動物学会賞 2013(平成25)年度受賞者

公益社団法人 日本動物学会
学会賞等選考委員会 委員長
沼田 英治

平成25年度日本動物学会学会賞

 応募は8件であった。動物学は広範な学問領域からなるが、ほとんどの応募者はそれぞれの領域を代表する優れた研究者であり、選考規程にある「学術上甚だ有益で動物学の進歩発展に重要かつ顕著な貢献をなす業績をあげた研究者」の条件を満たしていた。その結果、高い水準での審議となった。選考は困難を極めたが、応募者の研究内容、研究業績、動物学の進歩発展への貢献度について詳細に審議した結果、2名の候補者を理事会に推薦することとした。 

岡 良隆(おか よしたか)東京大学大学院理学系研究科・教授
研究テーマ「生殖の中枢制御にかかわるペプチドニューロン系の研究」

推薦理由
 岡良隆会員は、中枢神経系による生殖の制御機構に関して、魚類をモデルとして世界を牽引する研究を行ってきた。なかでも、神経系と内分泌系の協調のしくみに興味をもち、視床下部にある生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンとキスペプチンという新しいペプチドニューロン系の相互作用、および視床下部-脳下垂体-生殖腺系という脊椎動物の生殖を支配する内分泌系との相互作用に関する研究において、独創的な研究により優れた業績をあげてきた。最近では、これら2つの神経系が作る神経回路網の重要性を予見し、ゲノムデータベースやトランスジェニック技術など、実験動物として多くの利点を持つメダカを材料として、生殖の中枢制御に関わるペプチドニューロン系に関して国際的にも最先端の研究を行っている。このように、岡会員はわが国だけではなく世界の動物学を先頭に立って牽引している。動物学の発展に大きく貢献した岡会員の研究は学会賞としてふさわしいと判断し、候補者として推薦した。 

富岡 憲治(とみおか けんじ)岡山大学大学院自然科学研究科・教授
研究テーマ「昆虫の概日時計機構に関する神経生物学的研究」

推薦理由
 富岡憲治会員は、神経生物学の手法を駆使して昆虫の概日時計機構の解明に著しい貢献をしてきた。なかでも、コオロギの視葉からの電気的出力を培養条件下で記録することによって、視葉に概日時計の振動の本体があることを示した研究は特筆に値する。さらに、左右一対の時計がどのように調整してリズムを作り出すのかなどの課題へ研究を発展させた。また、ショウジョウバエにおいて、異なる概日時計細胞が役割分担して環境に同調していることを世界に先駆けて発見した。最近は、原始的な昆虫の概日時計の分子機構から時計の進化過程を探る研究や、RNAiを用いて光周性における時計遺伝子の役割を解明する研究を展開している。富岡会員はこれらの成果を一流国際雑誌に発表するばかりではなく、多数の総説を執筆するなど日本を代表する時間生物学者として国際的に活躍している。動物学の発展に大きく貢献した富岡会員の研究は学会賞としてふさわしいと判断し、候補者として推薦した。 

 

 


 



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