動物学会男女共同参画委員会 委員一覧(2005.1.17更新)
中辻孝子委員長挨拶
「男女共同参画推進に関するアンケート分析結果の報告」

新旧委員長交代とこれまでの取り組み
動物学会男女共同参画委員会
2005-2006年の委員長
中辻孝子
2006年12月いっぱいをもちまして、動物学会男女共同参画委員長は、中辻孝子から尾崎まみこ先生に交代いたしました。
尾崎まみこ先生は、神戸大学理学部教授であられ、日本動物学会の新しい男女共同参画理事でもあられます。2007年1月から始動した尾崎新委員長のもと、動物学会男女共同参画委員会がさらに発展されますことを、心よりお祈り申し上げますとともに、これまで同様、男女共同参画推進へのご理解とご協力を、動物学会会員の皆様にお願い申し上げます。
交代にあたりまして、2005年1月から2006年12月までの動物学会男女共同参画委員会(以下、第二期委員会と簡略して呼ぶ)の活動について、ご報告申し上げます。
第二期委員会は、大島範子(東邦大)前委員長から2004年12月をもって引継ぎされ、2005年1月より始動いたしました。安住薫(北大)、大島章子(理研)、向後晶子(藤田保健衛生大)、佐藤恵(日本大)、千葉和義(お茶水女子大)、塔筋弘章(鹿児島大)、豊田ふみよ(奈良県立医大)、成瀬真弓(奈良女子大)、藤原宏子(日本女子大)、光永敬子(広島大)、箕浦高子(東京大)、村山司(東海大)、鷲谷節子(一橋大)、岡良隆(東京大)の各委員と委員長を務めることとなった中辻孝子(東海大)の15名でスタートしました。2006年春から、木下
充代(総合研究大) 杉浦 真由美(神戸大)、寺崎朝子(千葉大)の各委員が加わり、成瀬真弓(奈良女子大)委員が退かれ、総勢17名となりました。
男女共同参画学協会連絡会(以下、連絡会と簡略して呼ぶ)は、アンケート調査報告を基に、具体的な提言;科学技術研究者に適した育児支援制度の整備に関する提言(2004年10月)、研究助成への申請枠拡大に関する提言(2004年11月)を取りまとめ、大島範子前委員長は、動物学会独自のアンケート解析結果を動物学会ホームページに公開すべく準備をされておりました。連絡会が要望書の提出を準備する中、どのように施策に繋げるか動き出す風をかすかに感じた頃、第二期委員会のスタートはそのような時期に当たりました。
私は、これまでの動物学会男女共同参画委員会がおこなってきた主な活動を受け継いでいくことが、第一に大切と思えました。主な活動として、動物学会大会恒例となりました動物学会女性研究者懇談会の企画と開催、男女共同参画学協会連絡会への参加、研究者情報交換メーリングリストの立ち上げと管理、アンケート調査分析などがあげられます。会員ひとりひとりと動物学会としての組織が共に両輪となり、前に進むことが大切であることを充分認識していた、そのうえで、男女共同参画推進に向けた個人で可能なことは動物学会の懇談会を通して、大きな施策によって可能なことは、動物学会として連絡会に参加することを通して取り組むことを活動のゆらゆらと柔軟な柱としました。委員の多くが前委員会から継続しており、確かな力と充分な経験もっておられたことが、私にとりましては、なによりの幸いでした。
以下、委員一同で取り組んだことを簡単にまとめました。
動物学会女性研究者懇談会の企画と開催
2005年10月の第76回大会で、第5回動物学会女性研究者懇談会を開催しました。企画および会進行は、光永敬子委員と向後晶子委員が務めました。テーマは、「男女共同参画社会への第一歩:キャリアの継続―多様なかたち―」と題し、大学院生、子育真っ最中の女性および男性研究者、シニアの研究者、そして親の就労と子どもの発達心理学の研究者に話題提供をお願いしました。様々に変化するライフステージを通して、仕事を継続する意志と多様な工夫とかたちが示され意見交換されました。詳細は学会ホームページにあります。当日アンケートも実施、この企画と解析は、箕浦高子委員と向後晶子委員が担当しました。前回の当日アンケート「研究者の仕事と家庭の両立をサポートする情報として有用なものは何か」の問に対する回答者の8割が「各大学、研究機関の男女共同参画に必要なサポート態勢の一覧リスト」を挙げました。この結果を受けて、上述の第5回動物学会女性研究者懇談会で当日アンケートを実施し集計しました。質問は、時間外職務、託児施設、女性/男性用休憩室、セクハラ対策、男女比のバランス、女性研究者のネットワーク、男女共同参画の取り組み等々の有無につておこなわれました。集計結果はホームページにあります。
2006年9月の第77回大会で、第6回動物学会女性研究者懇談会を開催しました。企画および会進行は、向後晶子委員と寺崎朝子委員が担当しました。テーマは、「どんな研究者になりたいですか?-環境を作る、自分を創る」と題し、女性研究者への支援のあり方や自分を創る意識のあり方について活発な議論がなされました。性別にかかわらず、研究者がその能力を存分に発揮し仕事を続けるには「なりたい自分」「やりたい研究」目的意識、モチベーションの維持など、環境を利用しながら自分を創る意志も必要です。OM賞受賞者、文部科学省女性研究者支援モデルに採択された大学のプロジェクト実行委員、人材派遣会社の研究者キャリアアドバイザ―の講演後、パネルデイスカッションもおこなわれました。詳しい報告については、生物科学ニュース12月号(No420)に掲載されております。当日アンケートも実施され、研究者の成長に重要だと思うことなど、5項目ほどについて参加者に記述をお願いしました。集計結果は後日公開されます。
第5回及び6回懇談会では、いくつかの新しい取り組みを試みました。第5回では、講演者5名のうち2名は動物学会会員以外の方であり、第6回では、4名の講演者のうち1名を外部からお招きしました。懇談会初めての試みでした。親の就労と子どもの発達心理学の研究者と人材派遣会社の研究者キャリアアドバイザ―の講演から、異分野や外部からの視点や指摘が、閉塞感を解放し視野を広げるなど、「自分創り」に極めて大切であることを実感させられました。過去4回が昼休み1時間のところを、第5回及び6回懇談会は関連集会の枠を使って2時間に拡大し、公開としました。会場内に、参加者が同伴した子供たちの遊びスペースを設け、利用いただきました。
男女共同参画学協会連絡会における活動
