「ドウなる!ドウする!ほっかいドウ!〜20年後のドウぶつたち〜」
【入場無料】
【日時】
令和8年9月5日(土) 14:30~17:00
【会場】
北海道大学学術交流会館(北海道大学正門前)
【対象】
どなたでも参加いただけます(中高生歓迎)
【はじめに】
北海道は、日本最北の地であると同時に、海に囲まれ、二千メートル級の山々を有する、日本有数の自然豊かな地域です。しかし近年、地球温暖化による気温上昇や海氷の減少、土地開発による生息環境の変化、人口減少や過疎化に伴う森林管理の変化、さらには外来生物の分布拡大などにより、北海道の動物たちを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
本シンポジウムでは、北海道のさまざまな動物を研究している5名の研究者が、それぞれの研究成果をわかりやすく紹介するとともに、「20年後、北海道の動物たちはどのように変化しているのか」を展望します。20年後の未来を正確に予測することは誰にもできません。しかし、長年にわたり動物と向き合ってきた研究者だからこそ見えてくる“北海道の動物たちの未来像”を、ぜひ皆さまと一緒に考えたいと思います。
【講演内容】
「雪と寒さのなかで生きる北海道の哺乳類たち:とくにトガリネズミ類の生態と進化」
北海道大学低温科学研究所 助教 大舘智志先生
北海道は、日本最大のヒグマや世界最小のチビトガリネズミまで多様な陸生哺乳類が生息している。なかでもトガリネズミ類は、高い代謝を持ちながらも冬眠せず、寒冷環境下で一年中活動する特異な小型哺乳類である。本講演では、北海道の哺乳類相の特徴を概説したうえで、とくにトガリネズミ類の生態や行動、季節的な頭骨縮小現象(デーネル現象)、進化史を紹介し、温暖化による積雪環境の変化が今後これらの動物に与える影響について考える。
「世界に誇る北海道の両生類に何が起きているのか〜拡大する国内外来種アズマヒキガエルの影響〜」
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 教授 岸田治先生
北海道の両生類であるエゾアカガエルやエゾサンショウウオは、外敵や餌条件に応じて姿かたちを変えるユニークな能力を持ち、世界的にも知られる。しかし、これら在来種は、国内外来種アズマヒキガエルの分布拡大に伴い、経験したことのない状況に直面している。アズマヒキガエルの毒性により、在来種では死亡や成長低下が確認されている。本講演では、これらの現象を解説し、北海道の両生類に何が起きているのかを考える。
「20年後の魚はドウなる?」
北海道大学水産科学研究院 教授 笠井亮秀先生
北海道は,比較的温暖な日本海,冷たいオホーツク海,そして親潮に代表される亜寒帯性の太平洋といった,多様な環境を持つ海に囲まれています。地球温暖化に伴う水温上昇の程度も,各海域で異なっています。海には移動を妨げる物理的障壁が少ないため,陸上の哺乳類や両生類と比べて,魚類には広範囲を回遊する種が多く見られます。そのため,各海域の環境変化に応じて,海洋生物の分布や生物多様性は,短期的にも長期的にも大きく変化する可能性があります。
「暑いとドウなる?ドウする?ほっかいドウのアザラシたち」
東京農業大学生物産業学部海洋水産学科 教授 小林万里先生
丸っこくてメタボな見た目で人気のアザラシですが、実は寒い海にくらす生き物です。北海道には、流氷の上で子どもを産むゴマフアザラシと、岩場で子育てをするゼニガタアザラシがいます。近年、地球温暖化によって海や流氷の環境が大きく変化しています。流氷が減ることで、ゴマフアザラシはより北の海へ移動するようになってきました。また、ゼニガタアザラシは毛が生えかわる「換毛」の時期に岩場へ上陸しますが、岩が熱くなりすぎて上陸が減ってきています。
アザラシたちは暑さを避けるために、行動やくらし方を変えていくかもしれません。寒さに耐えるための厚い脂肪を減らし、今よりスリムなアザラシになる未来もあるのかもしれません。
「地下に生息する昆虫の話」
北海道大学地球環境科学研究院 教授 越川滋行先生
地下には、私たちの目にふれないところでくらす昆虫たちがいます。私は、地表近くの浅い地下から洞窟の奥深くまで、さまざまな地下環境にすむ昆虫を比較し、地下生活にともなって体のつくりや遺伝子がどのように変化してきたのかを調べています。本講演では、地下の昆虫たちの不思議な進化を紹介するとともに、気候変動による北海道の環境変化が、地下の生き物たちの未来にどのような影響を及ぼすのかを考えます。
開催地域に残したいレガシー:市民公開プログラムを通じて、北海道に生息する動物の現在そして未来に対向けた市民の意識を高めます。
日本動物学会 第97回 札幌大会 2026