兵藤 晋
沼田英治前EICの後任として、2022年1月1日にZoological ScienceのEditor-in-Chiefに就任しました。これまで、深津元EICならびに沼田前EICのもとでAssociate Editorをつとめてまいりましたが、これからはEICとしてZoological Scienceの出版の責任を持つこととなり、身の引き締まる思いです。幸いなことに、これまでともにAssociate Editorとして編集に携わってこられた方々(井上英治さん、柁原宏さん、北野潤さん、三浦徹さん、中野隆文さん、二階堂雅人さん、志賀向子さん、田中幹子さん、依田憲さん、吉田学さん)には留任していただくことができ、新たに浮穴和義さんに内分泌・生理分野のAEとして加わっていただきました。また、Editorial Assistantは引き続き松林有理さんにお願いしておりますので、編集体制には安心しております。
みなさまご承知のとおり、Zoological Scienceは動物学雑誌(1888-1983)と日本動物学彙報(1897-1983)の統合により1984年に発刊され、以来38年間にわたって動物学の様々な分野の原著論文・総説を掲載してきました。現在の読者から注目されるインパクトも重要ですが、将来にわたって長く引用されるようなしっかりとした堅い論文がZoological Scienceのひとつの特徴です。今後もそのような特徴を意識してまいります。「Zoological Scienceはインパクトファクターのわりに査読が厳しい」という評判を聞いたことがありますが、高い論文の質が保証されているということでもあり、これも動物学雑誌創刊から134年間にわたる伝統がなせるものだと思います。日本動物学会が出版するZoological Lettersとの両輪で、双方が発展し、日本の動物学の発展に貢献できるように活動してまいります。なお、動物学会が展開するZooDiversity Webでは、Zoological Scienceに掲載された全ての論文が動物名、学名などで検索でき、動物学会会員はサインインからアクセスすれば、全ての論文のダウンロードも可能です。Journal Listでは、Zoological Scienceの特徴のひとつでもある、様々な動物の美しい写真が飾る表紙が一覧として表示されますし、これまでのZoological Scienceの論文をトピックごとに再編集したVirtual Issueもすでに4号用意されています。さらに、動物学雑誌と日本動物学彙報についてもPDF化が進んでおり、ZDWから検索可能です。今後Journal Listとして整備されていく予定と聞いております。ぜひご活用下さい。
沼田前EICの時からの課題のひとつが、掲載論文の分野別の偏りでした。私が実質的にEICを引き継いだ昨年11月以降の投稿状況を見ると、改善されているようには感じますが、多様な動物学を網羅したジャーナルを維持するためにも、ぜひ様々な分野からの投稿をお待ちしております。「投稿しやすいジャーナル」になるよう、編集委員会でもいくつかの取り組みがされてきています。現代の生物学では、イメージングなどカラー写真の活用は避けて通ることができませんが、Zoological Scienceのカラーチャージは比較的高額でした。一昨年に1ページあたり1万円と大幅に減額され、オープンアクセスのオプションも数に限りはありますが選ぶことができるようになっています。今後も財政的に可能な限り、投稿しやすいジャーナルになるよう投稿規定の見直しも進めてまいります。一方で、海外からの投稿は減少傾向にあり、特に受理につながる質の高い論文の投稿が少ないのが気になっています。Advisory Boardメンバーの拡充を含め、海外からの投稿が増えるような試みも必要だと感じています。
Zoological Scienceでは、毎年5報程度の論文をZoological Science Awardとして選考しており、動物学会大会で表彰されています。ぜひ若手研究者のみなさん、あるいは大学院生が筆頭著者となる論文などを投稿していただき、キャリアパス形成の役に立てていただくことも効果的ではないかと思います。また、BioOneからは、大学院生ならびに学位取得後5年以内の若手研究者に与えられるBioOne Ambassador Awardがあります。競争率は高いですが、Zoological Science発表論文の著者の中から推薦することができますので、ぜひチャレンジしていただければと思います。
積極的な投稿を期待しております。