2004年10月から第3期連絡会が、幹事学会を日本化学会と日本原子力学会としてスタートし、2005年10月から第4期連絡会が、幹事学会を日本分子生物学会が引き受けられ、2006年10月で第5期連絡会(幹事学会は日本生物物理学会)に引継がれました。2年間を通し、鷲谷節子委員と中辻孝子が運営委員を務めました。2ヶ月に1度の定例運営委員会では、各学協会の活動報告に加え、提言や施策に繋げる要望について議論が多くなされました。
2005年4月に、「第3期科学技術基本計画に関する要望―男女共同参画社会実現のためー」と題した要望書が提出されました。内容は5項目に渡り、男女共同参画モデル事業制度の創設、女性研究者採用と昇格に対する数値目標の設定と特別交付金、男女の処遇差を低減するための具体的背策、育児支援の具体的施策の推進、女子学生の理工系学部進学へのチャレンジキャンペーンの推進などでした。これらが、2006年、日本学術振興機構による「特別研究員RPD制度」、文部科学省/科学技術振興調整費による「女性研究者支援モデル育成」、「研究者技術者と女子中高生の交流機会のサポート」等の支援策に繋がっていきました。2006年6月に、文部科学省科学技術振興調整費による「女性研究者支援モデル育成」事業の募集継続と予算枠拡大、およびその他の必要な施策等の実現に関する要望が提出されました。運営委員の私は、ほとんど静かに参加するばかりで、他の運営委員の勢いにひっぱって戴いた感が大きいのですが、アンケート調査を通して聞こえてきた当事者個人の声が施策として実施された瞬間に立ち会うことができました。学協会連絡会がパイプラインであることをしっかりと感じ取るとともに、動物学会の組織運営に近い方が参加していてくださると、もっと明確な姿勢を示すことができるとも思いました。
2005年9月には、鷲谷節子委員などワーキンググループによる男女共同参画学協会連絡会規約が改訂され、2006年9月には、「連絡会加盟学協会等における女性比率および活動の年次推移に関する調査」がおこなわれました。この調査は2000年から継続して実施されています。
2005年10月7日、お茶の水女子大に於いて男女共同参画学協会連絡会 第3回シンポジウム「21世紀の産業を拓く男女共同参画社会」が開催され、藤原宏子委員と佐藤恵委員が中心となり作成された動物学会からのポスターがビジュアル賞を戴きました。ポスターのテーマは、「毎年続けてきた動物学会女性研究者懇談会」でした。2006年10月6日、東京大学山上会館で第4回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム「育て、女性研究者!!
理工系女性研究者支援の新しい波」が開催されました。藤原宏子委員が主体となり作成した動物学会からのポスターが優秀賞に輝きました。ポスターのテーマは、動物学会の男女共同参画推進へむけたこれまでの取り組みについてでした。また、シンポジウムの午前に行われた3つの分科会のうち一つは、動物学会が企画を担当しました。オーガナイザーは、箕浦高子委員、鷲谷節子委員そして中辻孝子でした。テーマは、「新たな活躍の場をもとめてーフロンテイアをめざす研究者」でした。スタートした支援策から育つであろう研究者/技術者が、狭い意味でのアカデミアに留まらず、ゆくゆくは広い社会の中での科学を広めてほしいとの期待をこめた実行委員会の趣意を受けて、テーマを決めました。司会進行と分科会報告は箕浦高子委員が務めました。講演者は、株式会社バイオマスター取締役CSO
村瀬祥子氏(ベンチャービジネスと私の可能性)、NPO法人サイエンスコミュニケーション代表 榎木英介氏(知が生かされる社会をめざして〜サイエンスコミュニケーションと男女共同参画)、日本科学未来館
科学技術スペシャリスト 橋本裕子氏(新たな出合いを楽しむ)で、フロアからの活発な意見交換がなされました。詳細は、学協会ホームページや生物科学ニュースをご覧ください。
動物学会員情報交換ネットワーク メーリングリストの立ち上げと管理運用
光永敬子委員が中心に発案され、吉田学(東京大)支援担当理事が立ち上げから軌道にのせるまでを担当することで、2005年から運用が始まりました。参加申し込み先は、owner-zsj-net@freeml.comです。研究者が抱える問題や生活をサポートする情報交換ネットワークづくりの第一歩であり、どのような情報を共有するのがベストかは、交流の流れの中で、引き続き考えていく必要があります。この2年間は、男女共同参画推進への支援策の案内や申請書、シンポジウムや講演会の案内など、ほとんどが委員会から流しておりましたが、お役にたてたでしょうか。流れに勢いをつけたいとと思いますので、参加者の皆様、お気軽に利用されてください。
アンケート調査分析
学協会連絡会がおこなったアンケート調査の分析結果が2004年3月に公開され、大島範子前委員長は動物学会独自の解析結果をホームページに公開されました。第二期委員会としましては、話し合いの結果、追加解析は必要無いであろうとの結論にいたりました。アンケート調査の威力と重要性を実感した次第でありますが、第5期連絡会運営委員会(2006年11月に第1回目の会合)は、再度、大規模なアンケート調査を実施する様子です。
その他
2005年から、文部科学省や日本学術会議そして男女共同参画学協会連絡会等が主催で「女子高校生夏の学校」が開講されました。日本動物学会は、動物学会大会や女性研究者懇談会の準備期間と重なるため、消極的な協力に留まりました。同じく2005年より、「内閣府チャレンジキャンペーン〜女子学生/生徒の理工系分野への選択〜」が始まり、本学会は、協力団体としてメッセージの掲載やホームページからのリンク設置をおこないました。いずれも、科学者や技術者との対話や交流を通して女子高校生等若者達が科学技術分野に自分の新しい可能性を見出すことがねらいであり、極めて重要な取り組みであります。
報告を終えるにあたり、日本動物学会前会長浅島誠先生、新会長佐藤矩行先生はじめ理事の皆様、事務局長永井裕子様、そしてなによりも会員の皆様に心から御礼申し上げます。
残した取り組みを痛感しておりますが、全て委員長の不徳とご容赦くださいませ。
力不足の私を常に助けてくださった日本動物学会男女共同参画委員会の委員の皆様、本当にありがとうございました。この紙面をお借りして、あらためて感謝申し上げます。
一部委員の皆様のメッセージとこれまでの女性研究者懇談会報告結果へのリンクを以下に付記いたしました。
委員からのメッセージ
安住 薫委員
