学会賞・奨励賞関連

動物の卵成熟および発生の開始機構の比較解析

宮城教育大学・理科教育講座
出口 竜作

1. はじめに
 動物の卵巣内で成長した一次卵母細胞(未成熟卵)は、ホルモン等の刺激を受けて減数分裂を開始する(卵成熟の開始)。卵成熟を開始した卵細胞は、多くの場合、種に特有な時期で減数分裂を休止して受精を待つ。このような成熟卵は、受精が成立すると精子からの刺激によって減数分裂を再開する(発生の開始)。卵成熟や発生の開始に際しては、卵外からの刺激(ホルモンや精子)と最終的に卵内で働く因子(細胞周期制御タンパク質など)をつなぐステップとして、卵内のCa2+濃度、cAMP濃度、pHなどの変化が重要であると考えられている。私は、これらの「セカンドメッセンジャー」の働きが、動物全体で普遍的なものなのか、多様性を示すのか─その場合、系統進化と関連があるのか─という点に興味をもち、様々な動物種を用いた比較研究を重ねてきた。本稿では、私がこのようなテーマで研究を行うようになった経緯と得られた結果の概要について紹介させていただきたい。

2. 浅虫にて 〜二枚貝を用いた研究(1)〜
東北大学理学部生物学科の4年生になった私は、青森市浅虫にある理学部附属臨海実験所で卒業研究を行うことを決めた。「受精」「発生」という現象に興味があった。しかし、研究の背景が全く分かっていなかったため、何をすべきか良く分からず、しばらくは魚釣りばかりをしていた。今から考えると、どうしようもない学生である。そのような私に対して、指導教員の長内先生は、「1ヶ月ほど時間をあげるから、どのような材料でどのような研究を行うのか考えなさい」とおっしゃって下さった。長内先生や経塚さん、修士2年の山田さんがムラサキイガイやマガキを使って卵成熟や受精の研究をされていたことから、取りあえず二枚貝を研究対象にすることにした。
ある日、近くの久栗坂漁港でのマボヤの水揚げに同行した時に、フクレユキミノガイという二枚貝に出会った。パクパクと殻を開閉させながら、「私たちのことを研究して!」と叫んでいるような気がして、これを研究材料に選んだ。漁師さんは「何でこんな貝を?研究するならホタテをやれ。」と言ったが、漁港にしょっちゅう通うようになってからはこの貝を集めるのを手伝ってくれるようになった。フクレユキミノガイの卵巣から切り出した未成熟卵を、卵内のpHを上昇させる効果のある試薬(アンモニアなど)で処理すると、PI期からの減数分裂が開始され、第一減数分裂中期(MI期)で停止した成熟卵が得られた(1)。一方、成熟卵は、精子のほか、卵内のCa2+濃度を上昇させる試薬(Ca2+イオノフォアなど)の投与によって、MI期からの減数分裂を再開した(1)。実は、これらの結果は、フランスで良く用いられているPatellaという笠貝で報告されていたものと全く同じであった。メジャーな材料ですでに分かっている結果を、マイナーな材料で再現したにすぎなかった。しかし、生物学の基礎が頭にない私はそのような意識を全くもたず、オリジナルな材料(世界で自分だけ!)で実験結果を得たことに満足していた。
大学院修士課程に入学した頃に、蛍光顕微鏡に顕微測光装置のついたシステムが導入され、蛍光指示薬による卵内pHやCa2+濃度の測定が可能になった。倉石さんに顕微注入のやり方を一から教わり、フクレユキミノガイの未成熟卵や成熟卵に蛍光指示薬を注入する練習をした。フクレユキミノガイの卵は壊れやすく、顕微注入は難しかったが、1ヶ月ほど練習を続けた結果、ようやくコツをつかむことができた。pHやCa2+の蛍光指示薬を注入して調べたところ、予想通り、PI期からの卵成熟開始時には卵内pHの上昇が、MI期からの発生開始時には卵内Ca2+濃度の上昇が起こっていた。また、pHやCa2+の上昇が卵成熟や発生の開始にそれぞれ必要十分な刺激になっているという結果も得て、修士2年の時には初めて動物学会で発表を行うことができた。
