S13 第5期水生動物バイオリソースの挑戦

The Fifth Term of NBRP: Challenges from the Aquatic Animal Bioresource

成瀬 清(自然科学研究機構基礎生物学研究所)
Kiyoshi Naruse (National Institute for Basic Biology, NINS)
荻野 肇(広島大学両生類研究センター)
Hajime Ogino(Amphibian Research Center (ARC), Hiroshima University)
笹倉靖徳(筑波大学下田臨海実験センター)
Yasunori Sasakura(Shimoda Marine Research Center, University of Tsukuba)

シンポジウムの趣旨
2002年から開始されたナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)は、突然変異体や遺伝子導入系、ゲノム情報等の収集・保存・提供を通じて研究者コミュニティーに貢献してきた。2022年には第5期NBRPが開始されている。次世代シークエンス技術やゲノム編集技術の進展により、ゲノム情報の取得や変異体・遺伝子導入系統の作製は容易になった。一方でヒト疾患の発症機序や種を越えた生命現象の理解には、より精密で精緻な解析系が求められている。そのため種横断的解析や集団を用いた解析もより重要性を増している。本シンポジウムではNBRPを運営する側と利用する側の研究者が集い、今後のNBRP事業の方向性とともに研究者コミュニティーの目指す研究の方向性について議論をおこなう。運営側と利用者側の双方向性の議論をおこなうことで、第5期NBRPプロジェクトの方向性について相互理解を深めたいと考えている。

ホヤ
1.笹倉靖徳(筑波大・生命・下田臨海)
ナショナルバイオリソースにおけるカタユウレイボヤ事業の取組
The bioresource project of the marine invertebrate chordate, Ciona intestinalis

2.佐藤ゆたか(京都大・院理・動物)
ホヤ初期胚の特異的遺伝子発現パターン構築のメカニズムを論理式で解き明かす
Gene regulatory dynamics in ascidian early embryos

3.佐竹炎(サントリー生科財団・生有研)
カタユウレイボヤの卵胞成熟と排卵機構:脊椎動物との共通性と特殊性
Molecular mechanisms underlying ovarian follicle development and ovulation in Ciona intestinalis Type A, and its evolutionary aspects

メダカ
4.成瀬 清(基礎生物学研究所バイオリソース研究室・IBBPセンター)
次世代型メダカバイオリソースの整備とその拠点形成-
Development of Next Generation Medaka Bioresource and Establishment of Core Facility

5.工樂樹洋(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所  分子生命史研究室)
モデル動物学のその先へ:世界の生物多様性ゲノミクスの流れを知り生命情報学を味方に
Beyond animal model biology: harnessing bioinformatics and biodiversity genomics.

6.荻野由紀子(九州大学農学研究院付属国際農業教育・研究推進センター)
アンドロゲン受容体の重複進化による魚類の性的二型形質の多様化
Diversification of sexually dimorphic traits responsible for the gene duplication of androgen receptor in teleost fish

イベリアトゲイモリ
7.林 利憲(広大・両生類研究センター)
両生リソースが切り開くクロスプラットフォーム研究
Amphibian resource opens up cross-platform research

8.竹内 隆(鳥取大・医・生命科学)
イベリアトゲイモリにおけるHox遺伝子多重機能解析が示す新たな機能多様性
Multiple function analyses of Hox genes in Iberian ribbed newts reveal novel functional diversity.

9.氏原 嘉洋(名工大・院工・医用生体) 
上陸に駆動された心室の力学特性変化の解明を目指した現生両生類の心室のバイオメカニクス解析
Biomechanical analysis of the ventricles of extant amphibians to elucidate changes in mechanical properties of the ventricles during vertebrate terrestrialization