眼の多様性、一つの視細胞が2種以上の視物質を同時に発現することの発見等、常識を覆す成果を挙げてきた。これらの独創的な研究成果が評価された。
現在、網羅的解析はゲノムプロジェクトの中では極めて普通に行われている。藤澤敏孝会員は、二胚葉からなる単純な体制の腔腸動物のヒドラを材料に、その遥か以前からペプチド性シグナル分子の大規模検索と同定を進めてきた。ヒドラの遺伝子発現に影響を与えるペプチドをシグナルペプチドと定義し、非特異的分解産物を排除して情報分子であるペプチドだけを同定する方法論を確立、微量にしか存在しないペプチド分子も検出し、約400のシグナルペプチドを同定した。それらの分子の機能解析を進め、生理学・神経生理学・発生学の領域をこえた研究を展開している。これからの進展も期待できる立派な成果をあげており、学会賞に相応しいと評価された。
今年の奨励賞には6名の応募があった。近い将来、学会賞の対象者になるであろうと予想させるようなレベルの高い研究成果をあげた応募者が多く、選考は難航した。苦難の末、次の2名を評議員会に推薦した。千葉和義会員は、ヒトデ卵の減数分裂と受精の研究を行い、正常発生の基盤となる分子機構や受精の生理的意義に独自の切り口で解析し、多くの成果を挙げている。深津武馬会員は、昆虫と微生物間の内部共生関係の機能・起源および進化について、分子遺伝学から進化生態学的相互作用まで、様々なアプローチで独創的な研究を展開している。ミクロ生物学とマクロ生物学を統合し、スケールの大きな研究に発展させることを期待させる優れた成果をあげている。
江上学術表彰による若手研究者国際会議出席費用補助金には11名の応募があり、2名を推薦した。有岡幸子会員は、北京で開催される第14回国際動物学会でポスター発表を行う。笹倉靖徳会員は、米国ミネアポリスで開催されるThe Second Annual Internationa l Conference on Transposition and Animal Biotechnologyで招待講演を行う。発表表題が明確でないなど、応募様式に改善するべきところが選考委員会の中で指摘された。
奨励賞は「将来の進歩発展が強く期待される若手研究者」に贈られる、となっている。研究者はいくつになっても、道未だ半ば、自分は今後さらに発展する若手である、と自認する人が多いに違いない。選考後の感想として不謹慎ではあるが、若手にはおのずとメドとなる年令、立場もあるのではないだろうか。来年はさらに、未熟さがあったとしても将来の発展を期待させる意欲的な沢山の若者の挑戦的な応募を期待したい。
平成16年度 Zoological Science Awardの決定
平成16年度Zoological Science Awardが決定しました。ZS編集委員会(委員長 道端齊会員)から、平成16年度論文賞候補論文が評議員会に推薦され、評議員会は、審議の結果、以下の5論文を平成16年度論文賞と決定しました。
以下の2論文は一組として受賞対象とする
以下の2論文は一組として受賞対象とする
以下の2論文は一組として受賞対象とする
日本動物学会賞 研究内容
チョウ類の光感覚に関する研究
横浜市立大学大学院総合理学研究科
蟻川 謙太郎
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この間 | |
1981.12-1982.3 | オーストラリア国立大学客員研究員 |
1983.4-10 | 三菱化成生命科学研究所特別研究生 |
1987.10-1989-3 | アメリカNIH奨励研究員 |
1997.9-2000.8 | JSTさきがけ研究21研究者 |
私は、自由学園で中学から大学までの10年間を過ごしました。最高学部と呼ばれる4年間の大学課程では理科コースで物理学と数学を中心に学びましたが、行動学関連の本もよく読みました。1973年にフリッシュ、ローレンツ、ティンバーゲンがノーベル医学生理学賞を受賞したことで、書店にはその手の本が目立っていたのだと思います。昆虫少年だった私はこうした本に惹かれ、そうこうするうちに、将来は生物の研究がしたいものだと考えるようになっていました。
当時も現在も、自由学園の最高学部は文科省の大学設置基準には依らない独特な学校なので、卒業しても学士の学位は得られません。学士はたいていの大学院でほぼ唯一の入学資格とされていたため、もし大学院に進学しようとすれば、普通はもう一度どこかの学部で4年間勉強する必要がありました。例外は、早稲田大学大学院でした。早稲田から自由学園に教えに来ていらしていた石居進先生にご相談してみると、上智大学大学院にも可能性があることが分かりました。上智では青木清先生にいろいろとお骨折りいただきました。その甲斐あって、自由学園を卒業してすぐ、上智の修士課程に入ることができました。いまはどこの大学院も門戸を拡大しているのでこうした問題はほとんど無くなっていますが、当時の私にとっては、研究生活の幸運なスタートでした。
上智大学では、青木先生が「好きなもので好きなことを」という方針で、自由に研究をさせて下さいました。研究室のスタッフは青木先生のほかは、助手の吉田昭広さん(現JT)お一人でした。学生は4人で、M2に増子恵一さん(現専修大)と佐藤哲さん(現東工大)、M1が川崎雅司さん(現バージニア大)と私でした。川崎さんは卒業研究ですでに1年間を青木研で過ごしていました。それぞれに、研究対象にしている動物もゴキブリ、アリ、ミツバチ、イモリ、ウグイと、バラエティに富んでいました。私はチョウとともに、その仲間に加わりました。以来、チョウはずっと私のかたわらにいます。
ナミアゲハのお尻に“目”(光受容器)があることに気づいたのはM1の冬でした。修士研究のテーマは「産卵行動神経メカニズムの解明」と決めていて、腹部末端神経節からのびる神経束をひとつひとつ吸引電極で吸い込みながら、お尻にある機械感覚毛の反応を記録していました。
ある日いつも通り実験を始めると、さまざまな活動電位がかなり高い頻度で記録されてきました。これはいわゆる“コンタミ”のようなもので、目的とする神経活動を解析するのにはひどく邪魔になります。こういう反応はしばらく放っておくと消えることも多かったので、そのときも実験をひと休みしようと席を立ちました。ついでに標本を照明していたランプのスイッチも切りました。ところが、照明のスイッチを切った瞬間、それまで活発に出ていた活動電位が、同時に消えてしまったのです。おや、と思ってもう一度スイッチを入れると、また反応が出ます。消すと反応も消えます。
不思議に思って私は、標本を見ながら光を点滅させてみました。すると、アゲハは光が点灯するとそちらの方向に首を曲げていることに気づきました。なるほど、複眼の反応がどこかを経由して腹部の神経から記録されているのだろう。ならば、複眼をとってしまえば反応がなくなるはずだ。そこで私は解剖バサミを持ち出し、ナミアゲハの頭をチョンと切断しました。しかし反応はまだ出ています。胸、腹・・・と徐々に標本を小さくしてゆき、ついに残ったのは交尾器の一部とそこにつながった細い神経だけ。それでも光に対する反応はまだしっかりと出ています。次に何をしようか考えていた私のところに、川崎さんが研究室の奥から干渉フィルターを出してきてくれました。川崎さんに手伝ってもらって、波長反応特性を記録しました。増子さんは熱心に、光受容部位の構造を電子顕微鏡で調べるようにすすめてくれました。
ナミアゲハのお尻に“目”があると確信した私は、その日、テーマを変えました。光受容細胞の反応特性、細胞の微細構造、中枢での情報処理経路などを調べ、上智大学から学位を頂きました1。