魚釣りよりも研究のほうが面白くなってきて、これを継続したいと思い、博士課程に進学した。この頃には、浅虫周辺の様々な二枚貝を駆使するようになっていた。春と秋にはフクレユキミノガイ、夏にはマガキ、秋から冬にかけてはキヌマトイガイ、冬から春にかけてはムラサキイガイと、材料を季節ごとに変えることによって、1年間を通して二枚貝の実験を行った。この4種の二枚貝は、いずれも成熟卵がMI期で停止して受精を待つタイプであり、PI期からMI期に至る卵成熟過程ではいずれも卵内pHの上昇が起こっていた(2、3、4)。ただし、pH上昇が卵成熟開始の必要十分な刺激になっている種があるのに対し、Ca2+濃度の上昇がpHの上昇とともに必要とされる種もあるなど、ある程度の相違も見られた。また、MI期からの発生開始時には、卵内pHは上昇せず、卵内Ca2+濃度の上昇が重要である点も共通していた。
発生開始時の卵内Ca2+濃度変化については、1983年にLionel Jaffeが興味深い仮説を発表していた(5)。受精時のCa2+上昇は、後口動物では精子侵入点から対極へと波状に伝播する「Ca2+波」の形状をとり、卵内の貯蔵器官からのCa2+遊離に依存しているのに対し、前口動物では精子侵入点とは無関係に卵全体で起こり、卵外からのCa2+流入に依存しているというものである。私が研究を開始した頃には、ハムスター、カエル、メダカ、ホヤ、ウニなどの後口動物で、実際に受精時に精子侵入点からのCa2+波が起こることが報告されていた(6、7、8など)。また、ハムスターとホヤの受精卵では、持続時間の短いスパイク状のCa2+上昇が繰り返して生じる、いわゆるCa2+オシレーションが起こることが見いだされていた(7、8)。一方、前口動物では、間接的な証拠から、Ca2+流入が不可欠であるという主張がなされているにすぎず、受精時のCa2+変化が直接測定されたこともなかった。MI期で受精する4種の二枚貝で調べたところ、いずれの卵も受精直後に大きなスパイク状のCa2+上昇を示した後、Ca2+オシレーションを伴うことが分かった(9)。ムラサキイガイを用いた詳細な解析から、受精直後の上昇は細胞膜上の電位依存性Ca2+チャンネルを介した外部からのCa2+流入に依存しているのに対し、その後に起こるオシレーションはイノシトール3リン酸(IP3)レセプターに依存する卵内の小胞体からのCa2+遊離に依存していると考えられた(10)。このように、MI期で受精する二枚貝では、受精直後にはJaffeの予想した「前口動物タイプ」の上昇が起こるのに対し、その後は「後口動物タイプ」の上昇(オシレーション)に移行することが明らかになった。これに対し、同じ二枚貝でも、卵成熟という過程なしにPI期で受精し、発生を開始するバカガイでは、受精時には単一のCa2+上昇しか起こらず、これは電位依存性Ca2+チャンネルを介した外部からのCa2+流入のみに依存していることも分かった。5種の二枚貝を用いた比較解析の結果をまとめ、博士課程を無事に終えることができた。 浅虫では、研究室に所属している学生こそ少なかったが、その分、スタッフの方々に厚く面倒を見ていただいた。また、春と秋にはユウレイボヤグループ、夏には東北地方の各大学の臨海実習生・引率教員、秋にはイトマキヒトデ採りのメンバー、冬にはマボヤグループなど、季節ごとに多くの研究者・学生と出会うことができた。毎晩のように宿舎で飲み、生物学に関するさまざまなディスカッションができたことは、何にも代え難い財産だったと今でも思っている。

