生物科学系学会連合連絡会報告
1999.8.6
8月6日(金曜日)文京区本郷学士会館分館にて第3回生物科学連合連絡会議(進行・世話役,星会長)が開催されました.後日,理事会・評議員会にて詳しく報告いたしますが,ここでは簡単な議事内容の紹介致します.
出席者:動物(星,上村,永井,丸山),植物,遺伝,解剖,発生生物,植物生理,生理,生物物理,神経化学,免疫,生態,学会事務センター 山口哲男氏,学会出版センター 山田猛氏
欠席者:生化学,神経科学,分子生物
1.教育問題(1)
新しい高等学校指導要領(平成15年以降実施,平成18年以降大学進学予定)の改訂の件で問題点が議論されました.一番危惧される点は,おそらく生物系進学希望者に履修される可能性が最も高い生物氓ゥら,「代謝」や「生態」などの分野が削除されているために(生物に移行),この分野の基礎的な知識がないままに生物学進学する学生が増えると予想されることです.
2.教育問題(2)
数物化教育問題連絡会への生物科学連合からの参加について協議されました.この連絡会は,数学会を中心に物理学系,化学系の学会(平成11年1月より)が2名ずつ代表者を出して,教育問題について意見交換する場として3年前に発足し,今年3月に「新教育課程に対する見解」をまとめました(生物科学ニュース8月号,又は,「新教育課程に対する数学・物理・化学系諸学会の見解」を,ご参照下さい).この連絡会に動物学会・植物学会が参加することになった経緯説明が上村よりなされました.
この連絡会に今後生物科学学会連合から代表者を送る件については,今回は欠席の学会もありましたので,後日確認をとって最終的に決定することになりました.連合の世話役となる学会,および,その次年度の世話役となる学会の2学会から担当者を選出する予定です.現在は,
動物学会から 星 会長,松田良一氏
植物学会から 駒嶺 会長,大森正之氏,和田正三氏
の方々が予定されています.
3.生物科学を巡る政府等の動きについて
科学技術会議議員,井村裕夫氏を中心とする「今後の生命科学研究の推進の在り方に関する懇談会」の報告(平成11年7月8日)について,星会長より説明がありました.これは,ゲノムサイエンス,発生・分化・再生領域,脳領域,植物科学領域,生物資源.遺伝子資源領域の重要性を詠った報告書で,具体的には,年間100〜200億円規模の新世代型先導研究機関,ゲノム情報医学研究所,先端発生再生科学総合研究所,先端植物総合科学研究所(研究所長以外は全て期限付きポスト)を立ち上げを提案しています.方向としては生物科学全般の発展に寄与すると思われるますが,国際競争力,特許,応用面などが強調され,大学の理学系で行われてきた基礎的な研究分野が軽視される傾向があることは否めません.今後の動向は本連合としても注視していることが必要と思われます.
参照URL:科学技術会議(ただし,上の報告書はまだ出ていません)
http://www.sta.go.jp/shimon/cst/INDEX.HTM
4.実験動物の規制に関する動き
現在,公明党を中心とする議員によって「動物の保護及び管理に関する法律」の改正案(議員立法)が検討されつつあります.主にペットの虐待に関する規則が中心と思われますが,実験動物(脊椎動物)の飼育・取り扱い,取り扱い業者の許可制,第3者グループによる立ち入り調査,薬物投与の制限,野生生物の動物実験禁止などが含ま,研究実施の上で少なからず影響を与える可能性があります.解剖学会,日本生理学会から,この法律を見直すような提言を学会連合で出せないかとの提案がありました.この提言原案を解剖学会等で作成し,再び連合で協議する予定です.以下は法改正の運動を展開しつつある「動物の法律を考える連絡会」関連のサイトです.
http://www.corcocu.co.jp/CCONA/renrakukai.html
http://www2.marinet.or.jp/ ̄phkimura/doukanhou/syomei_info.html
http://www2.isnet.ne.jp/isn00354/appeal_togyu_shukai.html
http://www.corcocu.co.jp/JAWS/ 日本動物福祉協会
5.科研費改革の提言
先日,MLにて審議いただいた将来計画委員会策定の「科研費審査システムに関する提言」を出席の他学会に配布しました(上村).
以 上 |