日本動物学会会員のみなさま
公益社団法人日本動物学会第94回山形大会は、厳しい残暑が続く2023年9月7日(木)~9日(土)に山形大学小白川キャンパスにおいて開催されました。大会参加824名、高校生発表参加101名、動物学ひろば参加587名、一般公開シンポジウム参加83名でした。会期中、本部企画シンポジウム(ナリシゲシンポジウム)5演題と公募シンポジウム88演題(17企画)、関連集会18演題(5企画)、口演403演題の発表がありました。また、高校生研究発表は全国から参加した中高生による63演題の発表があり、動物学ひろば12企画、一般公開シンポジウム4演題を行いました。会期中、大勢のご参加と多くのご発表をいただきましたことに深く感謝いたします。
山形大会は新型コロナウイルス感染の拡大以降、懇親会を含め原則対面で行う最初の大会となりました。実行委員会では、早稲田大会に引き続き感染症対策としてZoomを利用し、発表を原則対面で行うことを決めていましたが、新型コロナウイルス感染症の5類指定後、大会において感染防止対策をどの程度行うか、逡巡しました。最終的には、東北支部役員の皆様のご意見や懇親会の実施様態に関する参加者アンケートの結果を受けて、基本的な感染症対策を参加者の皆様にお願いしつつ、懇親会も含め対面開催することを決断しました。
山形大会ではZoomを活用して、子育てや介護などで対面参加が難しい会員の方のオンライン参加を行いました。Zoomの運用に関しては、特に設備に関するトラブルが多発し、発表者と座長を始め、多くの皆様にご迷惑をおかけしました。この点、特に申し訳なく感じています。一方、事前にオンライン利用の申し出をされた方に加えて、会期中に体調を崩された16名の方がオンラインで参加・発表することができたことは、Zoom利用のポジティブな側面でした。
Zoomの利用に加えて、早稲田大会で新たに行われた事項について、学生の無料化はその精神を継続しつつ、研究発表を行う学生に限り定額の参加費をいただきました。これは主としてZoom環境の構築・維持のためとご理解いただければ幸いです。一般発表の新設カテゴリー、「新興・複合領域」は山形大会でも維持しました。この領域は、伝統的な他領域のように選択の参考となる細目などが無く、選択を躊躇されるような雰囲気がプログラム作成過程で感じられました。今後、より自由に、開拓精神で選択される方が増えることで、面白い領域に育っていくことを期待します。企業プレゼンテーションは3件実施することができました。これを含めて山形大会では21社の企業にご協賛をいただきました。あらためて御礼申し上げます。また、企業展示には多くの大会参加者に足をお運びいただき、ありがとうございました。
高校生研究発表は早稲田大会に引き続き対面で開催し、多数の大会参加者にご来場をいただきました。発表した高校生からは研究者との対面でのやりとりがとても楽しかった等のコメントが聞こえてきています。さらに、発表のために来場した高校生が動物学ひろばや一般公開シンポジウムだけでなく、一般口演の会場で発表を聴講する姿が頻繁に見受けられました。彼らが将来の動物学の担い手に育ってくれるものと期待します。
一般公開企画については、当初人口25万人の山形市において多くの方にご来場いただけるか心配していました。しかし、ふたを開けてみると、予想を遥かに超える数の参加者が動物学ひろばに押し寄せて、一時は入場制限をするほどの盛況でした。十分な休みもとれずに展示紹介をしていただいた会員の皆様と、企画・運営を一手に担当してくださったNPO法人・やまがたヤマネ研究会の皆様のご尽力に感謝申し上げます。一般公開シンポジウムも予想を上回る数の小中高生と一般の方々にお集まりいただきました。講演中も小学生たちからのするどい質問があったりと大変盛況で、予定時間を大幅に超えて終了しました。新型コロナ感染症のために対面での展示企画や講演会の機会が少なかったこともありますが、山形のような地方が内包する『見たい・知りたい』といった強い欲求を見せつけられました。
懇親会では山形名物の芋煮鍋や県産の日本酒などをそろえて立食パーティーをご堪能いただきました。一般会員と学生が大勢集まって飲食を共にし、議論と会話を楽しむ動物学会の懇親会がようやく戻ってきたと感じた方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。この騒がしい会が次回大会でもできることが本当に楽しみです。なお、懇親会は感染症予防対策として400人を上限とし、当日参加をほとんど受け付けることができませんでした。申し込みができなかった方には大変申し訳ありませんでした。
山形大会は多くの方のご尽力とご支援により開催することができました。寺北会長はじめ本部役員の方々、事務局の佐藤優子さん、永井裕子さんには準備段階から当日の運営まで様々な相談を受けていただき、ご助力をいただきました。また、会員数が少ない東北支部にあって、支部役員と山形地区会員の方々には総出で様々な役割をお引き受けいただきました。会期中は支部役員と山形地区会員に加えて2名の非会員の方にもお手伝いをいただいています。少人数での運営で手が回らず、至らない点も多々あったものと存じますが、どうぞご容赦ください。高校生研究発表では宮城県と山形県の高等学校にご所属の4名の会員の方にも準備から参画していただきました。山形大学には会場を提供していただき、設備使用面でサポートしていただきました。大会開催に携わっていただいたすべての方に厚く御礼申し上げます。
第94回山形大会は、新型コロナ感染症の拡大前に日本動物学会が続けてきた学会大会を基本的に通常通り、普通に行った大会でした。一方、コロナ対応の中で薄れかけていた対面での学会大会がもつ勢いを様々な場面で再確認した大会だったと思います。研究に勢いは大事です。この勢いのままに次回の長崎大会でまた皆様とお会いできることを楽しみにしています。
第94回日本動物学会山形大会 大会実行委員長 渡邉明彦(山形大学理学部)