6年前の動物学会将来計画委員会で提案された「動物学会女性研究者懇談会」は毎年大会期間中に開催され、今年で6回になりました。最初は数人の有志で始めたこの活動も、今では「動物学会男女共同参画委員
会」のメインの活動へと発展しました。懇談会参加者も6年間で400人近くになり、参加者からの「大変有意義だった。来年も開催してほしい。」との声に励まされてきました。これまで企画、準備、当日進行、報告書作成等にご尽力くださった将来計画委員、懇談会WGメンバーおよび、男女共同参画委員の方々に心から感謝いたします。とともに、今後も情報・意見交換の場としての懇談会が継続されることを願っています。
大島 章子委員
皆様の御活躍のすばらしさにみとれていた感じの2年間でした。島根には参加できませんでしたが、アンケートの結果でもとても盛況でした事がよくわかりましたし、東大、山上会館での分科会でのシンポジストの方々の顔ぶれをみても動物学会がクリアなメッセージの送り手として印象に残ったことと思います。そのシンポジウム全体をみると、時代の大きなうねりを感じさせられます。個々人に還元されるまではまだしばらくかかるでしょうが、この流れが突然立ち消えになるようなことが起きませんようにと祈っております。
動物学会に参加して思うのは、対象とする生物、研究の方法の多様さ、(生物の生態と密接に関わるような領域では特に)研究者の居場所、活躍場所も多様で、まさに地球上すべての場所が研究をする場所になりうること、また老若男女を問わず研究できるそういう範囲が広い、そういった裾野もひろい分野で、学会員がいきいきと活躍されている、ということです。女性のおかれている状況の向上にむけて、実効力のある行動をとることが可能なポストにつく女性の数を増やす、女性が活躍できる職域を広げる、といったことと平行して、若い人たち(高校生や中学生は時間的制約があるかもしれませんが、可能でしたら)と共に、この裾野の広さの中での女性(男性もともに、というのが理想でしょうが)の現状と夢、希望とを話し合い、未来を築いていかれましたら、そういうことにまさに適している学会ではないかと思っております。
寺崎 朝子委員 (その他のメッセージを集約)
男女共同参画委員会に関しては委員が固定してしまう傾向があるので、任期を決めるという意見や、若い人(学生でも)が委員になれるように制度を変えてはどうかという意見が出ています。委員という形が無理なら「若手会員集団」のようなものを作ってはどうかという意見もありました(「動物学会レディース」という名称も考えてみたのですが、男性にも入ってもらうのですよね)。また、女性研究者懇談会は今回のような作り込んだ企画は負担が大きいかも知れない、以前のような昼休みの「懇談」が良いのではという意見も出ています。
藤原 宏子委員
今年の懇談会には出席できませんでしたが、今回のテーマ:「どんな研究者になりたいですか?―環境を作る、自分を創る」は本当に良かったと思います。良い環境(物理的にも精神的にも)に身をおくこと、どんな環境にいようとも個人レベルで努力すること、この双方が良い研究をしていく上で大切なのは誰もが異存ないことでしょう。今年の懇談会や学協会シンポジウム分科会(動物学会担当)では、「個人レベルでの努力」の参考になる点が多かったように思います。良い環境に身をおけないことも多いのが現実だと思います。そこで、今後の懇談会(または委員会の活動)の方向性として、個人レベルでの努力にプラスになる企画に力点を置いていくのが良いのではないか、動物学会らしいのではないか、と感じております。
箕浦 高子委員
男女共同参画委員会には3年間参加させていただきました。この間、できる範囲のみでしたが活動をさせていただいたことは、個人的にも有意義であったと感じています。委員会には世代や立場の異なる方々が多数居られるので、委員会の活動や男女共同参画についての考えに幅があり、とても良いと思います。今後も若手・男性など、バランス良く参画されることが望ましいと考えます。
備忘録から
佐藤 恵委員
懇談会当日に用意しておけば良かったと思うものをあげます。他にお気づきの方は(記憶の新しい内に)このメール(備忘録)に続けて頂けると来年のためになると思います。
掲示用の演者のお名前(紙とppt)、太書きのマジック、セロテープ、
白い紙(A3/A4)、カメラ(記録係に写真記録もお願いする,今回は塔筋さんのカメラで千葉さんが撮影してくださいました)、開催大学.開催地の男女共同参画に関わる方への連絡(今回寺崎さんが島根大学の男女共同参画委員の方にあらかじめ連絡を取ってくださったためか,非会員・非大会参加の回答が数名いらっしゃいました.公開集会にした甲斐があると言うものです)。
寺崎 朝子委員
ミーティングの冒頭に慌てて用意した「資料は4種類です・アンケート回答をお願いします・飲み会があります」の案内、呼び込み(迷っている若者を会場に誘導)、握るタイプのマイク(服にとめるタイプは質問者には面倒)。
光永 敬子委員
○大会準備委員会、学会本部との最終打ち合せ
学会本部にポスターの送付等のお願いをしておりましたが、手違いが起こりました。学会の前の週にでも、必要事項等の最終確認をしておくべきだったと思います。
文具等も、事前に学会本部か準備委員会に貸与のお願いしておくと、持ち出しがなくていいのではないでしょうか。
○会場、公開時間の設定に関して
準備の都合があるので、直前まで講演が入っていない会場をお願いしておくといいですね。また今回は、発生関係の関連集会と同じ時間帯になり、発生や進化関連の若手で聞きに来られない人が多かったようです(6月の準備委員会からの連絡では、22日の関連集会は、女性研究者懇談会だけだったので、安心していたのですが)。研究との両立も考えた参加しやすい時間帯をもう一度考えた方がいいのかもしれません。
○講演経験者への案内
昨年、今年と外部から講師の方を依頼しました。これらの人からは貴重なアドバイスをいただける可能性もありますし、動物学会の男女共同参画委員会の活動が継続していることをお知らせする意味でも、案内を出しておくべきだったと思います。
懇談会報告・アンケートへのリンク
(第2回目からは生物科学ニュースの記事になる)
懇談会発会趣旨、第1回懇談会報告、第1回懇談会 当日アンケ−ト集計結果
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200201/women.html
第2回動物学会女性研究者懇談会について
