平成26(2014)年度選考結果について
 平成26年6月10日掲載
動物学会会員 各位
 
日本動物学会は、6月7日(土)の理事会において、動物学教育賞選考委員会から、候補者の推薦を受けました。厳正な審議の結果、東京工業大学大学院生命理工学研究科 本川達雄会員に授与することが決定されました。
 
応募件数 4件
教育賞選考委員会 阿形清和 岡良隆 松田 良一 武田洋幸 出口竜作   
 
理事会への推薦理由
 
本川達雄氏(東京工業大学大学院生命理工学研究科教授)が執筆された「ゾウの時間ネズミの時間」(中公新書)は、1992年出版の初版以来、82万部が印刷され、今でも毎年1万部ずつ増刷しているベストセラー/ロングセラーである。これほど、動物学の本として広く一般の人たちに読み続けられている本はみあたらない。生物スケーリングを日本で初めて一般向けに紹介し、解説したものであり、サイズの重要性や、時間は時計で計るものだけではないことを、初めてはっきりと気づかせ、日本人の自然の見方に大きな影響を与えた。
 この生物学的な時間の見方をさらに発展させ、人間の社会生活の時間にあてはめて論じた「時間 生物の視点とヒトの生き方」(NHK出版 1996年)、さらには時間のみならず、生物学的視点から現代社会を見直した「生物学的文明論」(新潮新書 2011年)へと、本川氏は思索を発展させ、現代社会の直面している諸問題に、生物学的視点から切り込んでいった。これは、技術を介して生活を物質的に豊かに、そして便利にする点ばかりが注目されている科学の現状に対する、動物学という基礎的な分野からの強いメッセージとして、動物学の大切さを大きく社会にアピールするものである。
 初等中等教育向けの教育活動も多岐にわたり、教科書・参考書、絵本などの出版の他、生物学の歌を作詞作曲自演することで、高校生物の内容を70のオリジナル曲にして学ぶというCD付参考書もリリースしている。また、これまで小学校(20校)・中学校(5校)・高校(46校)・大学(52校)で、数多くの出前授業・集中講義をし、特に歌いながら教える出前授業は動物学の面白味を次世代に伝えるユニークな活動として特筆できる。
 このように本川氏は、長年にわたって動物学の第一線の研究者として動物学会大会で毎年講演する活発な会員として活動する一方で、大学院および学部教育と両立させる形で普及活動を展開してきた。(社)日本動物学会教育賞にふさわしい人物として理事会に推薦する次第である。
 
選考委員長 阿形清和

<< 戻る >>



*