第613回動物学会北海道支部講演会開催

日本動物学会北海道支部 第613回支部講演会
日時:2026年8月4日(火) 17:00~18:00
場所:北海道大学 理学部5号館8階 813号室
演者:坂田 秀三 博士(University of Strathclyde)
演題:健常時と疾患時における全脳分散型睡眠コード
要旨:睡眠の構造は、さまざまな時間スケールで働く神経細胞の集団によって形作られているが、その仕組みには謎が多い。我々は最近、マウスの40を超える脳領域から神経活動を計測し、脳全体にまたがる睡眠の仕組みの解明に取り組んだので、その成果を紹介したい。まず、分から秒単位のゆっくりとした時間軸では、覚醒レベルの変化に伴って脳全体の活動パターンが組み替えられ、どの脳領域からでも睡眠状態を読み取ることができた。特にレム睡眠は、脳全体が活性化する状態として浮かび上がった。また状態の移行は、シンプルな低次元の軌跡をたどり、覚醒からノンレム睡眠へ移る際には皮質と皮質下の神経集団が互いに逆の動きを見せるのに対し、レム睡眠への移行時には同調して変化した。一方で秒からミリ秒単位の速い時間軸では、ノンレム睡眠のゆっくりとした脳波(徐波・デルタ波)が全体のリズムを作り、そこに速い多様な脳波を入れ子状に取り込むことで領域間を機能統合していた。レム睡眠中には、シータ波とP波の結びつきが領域を超えた神経発火を同調させていた。さらに、脳各所への神経修飾物質の届きやすさが睡眠状態に応じた活動変化を予測する手がかりとなり、過去の睡眠履歴を反映する非常に緩やかな神経の動きが、ノンレム睡眠とレム睡眠の周期をコントロールしていることも分かった。本研究は、睡眠中に脳全体の神経集団がどのように連携して動いているかを、細胞レベルの細かさで捉えた全体像を提示するものである。さらに、本セミナーでは、我々が最近開発した多点フォトメトリー技術を睡眠覚醒中のアルツハイマー病モデルマウスに応用した研究成果についても紹介したい。
第613回支部講演会
世話人:
常松 友美(北海道大学 理学研究院)
tsune[a]sci.hokudai.ac.jp
[a]を@に変えてください
エゾリス(旭川医科大学RI実験施設 長原稔和氏提供)

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