この話をすると必ず、お尻の目は何に使われているのか、という声が上がります。この問題には、横浜市立大学に移ったあとで、須山大輔君、藤井隆法君、高木信弘君の3名の学生諸君と取り組みました。お尻の目をつぶすとチョウの行動にどんな変化が現れるかを調べ、最終的には、オスはメスの交尾器と自分の交尾器が正しく噛み合っていることを光のもれがないことで確認し2、メスは産卵するときに産卵管が十分に突き出ているかどうかを産卵管に光が当たることで確認していると結論しました3。
チョウの色覚に関する研究は、横浜市立大学で始めました。横浜市立大学では江口英輔先生が長年、昆虫や甲殻類の複眼について研究されていたので、その先生のもとで仕事をさせていただいたことが強く影響しています。江口先生とは、主にカニ複眼の細胞生物学的な研究をしましたが、一方で江口先生もまた、私に自由に研究する時間を与えて下さいました。おかげさまで私は、チョウ類に関する研究も平行して継続することができました。
昆虫色覚研究のパイオニアは、前述のフリッシュです。蜜と色紙とを組み合わせてミツバチの色覚を証明したフリッシュの巧みな実験は、つとに有名です。その後の研究で、ミツバチの複眼には紫外線・青・緑の3種類の視細胞があって、これがミツバチの3原色系の基礎になっていることが突き止められました。つまりミツバチには、紫外線が見えるかわりに赤が見えないということです。ミツバチとは違ってチョウ類には赤が見えるのではないかという話は、実はかなり昔からありました。アメリカのGary Bernardは“チョウには赤視物質があるらしい”と既に1979年の論文に書いていますし (Bernard, Science 203: 1125, 1979)、江口先生も1982年の論文(Eguchi et al, J Insect Physiol 28: 675, 1982)でアゲハ類が赤受容細胞を持つ可能性を指摘されています。決定的だったのは、オーストラリアのマティッチが、メスアカモンキアゲハの複眼から赤受容細胞の分光感度を記録したことでした。Tom Maticによれば、メスアカモンキアゲハの複眼には、紫外線・青・緑・赤の4種類の視細胞があるというのです(Matic, J Comp Physiol A 152: 169, 1983)。
私は、これは面白いと思いました。昆虫の色覚は紫外・青・緑の三原色で、赤は見えない― それが定説だったからです。さっそくナミアゲハの複眼に電極を刺して、視細胞の分光感度を記録することにしました。猪熊和清君とともに1年ほどデータをためてみると、ナミアゲハの複眼には少なくとも5種類、紫外線・紫・青・緑・赤の受容細胞があることが分かりました。Maticが紫外線受容細胞としていた細胞は、実は紫受容細胞でした4。ひとつの網膜に色受容細胞が5種類という数は、当時としては最多でした。このあと、色々な昆虫で5種類以上の色受容細胞の混在が報告され、なんと珊瑚礁に住むシャコに至っては16種類もの細胞が見つかりました。
このあと私はアメリカに留学し、少しだけチョウの研究から離れた時期がありました。ふたたび本格的にチョウに取り組もうと考えた1996年、日本学術振興会の外国人研究者短期招聘事業で、オランダ・フロニンゲン大学のDoekele Stavengaさんに来ていただきました。Stavengaさんの滞在は、研究の大きな転換点となりました。象徴的なできごとは、Stavengaさんがナミアゲハ複眼に紫外線下で強い蛍光を発する個眼の存在に気づいたことです。蛍光を発する個眼と蛍光を出さない個眼の混在は、個眼の性質に違いがあることを意味します。それまで、複眼を構成する個眼はすべてが同一の性質をもったものだという、暗黙の了解がありました。しかしそれが必ずしも正しくないことが示されたわけです。
個眼は、具体的には何がどう違うのでしょうか。ナミアゲハの場合、ひとつの個眼には9個の視細胞が含まれます。9個の視細胞が5種の色受容細胞のどれに相当するのか、視細胞ひとつひとつに電極を刺しながら丹念に調べていきました。分かったことは、個眼には色受容細胞の組合せが異なる3つのタイプがあること、3タイプの個眼はほぼランダムに分布していることでした5。水野真君は、蛍光のもとは3OH-レチノールで、これが個眼遠位部に集中して分布しており、紫外線吸収フィルターとして機能していることを証明しました6。また、個眼によって赤または黄色の色素があり、これが色フィルターとして視細胞分光感度に影響していることも分かりました7。
このころ、私は初めて、視物質の分子生物学的実験を始めました。それまで分子生物学の経験は全く無かったので、大阪大学の尾崎浩一さんに手取り足取り教えていただきました。電気生理学や組織学で得た結論が、分子生物学の実験でつぎつぎと確認されてゆく過程には、感動しました。もちろん新しい発見も数多くありました。特に驚いたのは、北本淳子さんがナミアゲハ複眼の中には複数の視物質を同時に発現している視細胞が沢山あるのを見つけたときです8,9。この発見は、それまでアーチファクトに違いないと思いこんでいた非常に幅広い分光感度の説明に結びつき、これはナミアゲハ複眼の6番目の細胞となりました10。
複眼の構造やはたらきが細かく解明されてゆく一方で11、ナミアゲハは本当に色を見ているのかという疑問には、明確に答えることのないままに時が過ぎてゆきました。実際、チョウ類の室内行動実験はほとんど不可能であるという風評もありました。そんな風評をものともせずに、事務机に乗るくらい小さなかごの中でナミアゲハを自在にあやつる方法を開発し、ナミアゲハが色覚をもつことを証明したのは、今年のOM賞を受賞される木下充代さんでした。木下さんは、色紙の上で蜜を与えてナミアゲハを訓練することで、求蜜中のナミアゲハが色覚を使っていること、照明光の波長を変えても色の見えは変化しない、いわゆる色恒常性が、ナミアゲハにも存在することを見事に証明しました12,13。その結果ナミアゲハは、色覚系の入口(複眼)と出口(行動)の両方がバランスよく理解された唯一の昆虫になりました。
上に述べたような研究は、もちろん私一人でできるはずもありません。多くの先生方、先輩、同僚、学生のみなさんによるご指導やご協力あっての成果です。特に、研究室で日々実験に心血を注ぎ、努力を続けてきたポスドク、大学院生、卒論学生諸君の功績は、いくら強調しても言い尽くせるものではありません。こうして改めて振り返ってみると、研究室内外でのこうした方々のチームワークが実に絶妙なものであったということが、私には実感されます。ここにすべての方々のお名前をもれなく挙げることはいたしませんでしたが、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。また、これまで、文部科学省と横浜市立大学をはじめ、多くの公的機関や民間団体から、多額の研究費をいただきました。心より感謝申し上げます。
年齢から単純に計算いたしますと、私の研究生活は折り返し点を少し過ぎたところになります。折しも今年は日本動物学会創立125周年です。気の遠くなるような長い伝統をもつ学会から、もっとも権威ある賞をいただいたことを励みに、後半の研究生活をさらに充実したものにしてゆきたいと、決意を新たにしています。
ヒドラのペプチド性シグナル分子の網羅的解析
国立遺伝学研究所発生遺伝研究部門
総合研究大学院大学遺伝学専攻
藤澤 敏孝