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200301/zn200301.html#5
第2回 動物学会女性研究者懇談会 当日アンケ−ト集計結果
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200301/zn200301.html#6
第3回動物学会女性研究者懇談会報告
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200401/zn200401.html#3
第3回動物学会女性研究者懇談会 当日アンケート集計結果
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200401/zn200401.html#4
第4回動物学会女性研究者懇談会報告
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200501/zn200501.html#4
第4回動物学会女性研究者懇談会 当日アンケート集計結果
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200501/zn200501.html#5
第5回動物学会女性研究者懇談会報告
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200601/zn200601.html#2
第5回 動物学会女性研究者懇談会 当日アンケート集計結果
http://wwwsoc.nii.ac.jp/zsj/news/znews200602/zn200602.html#5
以上
第6回動物学会女性研究者懇談会報告
動物学会男女共同参画委員会
向後晶子(藤田保健衛生大)
寺崎朝子(千葉大)
塔筋弘章(鹿児島大)
中辻孝子(東海大)
日本動物学会第77回大会2日目(2006年9月22日島根大学松江キャンパス)に、第6回動物学会女性研究者懇談会が開催されました(主催:動物学会男女共同参画委員会、後援:男女共同参画学協会連絡会)。今回は「どんな研究者になりたいですか?−環境を作る、自分を創る」というテーマのもとで、公開関連集会としておこなわれました。
懇談会では、向後と寺崎が司会進行を担当し、塔筋が記録を担当しました。今回は66名(男17名、女49名)が参加、浅島誠動物学会長による開会の挨拶で始まりました。その後、本年度の日本動物学会女性研究者奨励OM賞受賞者のお二人に講演していただきました。今年度の受賞者と受賞テーマは、松下敦子さん(理研脳科学研究センター
脳皮質機能構造研究チーム)「弱電気魚の時間差検出における神経回路の免疫組織化学的研究」と、重谷安代さん(東大海洋研究所 先端海洋システム研究センター)「脊椎動物の頭部三叉神経堤領域とは何か?−ニワトリとカワヤツメにおける神経堤細胞とプラコ−ド派生物そしてナメクジウオにおける相同器官の形成に関わる遺伝子群の解析」です。
松下さんは「弱電気魚と出会って」という題でこれまでのご自分の研究について話して下さいました。
「形態は機能を兼ねる」という恩師の言葉を念頭に、卒論から最初のポスドクまでずっと、電子顕微鏡による微細構造の研究を続けてきたものの、やがて固定された材料の形態と生きているものの感覚や行動との間にギャップを感じるようになったそうです。「常日頃から自分でおもしろいと思える研究を大事に」というその当時の恩師の言葉や、渡米をきっかけに、材料とテーマを変えながら研究を続け、バージニア大学で弱電気魚の神経行動学の研究に出会いました。弱電気魚とは数ボルトの電場をレーダーのように使い、100万分の1秒単位の電場の変化を認識して、周りの様子を見たり、えさを探したり、他の個体とコミュニケーションをとったりすることに使っている魚です。神経行動学では電気生理学や電磁波の知識が必要とされるため、苦手だった物理学も勉強して研究に着手しました。その結果、短時間の電場変化への反応という生理学的な機能に対応した、めずらしい形態の神経細胞を発見することができ、このことで、ご自分の中で生理学と形態学とを結びつけることができたのだそうです。今回のOM賞受賞で、これまでの研究生活が評価された思いですと語ってくださいました。さらに松下さんは、今まで自分が女性研究者であるということを考えたことがなかったけれど、そのような環境でやってこられたことがラッキーだったと思うこと、またテーマを色々変えたことは、一つ一つは浅くはなるけれども、おもしろいことを少しずつ楽しめたと思うこと、などを語ってくださいました。
重谷さんは「サイエンスとともに歩む」という題で、お話して下さいました。
重谷さんは小学生の頃、「左利きの人は言語中枢が必ずしも左脳にあるわけではないので、言語中枢が発達している時期に右利きに矯正すると一時的に言語に混乱を引き起こすことがある」ということを知ったのがきっかけでサイエンスに興味を持ち始めたのだそうです。その後マウスの中枢神経系に関する研究を始めましたが、脳の組織切片の作成が楽しかったと同時に脳の構造が判らなかったことに愕然とし、連続切片の写真を大きく伸ばし、アトラスと見比べ、あるいは論文で調べ、専門家を訪ねて教わって、名称を書き込むという作業を地道に行ってこれを克服されたそうです。その後、ニワトリの脳を使うことになり、ヒトやマウスとの違いに驚きましたが、同じように切片の写真で各部位を同定する作業を行って、その基本構造が同じであることに安堵したということでした。このように研究を続けていく過程で、脳を理解するためには、その器である頭部全体の構造や、その発生や進化の過程についても知る必要があったことから、現在のテーマにたどり着いたという経緯をお話してくださいました。さらに重谷さんは、ご自身の研究経緯に加えて、留学先での女性研究者事情についても話題を提供してくださいました。留学していたロンドンの英国立医学研究所では男女平等意識が高く、階級が上がると一般的に女性の比率は減っていくものの、所属していた部門では、チームリーダーの50%が女性だったそうです(研究所全体では約15%)。親は18歳になるまで子どもを家に放置してはいけないというお国柄でもあり、父母を問わずに子どもの送迎をしたりしているそうで、英国では子育てが仕事に影響するというのは言い訳でしかないようです、というお話は大変印象的でした。
