教  育

高校生のための金曜特別講座

Update:Oct 11, 2004

10月15日(金)午後6時より
東京大学教養学部(駒場)
13号館1323教室

教養学部主催「高校生のための金曜特別講座」(21世紀COE融合科学講演会)
ゴードン サトー博士(米国科学アカデミー会員、マンザナー プロジェクト主宰)
「アフリカの飢餓と戦う」
通訳付き

皆さんの抱く科学者のイメージはどんなものだろうか?「三四郎」に出て来た野々宮 さんのような俗世間とは懸け離れたテーマに打ち込む白衣の人。田中耕一さんのよう に学位や地位、収入を超越した人。湯川秀樹さんのような鉛筆とワラ半紙と頭脳だけで中間子の存在を予言した人。あるいは、小柴昌俊さんのように巨大プロ ジェクトを通じて宇宙理解に貢献した人。発光ダイオード研究と特許を連動させる中村修二さんのようなバリバリの大学教授etc。今回、紹介するゴードン  サトー博士は、そのどれにもあてはまらない型破りな科学者だ。ゴードン サトー博士は、日系二世。彼は戦時中、高校生時代に日系人収容所に送られ、カリ フォルニアの砂漠のど真ん中(地名はManzanar)で生活することを余儀無くされた。そこで、彼が考えたことは、荒廃しきった環境で如何に、だれ頼る こと無く自らの力でローテクな手段で生き抜くかということだった。戦後、カレッジを卒業し、その先を決められないままに父親の仕事(庭師)を手伝ってい た。ある日、CalTechのキャンパスのガーデニングを手伝う合間に近くの建物に入ってみた。偶然出会った教授と話している内に、その研究室の大学院生 になっても良いと言われ、入学を決意。その教授とはドイツからやってきた物理学者でバクテリオファージを使った分子生物学の創始者マックス・デュルブリッ ク教授(後にノーベル賞を受賞)だった。
 ゴードン サトー博士は哺乳類細胞の分子生物学的理解を志し、いくつかの重要な細胞株を樹立。さらに、今日の成長因子研究に欠くことができ ない無血清培養法を確立した現代細胞生物学のパイオニアの一人。彼はブランダイス大学やカリフォルニア大学サンディエゴ校の生物学教授を歴任し、20年以 上前から米国科学アカデミー会員。今、彼は、日系人収容所時代に思い立ったマンザナープロジェクトという「荒廃地で人間が生き延びられるローテクな食物供 給システムの開発」を目指し、アフリカのエリトリアでマングローブの植林事業を展開している。Dr. Satoの世界観と行動力には学ぶ点が多々あるだろう。

Manzanar project-HPにあるゴードン サトー博士の紹介
(http://www.tamu.edu/ccbn/dewitt/manzanar/default.htm)
2002年アメリカ組織培養学会Public Award授賞式での紹介
(http://www.sivb.org/meeting_2002awards.asp)

文責 松田良一(東大教養学部生物学