2005年度論文賞

更新日:2009年2月10日

ZS編集委員会(委員長 長濱嘉孝 会員)から、平成17年度論文賞候補論文が評議員会に推薦され、評議委員会は、審議の結果、以下の4論文を平成17年度論文賞と決定しました。

(1) Inoue,T,Kumamoto,H,Okamoto,K,Umesono,Y,Sakai,M,Alvarado,S.A,Agata,K.
Morphological and Functional Recovery of the Planarian Photosensing System during Head Regeneration
Zool.Sci.2004,21 (3): 275-283.
推薦理由:本論文はプラナリアが負の走光性を示すこと、そして頭部を切断した場合それが失われ、5日で頭部が再生するとともに再び負の走光性が復活することを利用し、RNAi法を用いてプラナリアの神経回路成立のプロセスとそこに関わる分子機能を明らかにしようとしたものである。複数の領野にまたがる現象と技術を駆使した快作である。

(2) Umezu,T and Tomooka,Y
An evidence of stromal cell populations functionally linked with epithelial cell populations in the mouse oviduct.
Zool.Sci.2004,21(3): 319-326
推薦理由:本論文は、上皮・間質細胞間の相互作用を、マウス輸卵管由来の細胞株を用いて解析したものである。著者らは、輸卵管上皮細胞と間質細胞の細胞株を数種樹立し、上皮細胞における遺伝子の発現を指標として、間質細胞の誘導作用を解析した。その結果から間質細胞からは拡散性因子を介して上皮細胞の遺伝子発現を制御する可能性が示唆された。意欲的な研究であり、上皮・間質細胞の相互作用の分子機構解析の基礎となる貴重な成果である。その一方、間質が多様な細胞で構成されることを示唆する内容でもあり、新しい概念を提供している。学術的内容も高く、広範な分野への波及効果も期待でき、ZS Awardに相応しい論文であると考えられる。

(3) Kobayashi,Y,Kobayashi,T,Nakamura,M,Sunobe,T,Morrey,C.E,Suzuki,N,Nagahama,Y.
Characterization of two types of cytochrome P450 aromatase in the serial-sex changing gobiid fish, Trimma okinawae
Zool.Sci.2004,21(4): 417-425
推薦理由:本論文は、双方向に性転換する珍しいハゼ科魚類であるオキナワベニハゼを用い、性転換メカニズムの解明に不可欠となるcytochrome P450 aromatase (P450arom)の遺伝子をクローニングし、その全配列を明らかにした。このハゼのP450aromにはAとBの2種が存在すること、真核細胞の発現系を用いてそれぞれがP450arom酵素として活性を持つことなどを明らかにした。また、発現が高いP450aromAについて卵巣内と精巣内の局在を明らかにした。さらに、卵巣内ではP450aromAの発現が性周期によって変動することを明らかにした。これらの研究成果はいずれも新しい知見であり、性転換メカニズムの解明に重要な基盤となるものである。以上の理由により、本論文をZoological Science Awardに相応しい論文として推薦する。

(4) Tadashi Akiyama
Entrainment of the circatidal swimming activity rhythm in the cumacean Dimorphostylis asiatica (Crustacea) to 12.5-hour hydrostatic pressure cycles.
Zool.Sci.2005,21(1):29-38.
推薦理由:生理学的しくみの詳細が明らかになってきた概日リズムとは異なり、潮汐リズムのしくみの研究は遅れている。本論文では自然の潮汐の変化に近いサインカーブ状の水圧の変化を与えることによって、水圧を同調因子とする潮汐リズムのエントレインメントのしくみを明らかにしたものである。また、明暗サイクルを同時に与えることによって、野外で暗期にのみ活動がみられることも再現された。方法論の確立しない未開拓な分野への、長年にわたる挑戦の成果であり、時間生物学における画期的な論文と評価できる。

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