また、昨年に引き続き、OM賞受賞者以外の方に、懇談会テーマに関する講演をお願いしました。宮本武典さん(日本女子大理学部 理学研究科)には「日本女子大は女性の多様な生き方を支援する−女性研究者マルチキャリアパス支援モデル−」というタイトルで話していただきました。宮本さんの研究室には第3回OM賞受賞者で男女共同参画委員でもある藤原宏子さんが在籍しています。
宮本さんの講演は、女性が学問をすると国を滅ぼすといわれていた時代(1901年)に、女性が教養を身につけ自立することを目標として創立された、日本女子大学建学のお話に続き、理学部が女性研究者の育成、自立を目標とし、マルチキャリアパス支援モデルを立ち上げた経緯やその内容をお話していただきました。女性が研究から離れる大きな要因は、出産、育児、あるいは活躍する場の少なさにあると考えられます。そこで日本女子大では、出産、育児と研究活動の両立を支援するために、情報ネットワークの構築、非常勤助手の雇用、学内ナースリーの充実を行っていること、また、活躍の場を確保するための方策として、eポートフォリオを用いたキャリアパスデータベースの構築、産学連携の推進、就職支援相談窓口の開設、あるいは女性研究者に対する社会の意識改革活動などにも取り組んでいることをお話いただきました。今回のマルチキャリアパス支援モデル事業では、女性研究者に4つのキャリアパスが想定されており、それぞれに応じた支援が行われるそうです。具体的には、継続キャリアパス(出産、育児後のフレックスタイムでの研究支援)、部分継続キャリアパス(出産、育児のための一時中断から復職への支援)、多種の職種からの柔軟なキャリアパス(非常勤研究助手など勤務形態を変えて継続後に研究者へという支援)、多様なキャリアパス(弁理士、科学ジャーナリストや科学行政官など、研究者としてのキャリアを生かす様々な分野への進出の支援)というものが設定されているそうです。さらに、女性研究者の育成とロールモデルの提示のために、科学教室が開催されていること、また、育児休業中の研究者のもとには非常勤研究助手が配属され、研究者はテレビ会議システムを利用して、非常勤研究助手と連携して研究を継続したり、さらにセミナーや学生院生の指導を行えるというユビキタスリサーチ支援(いつでもどこでも研究できる)が行われていることについてもご紹介いただきました。
最後に、学会員以外からの講演者として、研究系就職支援会社であるWDB株式会社キャリアアドバイザーの千葉泰人さんに「研究者として何を身につけるべきか−”研究者”と”研究従事者”との違い」、というタイトルで講演をしていただきました。千葉さんはご本人が生物系研究者だった経験と、現在の研究職人材紹介の会社での経験をもとに、研究者とは、研究従事者とは、ということについて話されました。
千葉さんは現在、派遣業を通じて、求職者が高学歴化(8割が修士や博士)しているのに反比例して、彼らの技術力が低下していることを実感しているそうです。このような人々に接するうち、人には研究者としての適、不適があること、また本人がその適正に気づいていない、あるいは勘違いしていることが多いことに気付いたそうです。研究に携わる者の職業としては研究者、研究従事者(テクニシャン)、教育者、などがあるが、この中で研究者には特に、“research”の根幹をなす
“search”を行う能力に加え、ひらめき、そしてそのひらめきを具体化する能力が必要である、また研究とは体系的、実証的な学問を自らでおこなうということであり、これを理解できないと「研究者もどき」になってしまう、というお話をされた後、若いうちは、この能力は論文を書くことによってしか学ぶことはできないのだから、若い時にはまずは論文をたくさん書くことが必要である、これをさせないのは指導者の責任でもある、そして千葉さんご自身の恩師の言葉でもある、「研究者は職人である」とのメッセージを語られるとともに、日本の研究者の育成と教育についても触れられ、指導者の研究テーマに終始することなく、将来自立できる能力を備えた研究者の育成を意識していただきたいとも語られておりました。
講演終了後に演者への質問も兼ねて、これらの4名をパネラーとし、「研究者を伸ばす環境、自力で伸びる研究者」というテーマでパネルディスカッションをおこないました。ここではフロアからも多くのご意見が出され、なかなか盛り上がりのあるパネルディスカッションとなりましたが、残念ながら時間切れとなり、最後に動物学会男女共同参画委員長である中辻の閉会の挨拶で幕を閉じました。また今回は懇談会終了後に近くのお店に席を移し、演者の皆さんを囲んでの懇親会もおこないました。
懇談会会場では男女共同参画に関連した自分の意識などについてのアンケートを行い、36名の参加者から解答をいただきました。これにつきましては現在集計中ですので、結果は改めてご報告いたします。
最後になりましたが、懇談会開催のためにお世話下さいました松江大会準備委員会、動物学会事務局の皆様にお礼申し上げます。
「どんな研究者になりたいですか?―環境を作る、自分を創る」
第6回 動物学会女性研究者懇談会
日時:9月22日(金) 18時〜20時
場所:島根大学松江キャンパス教養講義棟2号館1階404室
主催:動物学会男女共同参画委員会
後援:男女共同参画学協会連絡会
*参加費無料・非学会員も参加可
動物学会では女性研究者の育成に貢献するため、2001年度より女性研究者を奨励する賞(現OM賞)を設立し、大会期間中に「動物学会女性研究者懇談会」を開催してきました。過去5回の懇談会ではのべ300名以上の会員が参加し、活発な討論がなされてきました。
よりよい人材を育成・活用したいという社会的なニーズと、生きがいを持って働き続けたいと希望する女性の増加が男女共同参画の推進力となっています。今年度から文部科学省は「女性研究者支援モデル育成事業」を開始し、今年度は10研究機関が採択されました。
しかし、性別にかかわらず、研究者が生き生きと仕事を続けるには「なりたい自分」「やりたい仕事」といった目的意識、様々に変化するライフステージを通じたモチベーションの維持など、環境を利用しながら自分を創る意志も必要です。
松江大会で開催される第6回目の懇談会では、「どんな研究者になりたいですか?」と題して2つの視点で議論を進めたいと思います。
(1) 大学や研究機関は、どのような形で女性研究者を支援することが出来るか。
(2) 「価値」のある研究者になるとはどういうことか。そのために自分をどう磨くか?