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表記の研究を私たちはヒドラペプチドプロジェクトと呼んでいる。このプロジェクトをはじめて既に10年以上たった。ヒドラペプチドプロジェクトの歴史など関係者以外興味ないことではあるが、このような記事を書く機会はまたとないと思うので、来し方を整理するつもりで記してみる。ただ、どういういきさつでこの研究が始まったかについて知ることは一概に役に立たないともいえないのではないかと思う。
1992年頃、世の中は遺伝子組み換とショウジョウバエ・センチュウ等のモデル生物が幅をきかせ(今日でもその状態は変わらないが)、遺伝子操作のできないヒドラは全く蚊帳の外であった。当時の発生遺伝研究部門教授だった杉山勉さんとこの事態をなんとか打開すべくいろいろ策を練っていた。欧米の有力研究室が遺伝子操作を実現すべく努力をしていたので、私たちは全く別の道を志向しようと考えていた。その一つはヒドラの核蛋白「すべて(転写因子を含む)」を同定しようというプロジェクトであった。このプロジェクトは日の目を見なかったが、重要な点が2つあった。一つは、「誰もしていない」こと、2つ目は「すべて」の分子ということである。そのようなときに、忽然と救世主が現れた。
1992年10月、遺伝研でヒドラ関係の研究集会を開いたときに、小泉修さん(福岡女子大)が連れてこられた当時広島大・総合科学部の教授だった宗岡洋一郎さんが、自分は腔腸動物からまだ生理活性ペプチドを単離していないので是非ヒドラを使ってみたいといわれた。私たちはこのときとばかりに,ペプチドをとるなら全部とりましょうという提案をした。宗岡さんは活性検定をしながら精製するのが常道で、私たちの全部という考えには賛同されなかった。今でもよく覚えているが、懇親会の時タバコをのむために外に出られた宗岡さんを研究所宿泊施設の玄関前でかなり長く説得した。結局、じゃあパイロット実験をしてそれで何とかなりそうなら全部という方法でゆこうということになった。早速ヒドラ150gを集めにかかり、その年の12月には広島に送ったと思う。広島からの初回のデータが届いたのが1993年2月、その後続々とデータが到着した。実際に精製を行ったのは当時修士課程1年の高橋俊雄君(現サントリー生有研)であった。高橋君はその後大学院の5年間、ひたすらペプチドの精製、構造決定、化学合成を行い、文字通り獅子奮迅の活躍であった。
これは先ず宗岡さんありきではあるのだが、私たちがペプチドでゆこうと決めた理由はいくつかある。ひとつは、ヒドラの形態形成は拡散性の低分子が一義的に制御しているという、理論、実験両面からの考えが支配的であることであった。その上にたって、1981年にドイツのChica Schaller博士らがヒドラの頭部形成を促進する形態形成因子はアミノ酸11個からなる神経ペプチド(head activator)であるという論文をPNASに発表した。
しかしながら、head activatorの頭部形成促進作用はこのペプチドの持つ細胞増殖促進活性で十分説明できることがわかり、かつその分子的実態が(今もって)不明であること、私たちがヒドラの形態形成には神経がなくとも上皮だけで十分であることを示したこと等により、頭部形態形成因子は別に存在すると考えられた。それが、ペプチドである保証はないが、アミノ酸の組み合わせで様々な機能を持つペプチドが形態形成因子である可能性は高いと考えた。さらに、ペプチドであれば遺伝子まですぐ行き着くはずだし、その後の解析が容易である。また、仮に所期の思惑がはずれたところで興味ある分子がとれることは疑いない、つまり転んでもただで起きる必要はないという関西人的楽観があった。
ペプチドプロジェクトをはじめて約半年がたった頃、噂を聞きつけたドイツ・ミュンヘン大学のCharles David教授とその研究室の助手Thomas Bosch博士(現キール大教授)から我々も仲間に入れろという連絡があった。
1993年の7月に小泉、宗岡、高橋と遺伝研発生のメンバー(杉山、服田(現お茶大)、清水と私)が集まり、今後の打ち合わせを行うことにしていたが、その2週間前にDavidと Bosch両博士が参加するという知らせがあり、結局彼らを加えたメンバーで研究の進め方を話し合った。同時に、日独共同研究を日本学術振興会、ドイツ研究財団(DFG)に各々申請した。ドイツ側の申請は受け入れられ、日本側は却下されるという憂き目をみたが、今でもこの決定を不服に思っている。これは研究費の審査基準の問題で、日本では今でも実績主義でパイオニアを正当に判断できていないと考えている。これでは新たな分野の創造など望むべくもない。話がそれたが、この会合でプロジェクトを日独共同で行うこととした。
1993年9月にドイツで開かれた第5回国際ヒドロゾアワークショップで非公式にペプチドプロジェクトの話をし、カリフォルニア大学アーヴァイン校のHans Bode教授も加わることになった。翌1994年9月にすべてのメンバー12人が集まり第1回国際ペプチドプロジェクト会議を遺伝研で持った。<図1>
この会議で、役割分担を決めた。ペプチド精製は広島、活性検定は三島とミュンヘン、抗体作りは福岡、Bode教授は適宜実験、提言を行うこととした。この会議は2年に1度開かれる国際ヒドロゾアワークショップの前に南ドイツアイドリンクというアルプスを背にした平和な村で2001年まで続いた。因みに2003年はヒドラ・Nematostella ESTプロジェクトに衣替えした。
プロジェクトの進展に伴って、これは私のリーダーシップの欠如にもよることであるが、国際共同研究の難しさをいろいろ考えさせられた。一番大きな点は彼我の研究室から出てくるデータの食い違いであった。ヒドラ飼育状況の違いが主たる理由と考えられたが、実験者の熟練度の違いもあった。私たちのヒドラ飼育管理と実験手法の精度は海外のどの研究室より格段に上であるという自負があるので、いかにこちらのデータを論文に入れるかを腐心した。また、オーサーシップの問題もある。私のスタンスは同じ実験をしても筆頭著者は若い研究者、私自身の名前の位置はこだわらないことであった。特に、後者に関しては共同研究を続けるならそうするのが最も外交的であると考えた。それにもかかわらず自己主張の強い海外の研究者にはうんざりする。ここ3〜4年程は主として日本の研究室間の共同研究に変わりつつあるのもやむをえないところである。
私たちの研究の進め方には他に例を見ないいくつかの特徴があった。第一は網羅的解析である。先ず、ペプチドを機械的に単離し、その後活性のあるペプチドを同定するというやり方である。このとき、単離ペプチドがシグナル活性を持つかどうかは、それらにヒドラの遺伝子発現を変化させる作用があるか否かを1991年に開発されたディファレンシャルディスプレイ(DD-PCR)法を用いて検定したことである。私自身DD-PCR法で200近くのペプチドについて検定を行ったが、この方法はペプチドの選択に重要な役割を果たした。ペプチドにシグナル活性があると判断したときにはじめて構造決定を行い、それに基づいて化学合成をし、合成ペプチドを用いて一連の生物活性検定(細胞増殖、細胞分化、出芽、再生、行動)を行った。この過程で生のペプチドを用いるのはDD-PCRだけで、通常の精製過程では避けられない貴重なサンプルの損失を極力抑えることができた。また、生物活性検定には多量に使える合成ペプチドを使用したことも特徴の一つである。