3. 三崎にて 〜二枚貝を用いた研究(2)〜
大学院研究生を経て、学術振興会の特別研究員(PD)に追加採用された私は、東京大学理学部附属三崎臨海実験所の森沢先生の元で、二枚貝の研究を継続できることになった。三崎で主に取り組んだのは、高感度カメラと画像解析装置を用いた卵内Ca2+変化の空間パターンの解析である。PI期で受精するバカガイとMI期で受精するムラサキイガイ、アサリを用いて調べてみたところ、受精直後には、卵表全体で一気にCa2+上昇が開始し、それが卵の中央に向けて求心的に拡がるパターンを示すことが分かった(11、12)。また、MIタイプの二枚貝で起こるCa2+オシレーションにおいては、個々のCa2+上昇はいずれもCa2+波の形状をとることも確認できた(11)。会心の結果であり、画像を見た時にはとても興奮した。しかし、結果をまとめて論文を書こうと思った矢先、MI期で受精するヒモムシ(13)やPI期で受精するユムシ(14)などの前口動物で、ほぼ同じ結果が発表されてしまった。
三崎に所属していたのは、1年と数ヶ月間のことであったが、その間には、浅虫にも増して多くの研究者と知り合うことができた。多様な研究材料、多様な研究内容、多様な人生観・・・、レベルの高い研究者が大勢いることにショックを受けつつも、さまざまなことを吸収することのできた時期であった。

4. 生理研にて 〜マウスとホヤを用いた研究〜
 三崎に所属していた時、東京女子医科大学の宮崎先生から声をかけていただいた。宮崎先生が客員教授となっていた岡崎の生理学研究所の細胞内代謝部門で研究員を募集しているとのことであった。三崎での二枚貝の研究に未練はあったが、哺乳類の卵を用いたトップレベルの研究に惹かれ、所属を移すことを決めた。
この頃、精子からのどのような刺激が受精時の卵内Ca2+上昇を引き起こすのかという点が大きな関心を集めていた。ハムスターの精子抽出液をマウスの卵内に顕微注入すると、Ca2+オシレーションが誘導されることが分かっていたことから、この時の卵内Ca2+上昇のパターンを共焦点レーザー顕微鏡を用いて詳細に解析するという実験に取り組むことになった。宮崎先生の実験アイデアを元に、東京女子医大の尾田さんがハムスターの精子抽出液の粗精製を、私がマウス卵への蛍光指示薬の顕微注入と共焦点レーザー顕微鏡の操作を、そして生理研の毛利さんが精子抽出液の微量顕微注入を担当するなど、完全に分業体制でこの困難な実験に臨んだ。その結果、適当な濃度・量の精子抽出液の注入によって、受精時と相同の時間的・空間的パターンをもったCa2+オシレーションを誘導できることが分かった(15)。また、浅虫の経塚さんとの共同研究により、ユウレイボヤの精子抽出液をユウレイボヤの卵に顕微注入した時にも、やはり受精時と相同のCa2+オシレーションが誘起されることも明らかになった(16)。現在、哺乳類では、精子中に含まれるホスフォリパーゼCゼータというタンパク質が受精時に卵内に持ち込まれ、Ca2+オシレーションを引き起こすと考えられているが(17、18)、それにつながる基礎研究に参加できたのは幸せなことであった。
生理研では、この他に、マウス卵の正常受精時のCa2+変化の解析も手がけた。オシレーション中の個々のCa2+上昇はそれぞれCa2+波によって開始していること、このCa2+波の伝播速度は受精後の時間とともに上昇していくこと、またCa2+波は最初のうちは精子侵入点から開始するが、次第に精子核の位置とは無関係に植物極側から開始するようになることなど、基礎的ではあるが重要な知見を得ることができた(19)。 生理研に所属したのは、ちょうど1年間という短い期間であったが、最先端の機器類を用い、「チーム」を組んで研究を行うという貴重な経験ができた。また、それまでの理学系とは異なった医学系の研究者と知り合うことのできた時期でもあった。