講演者は恒例のOM賞受賞者2名に加え、上述の文部科学省女性研究者支援モデル事業に採択された日本女子大学でプロジェクトの実行委員を務める学会員と、人材派遣会社で研究者のキャリアアドバイザーをつとめる方をお招きしております。性別、年齢、立場を問わず、動物学会員の皆様にとって有益な集会にしていきたいと考えておりますので、多くの方々のご参加をお願いいたします。
*当日は会場一部に子供のためのスペースを設け、飲み物なども用意いたしますので、お子様連れの方も遠慮なくご参加ください。
講演予定者(敬称略)
重谷安代(東京大学海洋研究所 先端海洋システム研究センター)
松下敦子(理研BSI・脳皮質機能構造研究チーム)
千葉泰人(WDB株式会社 キャリアアドバイザー)
宮本武典(日本女子大学理学部・理学研究科)
連絡先:男女共同参画委員
向後 晶子(藤田保健衛生大学) E-mail akogo@fujita-hu.ac.jp
寺崎 朝子(千葉大学) E-mail saki@mail.ne.jp
男女共同参画委員長 中辻 孝子(東海大学) E-mail takako@scc.u-tokai.ac.jp
※詳細なプログラムを、8月中旬頃学会ホームページに掲載の予定です。そちらも併せてご覧下さい。
ポスターはこちらをご覧下さい。(PDFファイル)
動物学会員情報交換ネットワークML(ZSJ-net
ML) の御案内
日本動物学会は、理工系学会の中では女性会員の占める割合が最も高い(約2割) グループに属しており、本会には、男女共同参画を積極的に推進していく役割を担う
ことが求められています。一方、多くの男女会員から「研究者の生活をサポートする 情報がほしい」との声が寄せられています。2004年動物学会大会(於甲南大学)期間中に開催された第4回動物学会女性研究者懇談会では「研究者が抱える問題についての情報交換ネットワークづくり」について検討し、最初の試みとしてメーリングリストを立ち上げることが決まりました。
・現実に個人的に困ったり迷ったりしていることに対して、同じような経験をされた方や先輩から解決策やサポート情報をもらう。
・男女共同参画の視点からの、動物学会あるいは男女共同参画学協会連絡会への提案をしたり、それについての意見を交換する。
・会員に有益と思われる情報をながす(学内保育園、公募情報や集会情報等)。
等が主な内容として考えられますが、どのような情報を共有するのがベストかは、このメーリングリストの情報交換の中で引き続き考えていきたいと思います。
以上の趣旨に賛同される会員は積極的に登録し、研究者の生活をサポートする情報の共有にご協力いただきますようにお願いいたします。
なお、実際のML登録に関しては以下のページをご覧ください。
動物学会員情報交換ネットワークML(ZSJ-net ML)エントリーページ
第三回学協会連絡会シンポジウムにおいて本学会ポスターがビジュアル賞
動物学会男女共同参画委員会
藤原宏子(日本女子大)
佐藤 恵(日本大)
中辻孝子(東海大)
2005年10月7日(金),第3回男女共同参画学協会連絡会シンポジウムが「21世紀の産業を拓く男女共同参画社会」をテーマに,お茶の水女子大学理学部3号館で開催されました。本学会はポスター出展へも参加したところ,ビジュアル賞(ポスター展示は14学協会)をいただきました。3年連続での受賞です。まことに嬉しいことです。
本学会の今年のポスターのテーマは,「毎年続けてきた動物学会女性研究者懇談会」に焦点をあてました。1)懇談会は今年で5回目,学会員の声を反映させて動物学会として取り組むべき課題を探ってきたことをアピールすること。2)懇談会で行ってきたアンケートをまとめることにより,今年の懇談会のテーマ「キャリアの継続−多様なかたち」が目指すように,会員の様々な要望を明らかにすること。この2点を軸に作成にとりかかりました。過去4回の懇談会におけるアンケートの集約作業は佐藤恵委員,ポスターのレイアウトや作成は藤原宏子委員が担当しました。第5回懇談会については,塔筋宏章委員がまとめ作業を行い翌日のポスター展示に加えました。今年のポスターは,いずれWeb上でご覧いただけるようにいたしまが,学会員の皆様の多様な意見や希望を大切にしている動物学会男女共同参画委員会の姿勢を知っていただけるものと思います。なお,おって第3回男女共同参画学協会連絡会シンポジウムの報告をする予定です。
第5回動物学会女性研究者懇談会報告
動物学会男女共同参画委員会
塔筋弘章(鹿児島大)
村山 司 (東海大)
中辻孝子 (東海大)
日本動物学会第76回大会1日目(2005年10月6日つくば国際会議場)に,第5回動物学会女性研究者懇談会が開催されました。今回は「男女共同参画社会への第一歩:キャリアの継続―多様なかたち―」というテーマのもとで,時間を2時間に拡大し,関連集会の枠を使って公開でおこなわれました。また,今回から動物学会男女共同参画委員会の主催となり,男女共同参画学協会連絡会の後援を受けました。
今回の懇談会では,動物学会男女共同参画委員の光永敬子さん(広島大)と向後晶子さん(藤田保健衛生大)が進行を担当しました。まず,浅島誠動物学会長が不在のため佐藤矩行副会長による開会の挨拶で始まり,次いで,中辻孝子動物学会男女共同参画委員長より,委員会の活動報告,昨年末から開設した研究者生活情報をサポートするメイリングリストなどの取り組みと現状が報告されました。その後,第5回動物学会女性研究者奨励OM賞受賞者に「キャリアを繋ぐよろこび」というテーマで,これまでの研究生活でのご苦労やその解決策,今後の抱負などを講演していただきました。今年度の受賞者は杉浦真由美さん(奈良女子大;「原生動物繊毛虫プレファリズマにおける有性生殖開始機構の解明」)と寺崎朝子さん(千葉大;「無脊椎動物lasp
familyタンパク質の機能解析」)のお二人です。