さらには、同定したペプチドについて、逐一、抗ペプチド抗体の作成、コードする遺伝子の同定と発現解析、ペプチドに反応する遺伝子の同定、可能なら受容体の同定とこれも組織的に明らかにする体制をとったことである。
ヒドラには数百種類のシグナル活性を持つペプチドが存在すると推定したことを先ず挙げたい。このような推定は網羅的な解析法を用いてはじめて可能で、今でも他に例を見ない。数百種のペプチドは単純な体制のヒドラからは予想外に多い。ただ、最近のEST数の増大によりその数は約400種位と減少傾向にある。ただ、1つの遺伝子が数種のペプチドをコードすることは普通であるので、遺伝子数は100から150くらいではないかと考えている。
私たちが同定したすべてのペプチドについてここで述べることはできないので、いくつかの代表例を表1に示す。私たちの元々の興味である形態形成因子として足部形成に関わる2種のペプチド、Hym323とHym-346を得た。形態形成因子としての重要な特徴のひとつは位置情報を変化させることであるが、両ペプチドともそれを持つ。これらは上皮細胞由来で(上皮ペプチドと呼ぶ)、上皮が形態形成を一義的に制御する(前述)ことと一致する。このほか、アミド化ペプチドとしてはじめて上皮ペプチドHym-301を同定した。
種類 | ペプチド名 | 構造 | 発現部域・細胞 | 機能 |
上皮ペプチド | Hym-323 | KWVQGKPTGEVKQIKF | 体幹部内外両胚葉上皮細胞 | 足部形成促進 |
Hym-346 | AGEDVSHELEEKEKALANHS | 柄部下半・頭部内胚葉上皮細胞 | 足部形成促進 | |
Hym-301 | KPPRRCYLNGYCSPamide | 頭部外胚葉上皮細胞 | 触手形成促進 | |
Hym-33H | AALPW | 外胚葉上皮細胞 | 神経分化の抑制 | |
Hym-35 | EPSAAIPW | 同上 | 同上 | |
Hym-37 | SPGLPW | 同上 | 同上 | |
Hym-310 | DPSALPW | 同上 | 同上 | |
神経ペプチド | Hym-53 | NPYPGLWamide | 神経細胞 | 神経ー筋接合部位伝達物質・芽体足部外胚葉環状筋収縮 |
Hym-54 | PMTGGLWamide | 同上 | 同上 | |
Hym-248 | EPLPIGLWamide | 同上 | 同上・内胚葉上皮筋収縮 | |
Hym-249 | KPIPGLWamide | 同上 | 神経ー筋接合部位伝達物質・芽体足部外胚葉環状筋収縮 | |
Hym-331 | GPPPGLWamide | 同上 | 同上 | |
Hym-338 | GPPhPGLWamide | 同上 | 同上 | |
Hym-370 | KPNAYKGKLPIGLWa | 同上 | 同上 | |
Hym-176 | APFIFPGPKVamide | 同上 | 神経ー筋接合部位伝達物質・体幹特に足部外胚葉上皮筋収縮 | |
Hym-357 | KPAFLFKGYKPamide | 同上 | ニュロモデュレーター・触手の収縮 | |
Hym-355 | FPQSFLPRGamide | 同上 | 神経分化の促進 | |
Hym-53〜Hym-370までとHym-176〜Hym-357はそれぞれ同一の遺伝子にコードされている。 |
神経ペプチドとしては、神経-筋接合部位で働く伝達物質、他の神経を介して筋収縮・弛緩に効くニューロモデュレーター、神経分化を促進する分化因子等を数多く同定した。特に、ペプチドが筋肉に直接働くかあるいは神経を介するかを区別するのは、上皮筋肉細胞のみからなる上皮ヒドラと正常ヒドラでの反応を比較することで可能であり、このような便利な、しかもin vivoの系は私たち以外持っていない。現在、この系を用いて神経ペプチドとヒドラの行動の関係を調べているが、次々と興味ある結果が得られている。
1999年米国マイアミで北米神経科学会のサテライトシンポジウム「Neuropeptides in the Millennium」が開かれた。私は、ペプチドプロジェクトを宣伝すべくポスター発表をしたが、思いもかけずベストポスター賞(Elsevier Science Award)をもらった。おそらく、主催者は無名の若者が表彰式に出てくるだろうと思ったに違いないが、あに図らんや白髪頭のオヤジが出てきたのにはさぞ驚いただろうと思う。しかし、この受賞はうれしかった。
最近、研究所内の五條堀孝教授のグループとヒドラESTプロジェクトを始めた。現在、7,000の独立したクローンを得ており、マイクロアレーに乗せてある。これらESTsの中から多くの新規神経ペプチド遺伝子を同定した。それら遺伝子の発現解析は進行中であるが、ヒドラ神経系は考えていた以上に複雑なことがわかり、神経系の進化を考える上で重要なヒントを与えてくれた。
今後もペプチドの精製と構造決定は続くが、ヒドラESTsが利用できることから遙かにスピードアップが期待できる。私が、最も力を入れたいことはペプチドをリガンドとする受容体の同定である。現在、進行中であるが、早い機会に一つでも受容体の同定に至りたいと思っている。
今回栄えある動物学会賞をいただくことになったが,対象となった研究は多くの共同研究者に支えられたもので、この賞はこれらの人々と同等に分かつべきものと考えている。この場をお借りして謝意を表したい。特に、宗岡洋一郎、杉山勉両氏にはプロジェクトの立ち上げから、ペプチドの単離、合成、さらには貴重な起案をしていただいた。また、高橋俊雄君の馬力で短時間に多くのペプチドが同定できたし、ポストドクの2年間彼は私の研究室でペプチド精製、構造解析ができるようにセットしてくれた。因みに、彼が学生時代とポストドクで支えた宗岡さんと私が学会賞を受けたことになる。彼の貢献は大である。また、小泉修さんと小早川義尚さん(九州大)には抗ペプチド抗体の作成を受け持ってもらった。表舞台には登場しない役割を淡々とこなして頂いた努力には頭が下がる。宗岡さんの退官後ペプチド合成を担当してもらった広島大の松島治(現広島工大)、森下文浩両氏、大量ヒドラ飼育を可能にした服田昌之君(現お茶大)、その他各研究室の研究者、学生、技術員にも謝意を表したい。最後に、生物活性検定をしてくれた技官の杉本典夫さんが若くして逝かれたことは大変残念であった。ご冥福を祈りたい。
日本動物学会奨励賞 研究内容
ヒトデ卵を用いた減数分裂と受精の研究
お茶の水女子大学 理学部 生物学科
千葉 和義
ヒトデ卵母細胞は、ホルモンである1-メチルアデニン(1-MA)によって容易に減数分裂を再開させ、かつ受精・発生させることが出来ます。このようにヒトデが、減数分裂と受精研究に最適なシステムとなり得たのは、金谷晴夫博士を初めとした、わが国の多くの研究者の功績によります。その財産を基盤として本研究では、以下の3点について明らかにすることができました。 すなわち、
1-MA → レセプター → GTP結合蛋白質 → PI3キナーゼ → MPF