5. 宮教大にて 〜多様な動物を用いた研究〜
 幸運なことに、宮城教育大学の生物学教員に採用され、大学の学部以来となる仙台の地に戻ってくることになった。生理研から宮教大に移る際には、宮崎先生や毛利さんのご好意により、すでに使われなくなっていた旧式の蛍光顕微鏡と高感度カメラを貸していただいた。
赴任後の最初の2年間はとても忙しく、蛍光顕微鏡や高感度カメラをダンボール箱から出すこともなく過ぎていった。今後どのような研究を行っていくべきか悩んだ時期でもあった。取りあえずは、広いスペースや特別な機器類を必要とせずに簡単に飼育が行える材料を探し、そこから何かを見つけようと考えた。研究室の学生達とともに海や沼に行き、いろいろな動物を手当たり次第採ってきては飼育した。そのうち、それぞれの動物の産卵期がいつなのかが分かってくる。実際に卵や精子を目にすると、卵に針を刺したくなる。結局は、卵成熟・受精の研究から離れられなかった。蛍光顕微鏡と高感度カメラをダンボール箱から出して設置し、卵内のセカンドメッセンジャーの解析ができる体制を整えた。
その後、刺胞動物門のクラゲ(20、21、22)、軟体動物門の笠貝(23)、環形動物門のエラコ(24)など、多様な動物の採集・飼育を手がけた。特に、何種かのクラゲでは、研究室内でライフサイクルを完全に制御することができるようになり、1年間を通して毎日、卵成熟や発生の実験を行うことが可能になった(20、21)。また、それぞれの動物における卵成熟・発生の誘起法や蛍光指示薬等の卵内への顕微注入法などを確立していった。
進化過程のより早期に分岐し、放射相称の単純な体制をもつクラゲでは、卵は減数分裂完了後に受精する。タマクラゲ、エダアシクラゲ、カギノテクラゲ、Clytiaの卵では、いずれも受精直後に精子侵入点(クラゲ卵では動物極に限定されている)から開始されるCa2+波が起こること、これは主にIP3レセプターを介したCa2+遊離に依存していること、その後オシレーションを伴わないこと、などが分かった(22)。さらに、エダアシクラゲにおいては、卵内Ca2+上昇の下流にMAPキナーゼの不活性化(脱リン酸化)があること、これが細胞周期の進行のみならず、卵からの精子誘引物質の放出停止を引き起こすのに必要十分な刺激になっていることも明らかになった(25)。
クラゲでは、卵成熟開始機構の解析も手がけた。タマクラゲは成熟しても2〜3mmほどの小さくて透明なクラゲである。光刺激(暗から明)を受けると卵巣内の未成熟卵は卵成熟を開始し、45〜50分後に減数分裂を終えた成熟卵が卵巣内から放出されてくる。卵巣から単離した卵を用いたin vitroでの解析に加え、卵巣内の卵を対象にしたin vivoでの解析も行い、光刺激によって卵内のサイクリックAMP濃度が上昇することや、この上昇が卵成熟開始に必要十分であることなどを示した(26)。
MI期で受精する笠貝(クサイロアオガイ、カスミアオガイ、コガモガイ、ヨメガカサガイ、ベッコウガサガイの5種)の卵では、受精直後には卵表全体から中央に向けて拡がるCa2+上昇が起こるが、オシレーションは起こらず、卵内Ca2+上昇は外部からのCa2+流入のみに依存していた(23)。また、成熟した笠貝卵ではIP3による卵内Ca2+放出機構が未発達であり、卵内の小胞体の分布がオシレーションを示すような卵とは異なっていることも分かった(23)。その後、MI期で受精するエラコ(投稿中)やシャミセンガイ(投稿準備中)でも、笠貝と同様の結果が得られている。すなわち、前口動物の卵は受精直後に外部のCa2+を流入させる機構を共通してもっているが、その後、内部のCa2+を遊離させてCa2+オシレーションを起こすものと起こさないものがいると考えられる。
宮教大に赴任してから10年目にはいる。研究時間・研究スペース・研究資金、どれもが十分とは言えない状況であるが、自由な雰囲気とやる気のある学生達に囲まれ、楽しく研究を続けてくることができた。限られた状況下でも飼育でき、受精・発生させることができる動物を探索してきたことは、小学校・中学校・高校などの教育現場でも活用可能な動物を知ることにもつながっている。

