平成20年度(2008年度)日本動物学会女性研究者奨励OM賞

当初,応募件数が少なかったため募集期間を2週間延長したところ,8件の応募があった.オリジナリティーのある研究であることを評価の基準とし,さらに年次大会やZoological Science での発表,および研究環境を考慮して選考した.平成20年度は副賞が繰り越されたため,3件を候補者として選考した.いずれも研究のレベルは高く,さらに応募者の年齢と研究環境の事情が実に多様であり,選考は難航したが,長時間にわたる議論の結果,以下の3件を評議委員会に推薦することとした.

対象となった研究テーマ:
  円口類ヤツメウナギを用いた骨格筋発生機構の進化に関する研究
受賞者氏名・所属・職:
  日下部りえ・神戸大学大学院理学研究科・プロジェクト奨励研究員

対象となった研究テーマ:
  ゼブラフィッシュ脊髄一次運動神経の細胞体を,周期的に配置する機構についての研究
受賞者氏名・所属・職:
  前田美香・東北大学加齢医学研究所・教育研究支援者

対象となった研究テーマ:
  ミツバチ類の社会性行動の発現・発達とその制御,および個体間コミュニケーションを司る行動解発因子に関する研究
受賞者氏名・所属・職:
  笹川浩美・(財)国際振興財団研究開発部・研究員

推薦理由
日下部りえ会員は,一貫して無顎類ヤツメウナギを研究対象としてきた.外来遺伝子の導入に成功して,筋肉特異的遺伝子の発現機構を解析し,脊椎動物における無顎類から有顎類への骨格筋の進化の研究で優れた成果を挙げてきた.子育てをしながら任期付きの職で多数の業績を出しており,常に意欲的に研究を展開し,女性動物学者のロールモデルとしてそのリーダーシップが期待される.
前田美香会員は,一貫してパターン形成機構の研究を先端的な手法で進めてきた.実験動物はヒドラからニワトリまでと多様であるが,現在は,ゼブラフィッシュの胚で細胞体の配列パターンの形成機構を解析し,優れた業績を出している.不安定な立場ではあるが,研究への意欲は異分野との共同研究にも広がり,新しい動物学の展開に発展することが期待される.

笹川裕美会員は,一貫してミツバチの行動に関わるオリジナリティーのある研究を行ってきた.幼若ホルモンの微量定量法の確立,情報分子と蘭の花香の化学的類似性,社会性行動解発因子の同定・解析など,有機化学,分子生物学,細胞生物学,行動学などの多様な分野と手法を融合した研究を展開してきた.不安定な立場ではあるが,研究への意欲と行動力および動物学の啓発活動がさらに発展することが期待される.

昨年度は各賞への応募件数が少なかったため,今年度は会員メーリングリストで数回にわたる募集の案内をした.平成19年度よりは好転したものの,複数の候補者の推薦を実現するためには,さらなる応募が望まれる.奨励賞やOM 賞では自薦件数も増えつつあり,意欲ある
応募が望まれている.

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