最初にお話いただいた杉浦さんは,卒業研究以来,奈良女子大学で研究を続け学位取得,研究を継続する進路を選択されました。その間,いくつかの大きなターニングポイントがあったことを話されました。卒業研究選択時には指導者の「自分にしかできない研究というものも素敵ではないか」という言葉に大きな感銘を受け,それがその後の原点となったそうです。博士課程への進学時には,一般的に多くの女子学生が結婚への不利などを理由に家族から反対を受けているところ,修士論文の執筆を通じて研究成果を出せたことへの感動から,進学を決意されたそうです。今後はこれまでの研究をさらに追求していきたいと,力強く語って下さいました。ただ,今までは女性指導者のもと女子大で研究してきたこともあり,今後の結婚,出産への不安にも言及されました。
次にお話しされた寺崎さんは,企業に4年間勤務し,その後大学院へ進学,学位取得後2回のポスドクを経て現在の職に就かれました。進学前に結婚し,修士課程中に出産されたために,研究を続けていくことに対して配偶者やご両親などから反対されたことや就職活動でご苦労なさったことなどをお話になりました。寺崎さんにとって「キャリアを繋ぐ」=「自分の存在理由をかけた戦い」でもあったため,OM賞受賞は,「自分が研究を続けても誰も喜ばないと思っていたのに“もっと頑張って”というメッセージをもらったみたい」で,その感激は大きかったそうです。また,ご自身の経験から,女性研究者の育成においては多様なロールモデル,女だからといって萎縮をさせない指導者,上司からの精神的支援(特に産前産後),過労を防ぐなどの研究環境の改善,多様な働き方,責任の明確化などが必要であることを述べられ,産休明け復帰制度の問題点にも触れられました。その上で,女性研究者の存在というものは科学に対する多様性を広げることであり,決して女性に対する人助けではないと語って下さいました。また,そういったことが定着しない理由のひとつに,既得権益や“姑根性”が邪魔をすることなどを挙げられ,科学のための人材活用が欠かせないと締めくくられました。
その後に「キャリアの継続-多様なかたち」というテーマで,延與(えんよ)秀人さん(理化学研究所)に「究極の三択,育児・業績・夫婦円満」,野口基子さん(静岡大)に「仕事の継続-多様なかたち」,菅原ますみさん(お茶の水女子大)に「親の就労と子どもの発達」のタイトルでそれぞれ講演をしていただきました。特に延與さんと菅原さんについては,動物学会会員以外の方へ初めての講演をお願いしました。
まず,延與さんはご夫婦とも同じ物理学の研究者で,また,小5,小3,保育園年長組の3人のお子さんがいらっしゃいます。ご自身の経験から,家庭内の男女共同参画の難しさを話して下さいました。ご夫妻で同じ学会に所属なさっていることもあり,夫が妻に替わって学会での委員会などを引き受けるなど,ある意味での役割分担をなさっているそうです。また出産,育児はいつでも始められるというのは大きな間違いで,妊娠,出産で子供1人につき2年つぶれるといったこともお話になっていました。さらには扶養手当,単身赴任手当などの問題点,所属なさっている物理学会の大会,勤務なさっている理化学研究所での託児所のことなどもお話しいただきました。また,ご自身も子供を連れて学会に参加するなど,広告塔としても努めていらっしゃるそうです。最後に,「キャリアと結婚は両立が可能であるが,子供が入ると難しい。スーパーレディに頼る時代は終わらなければならない。理系のお母さんを増やすことが,子供の理科離れも防ぐだろう」と締めくくられました。
野口さんは学園紛争が吹き荒れた時代に静岡大学に就職,その後,静岡大学一筋に歩んでこられました。その間に1年間滞在した米国でマウスのテラトーマについての研究が転機となり,そのままライフワークとなったそうです。出産,子育て,自分たちで作った大学内の共同保育所の維持についてのご苦労をお話になりました。しかし,共同保育所では親たちの苦労を子供へ見せることが子供たちへ教育的好影響を及ぼしたようです。ご自身で選択した道のデメリットをメリットと読み替えながら,研究,教育,大学の管理運営,子育てといったことを続けてこられたそうです。
菅原さんには心理学者としての立場からお話をしていただきました。まず,親の就労をめぐる今日的課題として,育児休業制度の充実は急務であるが,オールマイティではないこと,育児が終わっても子育ては続くため,思春期までの長期的な制度作りが必要なこと,子供の保育時間が長時間に及ぶことへの憂慮があること,子供にとってはコミュニケーションの相手が一番大事な存在になることなどを話されました。また,いわゆる「三歳児神話」は,三歳頃までの初期発達の特殊性と重要性,および「三歳まではもっぱら母の手」でという社会的通説などが理由となっていると考えられるが,どちらも半面の真実,半面の問題性があると述べられました。さらには30〜34歳の子育て期の女性の就労率が高い国は出生率も高くなることや,男性の家事時間割合の高い国ほど出生率が高いなどのデーターを示されました。また,母親の就労と子供の発達について,母親の就労の有無のみによる子供の青年期までの知的,言語的,コミュニケーションなどの発達に対して否定的な影響は認められず,家庭内外での養育の良質さ,すなわち応答性のよさや暖かさ,コミュニケーションの豊富さなどが影響するということを示されました。そして子育てに対しての工夫のポイントとして,時間の確保,職・住・保の接近,子育てに便利な住環境,夫婦の協力,家事の外注利用などのストレスの軽減,サポーター作りなどを挙げられました。最後に,お茶の水女子大での保育所,授乳室などの取り組みを紹介されました。
今回の懇談会は他の研究集会と時間が重なったにもかかわらず,55名(男13名,女42名)の参加があり,予定時間を30分以上オーバーしての盛況な集会となりました。また,終了後も多くの方が会場に残って意見交換などをされていました。さらに,今回は初の試みとして,非学会員の参加者が託児室を利用できる取り組みや参加者が同伴した子供が遊べるスペースも会場内に設けてみました(利用者もいたようです)。