多くの動物の卵母細胞は、第一減数分裂の前期で休止しており、ホルモン等の刺激で減数分裂を再開しますが、減数分裂中期で再び休止し、受精後に減数分裂は再開されます。すなわち多くの場合、減数分裂は2回の休止があって、2度目の休止は受精で破られるのです。たとえば、ヒトやカエルでは第2減数分裂中期で、ホヤや昆虫類は第1減数分裂中期で休止して、受精を待ちます。しかし、ヒトデ卵母細胞を1-MAを含んだ海水で処理すれば、休止せず減数分裂を完了します。そのため本研究以前には、ヒトデ卵は中期休止しないものだと信じられていました。しかしながら、当時は思い付かなかったのですが、この考え方では説明しにくいことがありました。それは、ヒトデ胚が正常に発生するためには、「受精のタイミングが第一減数分裂中期付近(1-MA刺激の約30分後から1時間程度まで)である」という知見でした5)。ところがヒトデ体内において、卵巣が1-MAで刺激されると、内部の卵母細胞は一斉に減数分裂を再開します。その後から卵は少しずつ海水中に放出され、最後の卵が海水中に放卵されるのは、3時間以上経過した後です。これでは、多くの卵は減数分裂が完了してから海水中に放出され、受精することになってしまいます。すなわち、受精の最適時を逃してしまって、多精になってしまうのです。そのような無駄なことが自然界で起こっているはずはなく、これまで信じられていたことのどこかに間違いがあるはずです。実にこの謎は簡単な実験で解き明かすことができました。すなわち、ヒトデ個体から海水中に放出されてきた卵が、減数分裂のどの段階にいるのかを観察すれば良いのです。その結果、放出されたばかりの卵はGVBDしたものであるが(すでに知られていたことです)、まだ極体を放出していなかったのです(今回明らかになった事実です)。実際、ヒトデ体内から卵を取り出して確認したところ、全て第1減数分裂中期で休止していることが分かりました。体内から海水中に放出されることで、卵の減数分裂は再開されるのです。ヒトデはメスとオスの個体が集まって、一斉に放卵放精するので、減数分裂の再開と受精の時期は、ほぼ重なりあうわけです。さらに、中期休止はMAPキナーゼ活性によって維持されること、放卵後の細胞内pH(pHi)上昇によって休止が解除されること、そしてpHi上昇はNa+/H+アンチポーターによって引き起こされることも明らかに致しました。どうやら、卵巣内ではNa+/H+アンチポーターの働きが抑制されているようです。すでに金谷博士らの1-MA発見から30年以上も経っているのですが、ヒトデ体内で“本当に起こっていたこと”が見過ごされていたことに驚きを感じています。この中期休止は、先に説明いたしましたように正常発生を保証する受精タイミング補正装置として役立っていると考えられます。6、7)。本研究をまとめますと、以下の図式の斜線太字を明らかにしました。
MPF → 第1減数分裂中期休止(MAPキナーゼ) → 放卵(Na+/H+アンチポーター活性による細胞内pH上昇) → 減数分裂終了
すでに述べましたように、ヒトデ卵では正常な受精はGVBD以降に成立します。GVBD以前に媒精すると、正常な受精膜は形成されず、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇も阻害されています。この原因として、未成熟卵では、IP3レセプタ−の感受性だけでなく、カルシウムイオン対する表層顆粒の反応性も低いこと、減数分裂が再開されると、それぞれの感受性や反応性が高まり、正常に受精できるようになることを明らかにしました8-10)。これらの結果からも、減数分裂と受精の進行が実に精妙に制御されていることが、明らかになってきました。
発生生物学の分野では、受精卵の発生運命は詳しく研究されてきましたが、受精しなかった卵は「そのうちに力尽きて死んでしまうのだろう」などと考えられて、研究対象にはなっていませんでした。ところが、ヒトデ未受精卵(1-MA刺激を受けたもの)は力尽きて死ぬのではなく、むしろ同調的にプログラムされた細胞死(アポトーシス)を迎えることを、本研究で発見致しました。このアポトーシスの実行には、MAPキナーゼ依存的に活性化されるカスパーゼ3とp38MAPキナーゼが関与します11、12)。この現象の生理的な意義としては、”放卵されなかった卵(未受精卵)が卵巣(または体腔内)で速やかに母体に再吸収される”という機構を反映したものと考えています。他の動物でも未受精卵の死は観察されており、同様な仕組みが関与していると予測しています。また視点を変えて本現象を眺めれば、卵は本来死ぬようにプログラムされていることが分かります。したがって「受精は死を回避する機構である」とも考えられ、新たな切り口で当該分野を理解する糸口がつかめたところです
以上まとめますと、本研究から以下の図式の太字部分が明らかになりました。 1-MA → レセプター → GTP結合蛋白質 → PI3キナーゼ → MPF → 第1減数分裂中期休止(MAPキナーゼ活性化) → 放卵(Na+/H+アンチポーター活性による細胞内pH上昇) → 減数分裂終了 → アポトーシス(MAPキナーゼ不活性化によるp38MAPキナーゼ活性化) → 死(ただし 受精すると → 減数分裂終了 → 発生)。
本研究では、ヒトデという非常に優れた実験動物を解析することで、減数分裂と受精にまつわる個々の分子過程を理解してきました。その結果、それぞれの過程は相互に干渉し合う一連の連続した生物現象であることがより明確に意識できるようになりました。特にこの数年の研究から、「中期休止が正常発生を保証する受精タイミング補正装置として働いている」こと、「受精はアポトーシスを回避し発生させる機構である」こと、そしてそれぞれにMAPキナーゼが関与していること、等々、驚くべき新事実が明らかになりました。
本研究をさらに推進させることで、有性生殖を成り立たせている精妙な仕組みとそれらの意義について、新たな価値基準を打ち立てたいと考えています。 なお、本研究I)の多くは、東京工業大学において星元紀博士のもとで行ったものであり、II)からIII)までは、主にお茶の水女子大学において、筆者の研究室の大学院生達と共に行った成果であることを、付け加えさせていただきます。
昆虫類における共生微生物の機能、起源、進化に関する研究
産業技術総合研究所 生物機能工学研究部門
生物共生相互作用研究グループ
深津 武馬
子どものころから虫ばかり追いかけていた。大学生のときにはアルバイトでまとまった金が貯まると亜熱帯の島へ飛び、レンタカーを借り切ってそのなかで寝泊まりし、蓄えがつきるまで昼も夜も山の中を彷徨って、見たことのない生き物との出会いを追い求めた。私が生態学や進化生物学に強い関心を抱くようになったのも、自然の中に生きるものの美しさと多様性に魅せられた者にありがちな成り行きだったのであろう。
なんとなく生物のことをやるならと東京大学の理学部動物学教室に進学した。授業や実習はそれなりにおもしろかったが、なにか納得がいかなかった。生態学の講座はなかったし、進化生物学はなおさらのこと。それまでのフィールド経験からの皮膚感覚として、開放系の野外においていくら真摯に現象にとりくんでも、わかることに限界があるような気がした。かといって、当時の分子生物学、発生学、内分泌学、生理学、神経行動学などには、確固とした進化生物的な視点は、少なくとも私の限られた知識の範囲ではあまり感じられなかった。「進化など科学とはいえない」と広言される先生方も散見された。もっとも当時の状況では無理もなかった。PCR法もひろく普及しておらず、分子系統樹を構築することすら一般の研究者には高嶺の花だった頃のことである。
卒業研究をはじめる4年次に、アブラムシの共生微生物をやっている石川統教授が赴任してきた。Lynn Margulisの細胞内共生説(1)などとの絡みで、「進化」の臭いがぷんぷんした。対象も慣れ親しんだ昆虫である。迷わず卒研生として研究室にはいり、以来ずっと昆虫類における内部共生現象を主たる研究テーマとすることになった。現在の私の研究室には、アブラムシばかりでなく、ショウジョウバエ、アズキゾウムシ、マルカメムシ、ホソヘリカメムシ、ナガメ、メイガなどさまざまな虫たちが跋扈している。もちろんすべて、大変に興味深い共生微生物を体内に保有しているものばかりである。
