平成25年度(2013年度)選考結果について
2013年6月11日掲載
 日本動物学会理事会は、成茂動物科学振興賞選考委員会の審議結果を受け、審議検討を行った結果、下記のように本年度の授賞者を決定しました。

浜中 良隆 
「ペプチド作動性ニューロンの分化を支配する遺伝子 dimm の形態学的機能解析」

平成25年 成茂動物科学振興賞<浜中良隆>氏の授賞理由

浜中さんは、ショウジョウバエの視細胞を実験材料として用いて、ペプチド作動性ニューロンの分化を支配する遺伝子の機能について研究し、微細構造学的な解析と機能解析を巧みに組み合わせることにより、明確な結論を得た。通常の脳内の化学シナプス(速い情報の伝達を行う)においては小型で電子密度の低いシナプス小胞に神経伝達物質が含まれているが、一方、遅い神経修飾作用などをもつ神経ペプチドは大型の有芯顆粒に含まれていて、それらは機能のみならず小胞の形成過程や放出過程も異なっている。浜中さんは、ショウジョウバエ視細胞に転写制御因子dimmを強制発現させることにより、野生型では小型シナプス小胞をもち視細胞として速い化学シナプス伝達を行っていたシナプスが大型有芯顆粒をもつようになるという極めて興味深い研究成果を発表した。さらに、ここにペプチドの遺伝子を共発現させるとそのペプチドが大型有芯顆粒に含まれるようになることや、視細胞としての生理的な機能も変化することを証明した。このことは、ひとつの遺伝子の導入により、速い化学シナプス伝達を行う神経細胞をペプチド作動性の細胞に分化させることができ、遺伝子 dimmがペプチド分泌細胞への分化を制御するマスター遺伝子である可能性を強く示唆していて、動物学的にも大変興味深い。このように本研究は極めてオリジナリティの高いものであり、今後のさらなる進展が期待され、成茂動物科学振興賞にふさわしいものである。

<< 戻る >>



*