弘前大会後記
弘前大会後記
 
日本動物学会第78回大会
弘前大会 大会長 石黒誠一

 
 第78回大会は、9月20日から22日の3日間、弘前大学文京町キャンパスで開催されました。20日と21日は,弘前では季節外れの30度を越える異常な暑さの中での大会となりました。

 大会の参加者は943名、うち一般568名、学生343名、非会員32名でした。弘前大会では,口頭発表またはポスター発表のいずれか好きな発表形式を選んでもらいました。一般発表は607題で、口頭発表297題、ポスター発表310題とほぼ同じ演題数になりました。

 一般発表の他,本部企画シンポジウム「動物学の魅力−基礎研究の先端から−」、10の応募シンポジウム、5つの関連集会が開催されました。また,特別企画として公開シンポジウム「白神・津軽の動物たち」、高校生のポスター発表、動物学ひろばが開催されました。

 午前中の一般口頭発表は,発表用データを前日に集めることにしましたが、前日に来れない方もいるということで,今大会ではFTPサイトを利用した、口演データ転送システムを試みました。周知期間が短かったせいもあると思いますが、ファイル転送受付は118題(約40%)で,口演データの会場受付は179題(約60%)となりました。かなりの人数の方が利用されたので,受付の混雑の緩和には役に立ったと思います。

 子供たちの理科離れを食い止めようと企画された高校生のポスター発表は,全国の高校生(南は奈良から北は富良野まで)による21題の発表がありました。一般発表のポスターと同じ会場で発表が行われ、大変盛況でした。地元の新聞では特に青森県の高校生を取り上げ,全国の高校生や研究者との触れ合いに「いろんな研究に興味が持てるようになった」とその効果が紹介されていました。

 公開シンポジウムは村田孝嗣先生の「ブナの森とクマゲラの生活」など津軽の動物たち3題が紹介されました。白神山地のクマゲラについては一般市民の方の関心も高く,講演後の質問に対してさらに詳細な説明もありました。標本を持参してくれた阿部東先生の「ドングリに依存する緑色に光る蝶のお話」は,特に映像は使いませんでしたが想像するだけで実に楽しめる講演でした。一方,経塚啓一郎先生の神秘的な「発光する海の生き物たち」は映像が効果的で楽しめる講演でした。

 23日の日曜日には,18ブースの動物学ひろばが開催されました。新聞や広報ひろさきで取り上げて頂いたおかげで,多くの家族連れや一般市民が来場し,百の眼を持つ海の生物イソアワモチや透明ガエルなどの希少生物にびっくりしながら説明を受けていました。また,近所に出没するマムシの相談にきた人や,ブースで勝手に説明を始める小学生も現れ,大変賑やかで楽しい雰囲気の動物学ひろばとなりました。

 弘前は宿泊施設が少なく、一部スポレク青森2007と重なって心配しましたが、なんとか無事に宿泊することができてホッとしています。また、大学の改修工事と重なり,総合教育棟の大きな講義室が全部使えなくなったり,エレベータが使用できなくなったり、会場がバラバラになったりと大変ご不便をおかけしました。
 最後になりましたが,大会で発表してくださった皆様,討論に参加してくださった皆様,大会を支えてくださったスタッフの皆様,本当にありがとうございました。
 来年,福岡の大会でまたお会いできるのを楽しみにしております。

 


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