最後になりましたが,懇談会開催のためにお世話下さいましたつくば大会準備委員会,動物学会事務局の皆様にお礼申し上げます。なお,懇談会のアンケート集計結果は号を変えて報告する予定です。
動物学会員情報交換ネットワークML(ZSJ-net
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日本動物学会は、理工系学会の中では女性会員の占める割合が最も高い(約2割) グループに属しており、本会には、男女共同参画を積極的に推進していく役割を担う
ことが求められています。一方、多くの男女会員から「研究者の生活をサポートする 情報がほしい」との声が寄せられています。2004年動物学会大会(於甲南大学)期間中に開催された第4回動物学会女性研究者懇談会では「研究者が抱える問題についての情報交換ネットワークづくり」について検討し、最初の試みとしてメーリングリストを立ち上げることが決まりました。
・現実に個人的に困ったり迷ったりしていることに対して、同じような経験をされた方や先輩から解決策やサポート情報をもらう。
・男女共同参画の視点からの、動物学会あるいは男女共同参画学協会連絡会への提案をしたり、それについての意見を交換する。
・会員に有益と思われる情報をながす(学内保育園、公募情報や集会情報等)。
等が主な内容として考えられますが、どのような情報を共有するのがベストかは、このメーリングリストの情報交換の中で引き続き考えていきたいと思います。
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なお、実際のML登録に関しては以下のページをご覧ください。
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日本動物学会第76回大会 (つくば 2005)における公開関連集会のお知らせ(2005年10月6日)
【ポスターを見る】
動物学会では若手女性研究者を奨励するOM賞を設置し、年次大会で「女性研究者懇談会」を毎年開催するなど、他の学会にはないユニークな男女共同参画の活動を実施しております。
今年は男女共同参画をさらに推進するために、心理学の専門家や日本物理学会の男女共同参画推進委員(訂正前:物理学会の男女共同参画委員)を講師としてお招きし、動物学会会員以外にも広く公開する講演会および討論会を企画しました。有意義な幅広い情報交換の場になればと考えております。
男女、年齢、専門を問わず、多くの方々のご参加をお待ちしております。
日本動物学会第76回大会 公開関連集会
「男女共同参画社会への第一歩:キャリアの継続 - 多様なかたち(第5回 動物学会女性研究者懇談会)」
日時: 10月6日(木) 16:00-18:00
場所: つくば国際会議場(EPOCHAL TSUKUBA) D 会場
(小会議室303)
(アクセス http://www.biol.tsukuba.ac.jp/zsj2005/page-11-access.html)
聴講無料,どなたでも参加できます
主催:動物学会男女共同参画委員会 後援:男女共同参画学協会連絡会
プログラム(http://www.biol.tsukuba.ac.jp/zsj2005/kanren-7.html)
1. 男女共同参画委員会の活動報告-MLの現状等
中辻 孝子(動物学会男女共同参画委員会委員長)
2. OM賞受賞者より「キャリアを繋ぐよろこび」
寺崎 朝子(千葉大学大学院・自然科学研究科)
杉浦 真由美(奈良女子大学大学院・人間文化研究科)
3. キャリアの継続-多様なかたち
「究極の三択、育児・業績・夫婦円満」
延與 秀人 (理化学研究所 放射線研究室)
「研究の継続-多様なかたち」
野口 基子 (静岡大・理・生物地球環境科学)
「親の就労と子どもの発達」
菅原 ますみ(お茶の水女子大学大学院・人間文化研究科)
問合せ先:光永 敬子(広大・院理)
(動物学会男女共同参画委員会委員企画担当)
TEL:082-424-7448、FAX:082-424-7327
E-mail: kmntn@hiroshima-u.ac.jp
中辻 孝子(東海大大学院・海洋学研究科)
(動物学会男女共同参画委員会委員長)
TEL: 0543-34-0411、FAX: 0543-37-0216
E-mail: takako@scc.u-tokai.ac.jp
託児室ご希望の方は、日本動物学会第76回大会準備委員会(Matsuzaki@biol.tsukuba.ac.jp)にお問い合わせください。
「男女共同参画学協会連絡会1周年記念行事にてポスターが受賞!」
2003年10月7日(火)、日本化学会ホールにて「男女共同参画学協会連絡会1周年記念行事」が行われました。分科会やパネルディスカッション(「男女が共に活きる社会へ」)で活発な議論が展開され、盛会でした。ポスター展示も行われ、動物学会の取組みを紹介したポスターが、応用物理学会とともに最優秀賞を獲得しました。来年、甲南大学で開催される大会で、今回受賞したポスターを展示予定です。
「男女共同参画学協会連絡会で実施したアンケート調査報告書電子版が公開されています!」
昨年度実施した学協会横断的なアンケート調査の報告書が3月末に文部科学省に提出されました。男女共同参画学協会連絡会では、今後、具体的な提言を行っていく予定です。なお、報告書の電子版は
http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/
から見られます。このアンケートには、日本動物学会員として584名(男性427名、女性155名、不明2名)が回答しています。これらの回答について、本会の男女共同参画委員会で独自に分析を進める予定です。
このホームぺージに関するお問い合せは下記へどうぞ
男女共同参画委員会委員長
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