日本動物学会 第94回大会 2023 The world of small creatures: interesting recent topics on polychaetes and amphipods
青木優和（東北大学大学院農学研究科）
Masakazu Aoki (Graduate School of Agricultural Science, Tohoku University)
大越和加（東北大学大学院農学研究科）
Waka Sato-Okoshi (Graduate School of Agricultural Science, Tohoku University)
シンポジウムの趣旨
「目立たないけれども生態系において重要な位置付けにある多毛類と端脚類について、分類学的および生態学的な観点からその最新の知見を広く一般に知って頂きたい」との趣旨で、講演者には、今、まさに研究が面白くてたまらない、脂が乗っている若手研究者のみなさんを招待し、おもしろ最新トピックスをお披露目していただきます。多毛類には、海底に棲管をつくって生息する種のみならず、貝殻の表面や内部に生息する種、ホヤの被嚢に穴を掘って生息する種など多様な生活様式を持ち、多様な発生様式が観察されています。また、浅海のみならず、深海にも多くの未知の多毛類が生息しその分布を決定づけている要因を探っています。ベントスだけでなく、プランクトンとしての多毛類の多様性と分布についても紹介します。端脚類については、変わった生息場所に住む種、海藻穿孔性の種、特異な構造物を作る種について最近得られた知見を紹介します。
講演者
第一部：多毛類の最新おもしろトピックス
阿部博和（石巻専修大・理工・生物科学）
スピオ科多毛類の「変わり種」の最近の発見
Recent discoveries of several “odd” species of spionid polychaetes (Annelida: Spionidae)
永井優貴・濱松郁美・岸翔太・西谷豪・大越和加（東北大学・院農)
貝類の貝殻内に生息するスピオ科多毛類 Polydora websteri の生態とその興味深い発生様式
Interesting larval development and ecology of spionid polychaete Polydora websteri inhabiting mollusc shells
小林元樹（石巻専修大学・共創研究センター）・大越和加（東北大学・院農）・小島茂明（東京大学・大気海洋研究所）
深海性多毛類の水深方向に関する遺伝的交流の障壁はどこにあるか？
What water depths work as dispersal barriers for deep-sea polychaetes?
飴井佳南子1,2・平井惇也2・西部裕一郎2（1: 東京大学・院農・農学生命科学，2: 東京大学・大気海洋研)
分子生物学的手法を用いた浮遊性多毛類の種多様性と分布の解明
Species diversity and distribution of pelagic polychaetes revealed by molecular method
第二部：端脚類の最新おもしろトピックス
富川光 (広島大学・教育)
特異な環境に出現するヨコエビ類の種多様性と進化
Species diversity and evolution of amphipods occurring in unique environments
岨中夏美・青木優和 (東北大学・院農)
海藻に穿孔造巣するネクイムシ科のヨコエビ
Eophliantid amphipods boring into seaweed thalli
青木優和 (東北大学・院農)
マストを構築するシャクトリドロノミ科ヨコエビ
Dulichiid amphipods building ‘mast-like’ structure