2014年度論文賞

平成26年6月10日掲載

動物学会会員 各位
論文賞選考委員会(ZS編集委員会)は、昨年Zoological Scienceに発表された論文の中から2014年度論文賞を選び、6月7日(土)に開催された理事会で、候補論文として推薦をしました。理事会では、審議の結果、以下の6論文に対し、2014年度論文賞を授与することを決定しました。賞金は総額30万円。本年度は副賞として1件5万円がおくられます。

公益社団法人 日本動物学会 会長 阿形清和

2014年論文賞受賞論文(発行順)

Static and Dynamic Hypergravity Responses of Osteoblasts and Osteoclasts in Medaka Scales
Sachiko Yano, Kei-ichiro Kitamura, Yusuke Satoh, Masaki Nakano, Atsuhiko Hattori, Toshio Sekiguchi, Mika Ikegame, Hiroshi Nakashima, Katsunori Omori, Kazuichi Hayakawa, Atsuhiko Chiba, Yuichi Sasayama, Sadakazu Ejiri, Yuko Mikuni-Takagaki, Hiroyuki Mishima, Hisayuki Funahashi, Tatsuya Sakamoto and Nobuo Suzuki
pg(s) 217–223
メダカのウロコには骨と同様に骨芽細胞と破骨細胞が共存することを証明の上、その培養系を開発し、骨が重力に応答して骨形成を行うメカニズムを解析した論文である。静的な過重力と動的な過重力に対する応答性が異なっていることをはじめて証明した点や宇宙生物学への発展など論文賞に値する。

The Fishermen Were Right: Experimental Evidence for Tributary Refuge Hypothesis During Floods Full Access
Itsuro Koizumi, Yukiyo Kanazawa and Yuuki Tanaka
pg(s) 375–379
定期的にダム放流のある川をフィールドに、洪水時には河川支流に魚が避難するという通説を実証した研究。

Genetic Diversity and Structure in the Sado Captive Population of the Japanese Crested Ibis Full Access
Kensuke Urano, Kanako Tsubono, Yukio Taniguchi, Hirokazu Matsuda, Takahisa Yamada, Toshie Sugiyama, Kosuke Homma, Yoshinori Kaneko, Satoshi Yamagishi and Hiroaki Iwaisaki
pg(s) 432–438
佐渡に導入されたトキの遺伝構造および多様性を調べたもので、保全生態学的に重要であり、一般社会の関心もひくと思われる。

Olfactory Homing of Chum Salmon to Stable Compositions of Amino Acids in Natal Stream Water
Yuzo Yamamoto, Hideaki Shibata and Hiroshi Ueda
pg(s) 607–612
筆者らが2009年に発表したサケ 母川回帰の鍵となる臭い物質が水溶性アミノ酸濃度であるという知見に基づき、シロサケが遡上する天塩川水系をフィールドとして河川水のアミノ酸組成の季節変動を解析した。検出された19種類のアミノ酸のうち5-7種類は稚魚が下降 する春季と成魚が遡上する秋季でほぼ同じ濃度となることを見いだした。天塩川を遡上した雄シロサケを用いた二分岐水路での行動実験の 結果、遡上する天塩川水系の春季及び秋期のアミノ酸濃度に類似させた人工水により多くの個体が誘引された。また嗅電図による解析では 春季と秋季の人工水を区別していることも明らかとなった。この論文は春季と秋期であまり変動しない水溶性アミノ酸の組成を記憶するこ とで、サケの母川回帰が起こることを行動と生理の二つの側面から明らかにした重要な研究である。

Self and Nonself Recognition in a Marine Sponge, Halichondria japonica (Demospongiae)
Yasunori Saito
pg(s) 651–657
ダイダイイソカイメンから切り出した組織片の接触実験により、同一種異個体における2種の接触拒否過程の解析、認識反応における中膠細胞の挙動解析、さらに、クロイソカイメンの組織片に対する異種拒否反応との比較解析を行った論文である。多細胞動物で最も下等なカイメン動物における自己・非自己認識能の存在とその認識様式についての情報提示は、この機能の進化を考える上で重要であり、論文賞に値する。

Development of the Chondrocranium in Hagfishes, with Special Reference to the Early Evolution of Vertebrates
Yasuhiro Oisi, Kinya G. Ota, Satoko Fujimoto, and Shigeru Kuratani
pg(s) 944–961
これまで形態発生過程のほとんど分かっていなかったヌタウナギの軟骨頭蓋の発生過程を記載、分子系統的に近縁のヤツメウナギの成体、幼生における頭蓋形態と比較、各骨格要素の相同性の決定を通じ、円口類の頭部形態の一般系を問うと同時に、顎口類の頭蓋形態と決定的な相違のあることを報告した。

以上

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