第81回(東京)大会後記
 
第81回大会実行委員長 
東京大学大学院理学系研究科 岡 良隆

 
 動物学会第81回大会は、2010年9月23日(木)から25日(土)までの3日間、東京都目黒区駒場の東京大学駒場キャンパス(教養学部)を会場として開催されました。大会前日に東大本郷キャンパスで行われたプレスリリースには、朝日・読売・毎日・日経BPの4社が参加して熱心に質疑が行われました。

 今大会は、日頃の行いの悪い大会長のために大雨に見舞われると言うこともありましたが(私事になりますが、私は30年ほど前に東大本郷キャンパスで第50回動物学会が行われたときに動物学会デビューしましたが、そのときには何と大会が台風に直撃されました)、それにもかかわらず、本大会では、一般口演593演題(12会場)、シンポジウム63演題(本部企画を含めて12会場)、関連集会18演題(6会場)、学会賞などの受賞者講演7演題、高校生ポスター31演題、動物学ひろば16企画、という多数の発表が行われ、合計1,154名の方々に参加していただき(一般会員374名、大学院学生556名、学部学生173名、非会員51名、合計人数中には外国人11名含む)、大変活発な大会となりました。

 これに加えて、大会3日目には全国の31校から200人近くの小中高の生徒が高校生発表のために集まり、同時に開催した動物学ひろばにも、常に会場を埋め尽くす多数の一般参加者が押し寄せ、大盛況となりました。また、今回は動物学会の歴史でおそらく初めて、小学生も特別企画「高校生によるポスター発表」にポスター発表をするという、新たな歴史の1ページを刻むこととなり、北区ケーブルテレビやMSN産経ニュースにも発表の様子が紹介されました。
 
 本大会では、次世代を担う若い世代にとって最近口頭発表の機会が比較的少ないことに鑑みて、敢えてすべての一般講演を口頭発表とし、大会2日目の午前中に公募シンポジウムのみの時間帯を設けましたが、発表者各自のコンピュータをプロジェクタに接続する時間も兼ねて、数演題に付き1コマ分の時間を取り、総合討論にも当てていただくという試みを行いました。この方式は、結果的に、議論の活発化のみならず、大会全体の進行をほとんど遅れなく予定通りに進行させるための時間的バッファーとしても役立ち、一石二鳥でした。

 交通の便の良い東京の地の利を活かし、時間を有効に使うことを心がけて大会期間は3日間にコンパクトにまとめた結果、3日間を朝から夕方までフルに使うこととなり、遠隔地の方々には多少のご負担をおかけしたかもしれませんが、効率的な大会運営ができたと思っております。また、大会運営の上では、学会本部と相談し、密接な連絡を取りながら、今回からは大会会計を学会本部にお任せする、企業展示や協賛金などの案内マニュアルを作成し、企業リストを作って本部から案内してもらう、企業展示を口演会場の入り口に作り、参加者に必ずそこを通っていただくようにする、企業からの協賛金の一部としてコーヒー・ジュースの提供をしてもらい、企業展示室で飲めるようにする、など各種の新しい試みも取り入れましたが、おおむねうまくいったと思っております。これが今後の大会運営の参考になると幸いです。

 動物学会の特徴として若手が元気よく活躍できることが重要と考えていましたが、今回の大会では、口演会場で多くの若手のはつらつとした発表や活発な質疑応答が聞かれ、今回の試みはうまくいったのではないかと自画自賛しております。学部学生の参加を無料にしたのもひとつの冒険でしたが、学会活性化と次の世代を育てるという意味で、大きなプラスの効果が得られたと思います。今後の大会でも是非ご健闘ください。

 一方で、若手奨励のみならず、良い伝統は大事にする、と言うことも動物学会の特徴であって、活かすべきと考え、動物学会100周年記念行事(1979年)や、その年の第50回動物学会大会(東大本郷キャンパス)の大会長であった寺山宏先生(88才)を懇親会にご招待し、自分が興味をもつことをやり続けることが如何に大事かという話をしていただきました。しかし、この大会後記の文章を書いている最中に寺山宏先生の訃報(2010.12.17逝去)に接することになってしまうとは、思いもよらず、深い悲しみを感じると同時に、この時に無理をしてでも来ていただき、若い会員に向かって檄を飛ばしていただいて、本当に良かったと思っております。先生には大会成功の報告をすると共にご冥福をお祈りいたします。

 最後になってしまいましたが、大会に参加し、積極的に発表や議論をしていただいた皆様、大会の準備から運営・事後処理まですべてを抜群のチームワークで実に効率よくこなしていただいたスタッフや学生の皆様、学会本部の皆様、寄付などをいただいた企業関係者の皆様、どうもありがとうございました。既にアナウンスされている来年の旭川大会で、多くの動物学会員の方々に再びお会いできることを、今から楽しみにしております。


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