それまで私は、当然のことながら、昆虫を“1匹の虫”としか見ていなかった。ところが、昆虫類における共生微生物の普遍性と重要性を認識するようになると、世界はずいぶんと違った姿に見えてきた。昆虫類は既知の生物多様性の過半数をしめ、陸上生態系の中核を構成する生物群であるが、種数にしてまず間違いなく半数以上が1種もしくは複数種の共生微生物を保有している。しかもそれら共生微生物の多くは、宿主の生存や繁殖に必須であったり、宿主の生殖や生態に大きな影響を与えていたりする。すなわち多くの昆虫(のみならず多くの生物)というのは、実は複数の微生物との密接な複合系を構成していて、それらの間の相互作用によって全体としての個体の性質が規定されている。つまり昆虫1匹1匹を、複数の生物から成る生態系としてとらえることができる。しかもこの生態系は明確に区画化されたコンパクトな実体であり、構成要素をすべて同定することができ、要素間の相互作用、個体群動態、物質交換、さらには系全体の性質を代表する重要なパラメーターである個体の適応度までもしっかりと把握することが可能なのである。
このような内部共生関係がみられるのは昆虫類のみに限らない。陸圏水圏を問わず、無脊椎動物から植物や原生生物にまでわたり、微生物との恒常的な共生関係はきわめて普遍的にみられる。脊椎動物については、おそらく高度な異物排除システムとしての獲得免疫機構を進化させたために、腸内微生物叢以外の共生系は稀にしかみられないが、これはどちらかというと例外的なケースである。
宿主生物はこのような内部共生関係の構築により、微生物のもつ特殊かつ効率のよい機能をまるごと取り込んで、単独では利用不可能な食物や環境を利用できるようになる。シロアリ類は腸内原生生物叢の助けによって、消化が難しい木材セルロースを効率的に分解利用できる。アブラムシ類は細胞内共生細菌に必須アミノ酸を効率よく合成してもらうことによって、栄養的にきわめてアンバランスな植物汁液のみを餌として繁栄している。マメ科植物は根粒細菌との共生によって窒素固定能を獲得し、やせた土壌でも生育できるようになる。海底熱水孔のまわりにみつかるハオリムシ類は、口も肛門もない巨大な蠕虫であるが、体幹の細胞内に莫大な量の化学合成細菌を共生させ、普通の動物には有害であるはずの硫化水素から同化産物をつくりだして利用するという驚くべき術を身につけている。
生物進化の原材料となるのは「遺伝する変異」である。もっとも基本的かつ普遍的な遺伝する変異は、DNAに生じる「突然変異」として生物集団にもたらされる。しかしそれだけではなく、より高次の過程として「性」がある。というのは、性には集団中のさまざまな個体に生じた突然変異をサンプリングして組み合わせ、新たな遺伝する変異をつくりだす効果があるからである。しかし性がこのように働くのは基本的には同種個体の間だけであり、生殖的隔離という壁が厳然として存在する。このような障壁をこえてさらなる遺伝する変異を創出する過程として、種の壁を越えて新規な遺伝子が獲得される「遺伝子水平転移」や、機能的な微生物が丸ごと獲得される「内部共生」が重要な意義を有すると考えている。
私の手元に1冊の本がある(2)。19世紀末から20世紀半ばくらいまでのドイツを中心とした一群の微生物学者は、光学顕微鏡を唯一のテクノロジーとして、思いつく限りのあらゆる動物の体内微生物を探索する営みに没頭した。その集大成としてPaul Buchnerという碩学が著したこの書物は、1965年に出版されてから現在に至るまで、内部共生現象に関心をもつ者にとってのバイブルであり、私にとっても未だに尽きぬ驚きとアイディアの源泉である。セミ、アリ、ゴキブリ、ゾウムシ、カメムシ、アブラムシ、ハエなど、身の回りにいるありとあらゆる虫たちの体内に、多種多様な微生物群が高度な共生系を構築しているという事実が、圧倒的な量の手書きの図と記載文によって提示される。しかもそれら興味深げな現象のほとんどは、少数のモデル系に依拠した近代生物学の潮流から置き去りにされ、以来まったく研究がなされていない。
ナチュラリストとしてのバックグラウンドをもち、生物の多様性と進化に心惹かれていた私という学生にとって、このような未探索の現象の沃野を知ったときは、まさに目の覚める思いであった。普段からなじみ親しんでいた昆虫という姿の中に、このような豊かな見えざる世界が入れ子になって隠されていたとは。野山で見つけた虫たちは、ただ採集して飼育したり標本として眺めて楽しむだけの存在ではなくなった。片っ端から組織切片を作製して観察し、古い記載がことごとく真実であることを確認した。最新の組織化学的手法を、タンパク質の解析を、分子生物学的技術を、分子系統解析を、細胞分画法や培養法を、昆虫生理学を、難培養性微生物の解析法を、進化生態学の理論やコンセプトを、書物や先生や先輩や友人から次々と身につけていった。この未開の領野を総合的に理解するには、分子レベルから進化生態レベルにわたる技術と知識で武装し、昆虫学と微生物学の双方に通暁する必要があった。それは決して努力を要する作業ではなく、むしろ純粋に楽しみといえた。これが自分のライフワークになるであろうという予感があった。そしてその予感は正しかった。
もともと生物現象の多様性に惹かれていた私としては、単一の研究テーマに集中して取り組むというよりは、むしろさまざまな対象に関心を抱き、研究の幅を拡げていくことを志向した。ふりかえってみれば、研究テーマを選ぶにあたってのポイントは以下のようなものだったといえる。
当然のことながら、独りで研究をすすめていた当初は、広く浅くということにならざるを得なかった。しかしこのような研究に関心を抱き、発想に共感し、志を同じくするポスドクや大学院生たちが次第に集まり、研究グループの形をなしていくにつれ、それぞれの研究テーマが質的にも深化をとげ、それら研究テーマ間およびそれらに取り組む研究者間においてポジティブなフィードバックが働くような状況になっていった。
現在の私の研究室では、ポスドクや大学院生や共同研究者の皆さんと共に、以下に挙げる研究プロジェクトに取り組んでいる。
これらの具体的な研究に取り組んでいく中から、以下のような本質的な問題に対する回答なりイメージなりが浮かび上がってくるに違いない。それらこそが私の知りたいことであり、追求したいことである。
今後とも、志を同じくする仲間たちとともに、こうした研究に全力で取り組んでいくつもりである。少なくともこの情熱、好奇心、そして新たな発想の続くかぎりにおいて。
私が学生だった頃よりも、生物学のミクロ分野とマクロ分野の間の垣根は明らかに低くなりつつある。分子進化学および分子系統学の枠組みの完成と普及により、分子生物学者でも進化的発想をもつことはもはや自明のこととなった。発生学は分子機構の共通性をよりどころとした進化的視座にたち、Evo-Devoの旗印のもとに大きな展開をみせている。ショウジョウバエや線虫などのモデル生物系で開発され、洗練された分子遺伝学的技術は、少しずつではあるけれども、かつては「非モデル系」「特殊」などと呼ばれて顧みられることのなかった、しかしそれぞれにきわめて興味深い現象を有するさまざまな生物にも適用できるようになってきた。そのようなエキサイティングな時代に、進化生物学者として居合わせることのできる幸運を喜びたい。「何が研究できるのか」に過度に発想を束縛されることなく、「何を研究したいのか」を真摯に考えて対象や現象を選び、自らが本当におもしろいと思える研究をおこなうことができるのだから。