6. おわりに
 「モデル動物」とはほど遠いようなマイナーな動物達を用いて研究を行ってきたが、そのような「泥臭い」研究内容を今回評価していただいたことを大変嬉しく思っている。今回の奨励賞受賞を励みに、今後、(1)発生開始時の卵内Ca2+変化の多様性と普遍性の理解、(2)光刺激によるクラゲの卵成熟開始機構の解明、(3)生物教育への貢献、の3点を目標に頑張っていきたい。(1)では、さらに多様な動物種を用いて発生開始時の卵内Ca2+変化やその制御機構について調べ、動物の系統進化や環境への適応との関連を明らかにしていきたい。また、分子生物学的なアプローチにも挑戦して、この現象のより深い理解につなげていきたい。Jaffeの言う「後口動物型」が原型なのか?オシレーションの有無は何に起因しているのか?精子内に含まれている卵活性化因子にはどの程度の多様性があるのか?・・・・まだまだ疑問だらけである。(2)では、単純な体制をもち、研究室で無性的にも有性的にも増やすことができ、光によって確実に卵成熟を誘起できるといった利点をもつクラゲを用い、光刺激の受容から卵成熟開始に至るまでの経路で働いている全ての細胞を同定するとともに、細胞相互間における情報伝達機構を明らかにしていきたい。(3)では、多様な動物を用いてきた(用いている)経験を活かし、採集・飼育や受精・発生の観察がより簡単に行えるような動物を探索し、小学校から大学に至るまでの学校現場に提供していくことにより、生物教育に貢献できたらと思っている。

今回、このように自分の研究を振り返ってみて、いつの時代にも周りの方々に暖かく支えられてきたことを再認識しています。私には特別な研究能力(特殊な研究手法や人並み外れた発想力・思考力など)があるわけではありませんが、人と巡り会える「幸運」だけは誰にも負けないと思っています。
東北大学の学部・大学院の6年間、公私にわたって私を支えて下さった長内健治先生、ポスドク時代に温かいご指導をいただいた森沢正昭先生、宮崎俊一先生には、心から感謝しております。動物の扱い方をはじめとした研究の基礎を身に付けることができたのは、東北大学浅虫臨海実験所、東京大学三崎臨海実験所、生理学研究所細胞内代謝部門、東京女子医科大学第二生理学教室、宮城教育大学理科教育講座の方々のおかげです。特に、倉石立博士、経塚啓一郎博士、毛利達磨博士、白川英樹博士、尾田正二博士からは、顕微注入や画像解析など、私の研究における必須の技術を教えていただきました。北海道大学の山下正兼博士、東京工業大学の立花和則博士には、二枚貝やクラゲの生化学実験を進める上で大変お世話になりました。国立科学博物館の並河洋博士からは、クラゲの採集や分類に関する重要な情報を幾度となく教えていただきました。東北区水産研究所の皆様には、濾過海水を定期的に提供していただいています。浅虫と三崎の皆様には、現在でも材料の採集などでお世話になっています。喜びと悲しみをともにしながら一緒に研究を進めてきた私の研究室の学生達にも、感謝の気持ちでいっぱいです。最後になりましたが、私の大学院時代から現在に至るまで、刺激と励みを与え続けて下さっている日本動物学会の皆様にも、深く感謝申し上げます。

参考文献
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