北海道支部 第610回支部講演会開催のご案内

日本動物学会北海道支部 第610回支部講演会

第610回日本動物学会北海道支部講演会

日時:2026年1月20日(火) 17:00~
場所:北海道大学 理学部5号館8階 813号室

演者:岡本 直樹 博士(筑波大学 生存ダイナミクス研究センター)

演題:“骨”のない昆虫における体内カルシウム調節機構

要旨:カルシウムは、筋収縮や神経活動など多様な生命活動の基盤を支える必須ミネラルである。脊椎動物では、副甲状腺ホルモン(PTH)などの内分泌因子が、“骨”という巨大なカルシウム貯蔵庫を制御し、血中カルシウム恒常性を維持している。一方、“骨”を持たない無脊椎動物において、どのような内分泌システムが体内のカルシウム恒常性を担っているのかは不明であった。本研究では、分子遺伝学的ツールが豊富なキイロショウジョウバエDrosophila melanogasterを用いて、カルシウム恒常性を調節する新規ホルモンの探索を行った。その結果、神経分泌性のペプチドホルモン Capa が、体液中カルシウムの制御因子として機能することを見いだした。さらに、Capaの作用機構の解析から、ショウジョウバエにもカルシウム貯蔵に特化した器官が存在することが明らかとなった。すなわち、“骨”を持たない昆虫においてカルシウム貯蔵庫を中心とした内分泌システムが存在することが示された。この内分泌システムは、食餌からのカルシウムが不足した際に体液中カルシウムを補う役割を担っており、脊椎動物におけるPTHの機能とよく似ている。
本講演では、ショウジョウバエにおける新規内分泌因子の同定と作用機序の解明に向けた研究アプローチを最新の研究成果をもとに紹介するとともに、今後の研究展望についても議論したい。

参考文献
Okamoto N*, Mizuno Y, Watanabe A, Kohsaka H & Niwa R*, Neuroendocrine control of calcium mobilization in the fruit fly. Nature, (2025). DOI: 10.1038/s41586-025-09670-z

世話人:
冨菜 雄介(北海道大学 電子科学研究所)
tomina[a]es.hokudai.ac.jp
[a]を@に変えてください

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日本動物学会北海道支部
庶務幹事
水島 秀成

クロテン(旭川市科学館・博物館前館長 南尚貴氏提供)

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