多種多様な生物の研究のよりどころとなる組織として、日本動物学会がきわめて重要な役割を果たしてきたということは衆目の一致するところである。今回このような形で動物学会より顕彰いただけることは大変な名誉であるとともに、これまで信じて進んできた方向でよかったのかな、と意を新たにする機会ともなった。今回の受賞対象となったのがいろいろな研究テーマのうちの特にどれなのかはよくわからないが、いずれにせよ私だけの研究でないことは明らかである。多すぎて名は挙げられないが、日々共に研究にいそしんでいる共同研究者の皆さんとともに喜びたいと思う。
思いかえせば私は、「昆虫類における内部共生現象」というおそらくは終生のテーマに引きあわせてくださった石川統先生をはじめとして、先生や先輩や上司に常に恵まれてきた。生意気ばかりで実績もなく、勢いのみは一人前であった私を見まもり、励まし、さまざまなチャンスを与えてくださった多くの方々に心よりの謝意を表したい。
会員異動
松本 太朗 | (7;890-0056 鹿児島市下荒田4-50-20鹿児島大学水産学部漁業基礎工学講座) |
田代 純久 | (3;950-2181 新潟県新潟市五十嵐2-8050 新潟大学大学院自然科学研究科生命・食料科学専攻前野研究室) |
北島 有夏 | (5;678-1297 兵庫県赤穂郡上郡町光都3-2-1 兵庫県立大学大学院生命理学研究科生命科学専攻生体情報学I) |
高見 梨沙 | (5;630-8506 奈良市北魚屋東町 奈良女子大学大学院人間文化研究科生物科学専攻分子細胞生物学講座細胞情報学分野春本研究室) |
氏家 康孝 | (3;950-2181 新潟市五十嵐2-8050 新潟大学大学院自然科学研究科前野研究室) |
川口 亜弥 | (3;950-2181 新潟県新潟市五十嵐2の町8050 新潟大学大学院自然科学研究科地球環境科学専攻濱口研究室) |
Gusev, Oleg A. | (6;700-8530 岡山県岡山市津島中3-1-1 岡山大学大学院自然科学研究科進化・環境研究室) |
藤田喜久 | (7;903-0213 沖縄県西原町千原1番地 琉球大学理学部海洋自然科学科諸喜田茂充教授気付け 琉球大学大学教育センター) |
岡野 一郎 | (3;950-2181 新潟県新潟市五十嵐二の町8050番地 新潟大学大学院自然科学研究科生命・食料科学専攻井筒研究室) |
後藤 康之 | (6;739-0526 広島県東広島市鏡山1-3-1 広島大学大学院理学研究科生物科学専攻附属両生類研究施設発生遺伝学部門) |
武内 史英 | (3;305-8572 茨城県つくば市天王台1-1-1 筑波大学大学院生命環境科学研究科沼田研究室) |
中澤 友紀 | (3;113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻分子生理学研究室) |
早川 英介 | (4;411-8540 静岡県三島市谷田1111 総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻) |
大野 智久 | (3;153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系松田研究室) |
竹本 訓彦 | (5;565-0871 大阪府吹田市山田丘1-3 大阪大学大学院生命機能研究科生命機能専攻河村研究室) |
中村 真理子 | (3;169-8050 新宿区西早稲田1-6-1 早稲田大学教育学部生物学教室菊山研究室) |
清水 裕 | (4;411-8540 三島市谷田1-111 国立遺伝学研究所) |
上野 裕則 | (3;305-8572 茨城県つくば市天王台1-1-1 筑波大学生命環境科学研究科沼田研究室) |
満武 里奈 | (3;153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻松田良一研究室) |
吉田 真明 | (5;560-0043 大阪府豊中市待兼山町1-1 大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻常木研究室) |
中田 友明 | (3;169-8050 新宿区西早稲田1-6-1 早稲田大学教育学部理学科生物学教室菊山研究室) |
角田 宗一郎 | (5;6578501 神戸市灘区六甲台町1-1 神戸大学理学部生物学科洲崎研究室) |
藤本 貴史 | (1;041-8611 北海道函館市港町3-1-1 北海道大学大学院水産科学研究科生命資源科学専攻育種生物学講座) |
原 祐子 | (3;113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻免疫分子進化学研究室) |
萱嶋 泰成 | (3;223-8521 横浜市港北区日吉4-1-1 慶應義塾大学法学部生物学教室) |
秋山 吉寛 | (1;060-0810 北海道札幌市北区北10条西5丁目 北海道大学大学院地球環境科学研究科生態環境科学専攻環境情報医学講座岩熊研究室) |
高橋 一彰 | (2;980-8578 仙台市青葉区荒巻字青葉 東北大学大学院生命科学研究科多様化機構分野山本研究室) |
金子 美代子 | (3;169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1 早稲田大学教育学部生物学教室) |
竹前 喜洋 | (3;152-8550 東京都目黒区大岡山2-12-1 東京工業大学大学院生命理工学研究科生体システム専攻本川研究室) |
高久 康春 | (5;606-8501 京都府京都市左京区吉田近衛町 京都大学大学院医学研究科・先端領域融合医学研究機構) |
久富 裕子 | (7;842-8585 佐賀県神埼郡神埼町大字尾崎4490-9 西九州大学健康栄養学科生物学研究室) |
成瀬 貫 | (7;907-1311 沖縄県八重山郡竹富町黒島136 日本ウミガメ協議会附属黒島研究所) |
菊地 有由美 | (3;294-0301 千葉県館山市香11 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科ライフサイエンス専攻清本研究室) |
菊地 亮介 | (4; 富山県富山市五福3190 富山大学理学部生物学科生体制御学講座内山研究室) |
片桐 信人 | (4;422-8529 静岡県静岡市大谷836 静岡大学理学部生物教室田中研究室) |
田口 恵 | (2;990-8560 山形県山形市小白川1丁目4-12 山形大学大学院理工学研究科生物学専攻中内研究室) |
渡辺 由紀子 | (2;990-8560 山形市小白川町1丁目4-12 山形大学理学部生物学科中内研究室) |
築田 淳爾 | (6; 広島大学生物圏科学研究科水族生理学研究室) |
小松崎 悦子 | (3;156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40 日本大学大学院総合基礎科学研究科相関理化学専攻生物化学研究室) |
阿武 千春 | (6;780-8520 高知県高知市曙町2-5-1 高知大学理学研究科細胞分子工学研究室) |
