一般公開シンポジウム:アカハライモリ:自然の再生と人の再生をつなぐもの

演者:千葉 親文 氏 (筑波大学生命環境系)

講演要旨:

 アカハライモリ(以下「イモリ」と呼ぶ)は、古より水田や稲作の守り神として、私たち日本人にとって、とても身近な存在だった。動物学においても、その魅惑的な生態から、様々な分野で研究されてきた。とりわけ再生分野においては、その基本概念を打ち立ててきた動物である。しかし近年、イモリはその数を減らし、2006年には準絶滅危惧種に指定された。そして時を同じくして、イモリ研究者も数を減らし、一般にもイモリを知る人はほとんどいなくなってしまった。私たちは、こうした状況において、イモリも棲める自然環境を再生し、人の再生(再生医療)につなぐことを目標に研究してきた。現在、私たちはその目標に近づきつつある。何より、イモリを知らない子どもたちはいない。