小林 大 | (3;156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40 日本大学大学院総合基礎科学研究科相関理化学専攻生物化学研究室) |
松本 誠治 | (3;192-8508 東京都八王子市宮下町476 杏林大学保健学部環境生命科学研究室) |
Kaftanovskaia, Elena | (4;464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学生物機能開発利用研究センター純系動物器官機能利用分野) |
Bubenshchikova, Ekaterina | (4;464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学生物機能開発利用研究センター純系動物器官機能利用分野) |
小境 久美子 | (3→3;154-0002 東京都世田谷区下馬4-1-5 東京学芸大学附属高等学校) |
諏訪 僚太 | (7;903-0213 沖縄県西原町字千原1番地 琉球大学理工学部海洋環境学専攻日高研究室) |
久保田 眞 | (4;422-8529 静岡県静岡市大谷836 静岡大学理学部生物学教室田中研究室) |
福田 七穂 | (3;277-8562 柏市柏の葉5-1-5 東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻分子認識化学分野) |
小林 真悠香 | (3;223-8522 横浜市港北区日吉3-14-1慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻星・松本研究室) |
紺野 在 | (3;415-0025 静岡県下田市5-10-1 筑波大学大学院生命環境科学情報生物学専攻稲葉研究室) |
久枝 由佳 | (5;630-8506 奈良市北魚屋西町 奈良女子大学大学院人間科学研究科生物科学専攻個体機能学講座) |
岡本 卓 | (5;606-8502 京都府京都市左京区北白川追分町 京都大学大学院理学研究科動物学教室動物系統学研究室) |
島 達也 | (5;573-0163 大阪府枚方市長尾元町5丁目17-18-302 日本ウミガメ協議会) |
小林 真悠香 | (3;223-8522 横浜市港北区日吉3-14-1 慶應義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻星・松本研究室) |
田中 悠里 | (5;630-8506 奈良市北魚屋西町 奈良女子大学大学院人間文化研究科生物科学専攻細胞情報学分野春本研究室) |
新村 英明 | (3;152-5881 東京都目黒区大岡山2-12-1 東京工業大学生命理工学研究課生体システム専攻本川達雄研究室) |
出口 真理子 | (4;920-1192 石川県金沢市角間町 金沢大学大学院自然科学研究科生物科学専攻) |
荻野 由紀子 | (7;860-0811 熊本市本荘2-2-1 熊本大学生命資源開発研究・支援センター動物資源開発研究部門) |
末友 靖隆 | (5;657-8501 兵庫県神戸市灘区六甲台町1-1 神戸大学理学部生物学科洲崎研究室) |
藤井 俊裕 | (4;517-0004 三重県鳥羽市菅島町429-63 名古屋大学理学部生命理学科) |
上原 亮太 | (3;153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境系馬渕研究室) |
中野 剛 | (2;980-0845 仙台市青葉区荒巻字青葉149 宮城教育大学理科教育講座出口研究室) |
荒城 雅昭 | (3;305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-3 農業環境技術研究所生物環境安全部) |
捫垣 友三香 | (4;930-8555 富山県富山市五福3190 富山大学理工学研究科生物学専攻松田研究室) |
山嵜 敦子 | (4;920-1192 石川県金沢市角間町 金沢大学大学院自然科学研究科生物科学専攻) |
石井 清夏 | (6;700-8530 岡山市津島中3-1-1 岡山大学理学部生物学科行動生理研究室) |
川口 晃司 | (3;153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系奥野研究室) |
川上 功 | (5;678-1297 兵庫県赤穂郡上郡町光都3丁目2番1号 兵庫県立大学大学院生命理学研究科生体情報学1講座) |
嶋田 健一 | (3;153-8902 目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系松田研究室) |
網本 靖子 | (7;810-8560 福岡市中央区六本松4丁目2番1号 九州大学大学院理学府生物科学専攻細胞機能学講座) |
川津 真吾 | (7;810-8560 福岡県福岡市中央区六本松4-2-1 九州大学大学院理学府生物科学専攻細胞機能学講座小早川研究室) |
本郷 儀人 | (5;606-8502 京都市左京区北白川追分町 京都大学大学院理学研究科生物科学専攻動物学教室動物行動学研究室) |
伊藤 直 | (6;739-8521 広島県東広島市鏡山1-7-1 広島大学総合科学部総合生理学研究室) |
渡邉 英博 | (2;980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学大学院生命科学研究科微小脳解析分野水波研究室) |
篠 至厚 | (5;606-8585 京都市左京区松ヶ崎海道町 京都工芸繊維大学繊維学部応用生物学科化学生態学研究室) |
張 岩 | (3;950-2101 新潟市五十嵐2の町8050番地 新潟大学理学部生物学科小林研究室) |
高尾 大輔 | (3;153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院総合文化研究科生命環境上村研) |
村山 壮一 | (3;305-8572 茨城県つくば市天王台1-1-1 筑波大学大学院生命環境科学研究科沼田研究室) |
木原 孝洋 | (5→5;564-0053 大阪府吹田市江の木町33-94 大日本製薬株式会社・薬理研究所) |
今井 真理子 | (2→3;294-0301 千葉県館山市香11 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科ライフサイエンス専攻生命科学系清本研究室) |
坂 晋 | (1→1;060-0812 札幌市北区北12条西6丁目 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学専攻細胞分子薬学講座生化学分野) |
吉原 正雄 | (6→;739-8526 東広島市鏡山1-3-1 広島大学大学院理学研究科生物科学専攻情報生理学研究室) |
古川 康雄 | (6→6;739-8521 東広島市鏡山1-7-1 広島大学総合科学部行動科学講座) |
原本 真二 | (4→4;930-8555 富山県富山市五福3190 富山大学理学部生物学科山崎研究室) |
大谷 哲 | (1→;631-8505 奈良県奈良市中町3327-204 近畿大学農学部水産学科水産生物学研究室) |
吉永 雅史 | (3;722-0073 広島県東広島市鏡山1-3-1 広島大学大学院理学研究科生物学専攻情報生理学講座) |